一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト

一郷一会が威信をかけて ^^: 選定。センター系、スパ銭・・・ お湯さえよければどこでもOK! 料金上限1,200円也。

03.箱根湯本温泉 「大和旅館」

2008-05-12 23:32:44 | 神奈川
箱根湯本のお湯というと「高い、混む、薄い」のイメージがあって、温泉好きの人気はかならずしも高くないのだが、じつは自家源泉をもつ小規模な湯宿がけっこうあって、湯めぐりしてみると意外に奥がふかいところだ。

箱根湯本温泉は、駅前、旧湯場、仲町・上町、湯本茶屋、須雲川の各地区からなり、それぞれ趣がちがう。なかでも名実ともに湯本の中核をなすのが、早川と須雲川の合流点に位置する旧湯場地区だ。
早川にかかる赤い欄干の湯本橋、蕎麦処「はつ花」、正面に破風屋根の重厚な構えをみせる老舗「萬寿福」、人気銘菓「月のうさぎ」、箱根温泉発祥の地熊野神社など、人気スポットや見どころも多い。

ここは老舗「萬翠楼 福住」のうら手にある湯宿で、由緒正しい湯場共同泉(湯本第7号・9号・41号混合泉)をつかっている。このうち、熊野神社の下で湧く湯本第9号は「惣湯」とよばれ、箱根最古の源泉として知られている。
明治中期までの湯本の泉源はほとんどこの「惣湯」に頼っており、関係者19戸のあいだで「共有温泉盟約」という惣湯利用についての取り決めが交わされていた。

いまは素泊まり専門で営業しているこの宿は江戸時代から続く老舗で、さして特徴のない外観ながら館内は老舗宿特有の味がある。
裏手の狭い路地、年季の入った玄関など、観光客はまず入らないと思うが、こぢんまりとした構えのわりに、浴室は大(2.3人)、中(1人)、小(1人)の3つもあり、状況により貸し切りもできる。
ここは「大和館」とよばれることが多いが、宿の看板は「大和旅館」だったので、ここでは「大和旅館」とした。

扉を開けると、さほど広くない浴室には石膏系の甘い湯の香が立ちこめている。
白壁のシンプルな浴室に青タイルの浴槽が映えて、いい味を出している。
浴槽底の孔から源泉を注入し、浴槽ふちからさわさわとかけ流す文句なしのかけ流しだ。

絶妙なぬる湯は無色透明で、黒褐色の浮遊物がただよう。
とろみとともに、やわらかくやさしく包み込まれるようなすばらしい湯ざわりが身上。
よく温まるが、浴後は充実した爽快感とともに肌がしっとり落ちついて、硫酸塩泉の味わい豊か。
湯本のお湯はけっこう入ったが、そのなかでも最上級のお湯だと思う。

女将さんの話しでは、お湯は熊野神社のよこから湧いていて、共同配湯なのでほかにもつかっている旅館がある。湯温は季節でかなり変動する。保健所などの指導をクリアするためにいろいろと手数がかかるが、消毒するとお湯がダメになってしまうので、なんとか非消毒のかけ流しをつづけている・・・。などなど。
たしかに、えらくデリケートなお湯なので、消毒したら1発でおじゃんではないかと・・・。

このすばらしいお湯に箱根湯本で600円、しかも貸し切りで入れるとはおどろき。
箱根湯本のお湯の実力を知るのに最適な1湯かと思う。

なお、すぐそばにある「住吉旅館」も湯場共同泉をつかっているが、こちらは湯本第7号・9号混合泉と41号単独のふたつの浴室をもっている。こちらも湯づかいがいいので「大和旅館」と入りくらべてみるのも一興だ。

アルカリ性単純温泉 36.0℃、pH=9.1、湧出量不明、成分総計=0.332g/kg、Na^+=83.1mg/kg、Cl^-=84.1、SO_4^2-=71.0、HCO_3^-=21.1、メタけい酸=40.1、メタほう酸=2.75 <H16.12.7分析> (源泉名:湯本第7、9、41号混合泉)

文・画像 別働隊@うつぼ

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