社会を見て、聞いて、感じる。

人生そのものがフィールドワーク。

5月1日(日)

2011年05月03日 10時57分28秒 | 2011年

  6時半起床。7時半前にチェックアウトし、地下鉄に乗って難波へ。時間的に少し余裕があったので、電車の写真を撮って回る(それはまとめて最終日に掲載する)。その後、南海線(泉北高速鉄道直通)に乗り、和泉中央へ。そこからは、バスを2本乗り継ぐ。1本目は普通の路線バスだが、2本目はバスという名のワゴン車だった。そのバスの出発時刻を待つ間、運転手さんとおしゃべりをする。お寺の話や先日の地震の話など、非常に気さくな方で話が弾んだ。


和泉中央行き(難波駅にて)


まさかのワゴン車バス。でも、なんか可愛い。

  バスを降り、1キロほど続く山道を登って第4番の施福寺(槇尾寺)を目指す。これが初日であれば大した苦でもないのだろうが、昨日の筋肉痛のためにかなり大変な思いをした。しかし、ここではすれ違う参拝者同士の交流が盛んで、登っている時には多くの方から「もうちょっとやで」と励ましの言葉を頂き、逆に下る時には自然と励ましの言葉が口から出てきた。


仁王門。


山道はつらいが、山の雰囲気は最高だ。

  施福寺は、弘法大師が剃髪得度(得度:出家の儀式)をしたと言われているお寺である。本尊は秘仏で、毎年5月1日から15日の間だけ開帳される。そして、今日は5月1日。正直、これは完全な偶然だったのだが、おかげで本当に素晴らしいご本尊を参拝することが出来た。これも、何かの縁というやつだろう。


弘法大師剃髪所跡。


剃髪堂。


本堂。


境内からの景色。


帰りは帰りで、急な階段が足にくる。


帰りは行きよりも周囲の景色を見る余裕があった。

  帰りも、行きと同じワゴン車バス(正式名称は「オレンジバス」という)に乗る。車中では、先ほどの運転手さんに加えて他の巡礼者の方とも話をする。その方も関東からいらっしゃっていて、私と同様に板東巡礼は結願されているとのことだった。また、運転手さんは元々大型バスの運転手で、定年後は「もう2度とバスなんか乗らない」と思っていたそうなのだが、それまでこのバスを運転されていた方が急に体調を崩され、急遽お声が掛かり、つい数ヶ月前に約1年半のブランクを経て復帰されたとのこと。「もうこの年になってこんなこと、疲れるわ」とは言いながらも、その笑顔はとても輝いていた。こういう出会いもまた、巡礼の大きな魅力のひとつである。本当に、お世話になりました。

  その運転手さんに見送られながら路線バスに乗り換え、和泉中央駅へ戻る。そこから再び難波へ出て、今度は近鉄線に乗り換え。次の目的地は長谷寺だが、せっかくなので昼食の時間確保も兼ねて手前の大和八木まで特急に乗ることにする。しかも、奮発してアーバンライナーのデラックスシートを購入。JRでいうところのグリーン車にあたる席だが、座席料金は200円(難波-大和八木間)。しかも、座席のクオリティはすこぶる高い。さすがは近鉄が誇る特急列車である。ちなみに、同じアーバンライナーでもいくつかのバージョンがあって…という話をすると長くなるのでやめておこう。車内では、難波駅で購入した「手まり寿司弁当」を食べる。見た目も可愛らしく、味も美味しかった。


名古屋行き特急「アーバンライナー」


デラックスシート。


手まり寿司弁当。

  30分ほど特急列車でくつろいだあと、大和八木駅で普通列車に乗り換えて長谷寺へ。ちょうどこの時期はボタン祭が行われており、参道は多くの人で賑わっていた。お寺としては良いことだろうが、個人的には騒がしいのはあまり好きではない。しかし、このお寺は見所が多く、仁王門から本堂へ至る長い登廊や本堂からの絶景など、記憶に残る参拝となった。出来れば、次回はもう少し落ち着いている時期にゆっくりと参拝したい。


参道がめちゃくちゃ混雑している。


参道の途中、民家の軒下にツバメの巣を発見。


仁王門。


長い登廊。


本堂を遠くから眺める。


本堂からの景色。


ボタンの花はこれからどんどん開花していく。

  長谷寺駅から普通列車で大和八木駅へ戻り、今度は京都まで特急に乗る。 先程乗ったのは大阪と名古屋を結ぶ名阪特急「アーバンライナー」、今度は大阪・京都と伊勢志摩を結ぶ伊勢志摩特急「伊勢志摩ライナー」。共に近鉄の誇る看板特急列車である。大和八木から京都までの約1時間、伊勢観光から帰る人たちと一緒にまったりとした時間を過ごした。


上本町行き準急列車で大和八木へ(長谷寺駅にて)


大和八木から京都までは、伊勢志摩ライナーに乗る。

  京都駅から地下鉄に乗り、烏丸御池へ。そこから歩いて2、3分のところにある蕎麦屋「尾張屋」で早めの夕食。注文は、「にしん蕎麦」。ここに来ると、毎回これを頼んでしまう。おそらく私の味の好みが関西風ということもあるが、これだけ美味しいお蕎麦は関東では食べたことがない。また、今回初めて追加注文した「蕎麦わらび餅」も、お蕎麦の香りがほのかに口の中で広がって、とても美味しかった。


あまり若者らしくない食事かもしれない。

  再び地下鉄に乗り、十条へ。そこから歩いて5分ほどで、今日の宿「ホテルアンテルーム京都」に到着する。このホテルはつい先日オープンしたばかりで、中に入ると「ここは美術館か」と思うほどアーティスティックな空間が広がっている。部屋の中も所々が凝っていて、とても居心地が良い。京都という街の雰囲気とも合っているし、このホテルはきっとこれからどんどん人気が出るだろう。


洗濯物を掛けるところも、ちょっとお洒落な配置になっている。

  翌日は朝が早いので、夜更かしはせず23時過ぎには就寝。

 


4月30日(土)

2011年05月03日 01時40分16秒 | 2011年

  4時起床。京浜東北線の始発に乗り、浜松町でモノレールに乗り換えて羽田空港へ。06:30発のJAL101便に乗り、大阪伊丹空港を目指す。飛行機というのは得てして遅れるのであまり好きではないのだが、たまに乗ると新鮮でなかなか良い。しかも、今日はしっかり定刻通りに到着した。幸先の良いスタートである。

  大阪空港からモノレール、南茨木から阪急、東向日(向日町)からJR、山科から地下鉄と乗り継ぎ、醍醐へ。駅から歩いて10分ほどで醍醐寺(下醍醐)に到着し、そこから山道を1時間ほど歩いて、西国第11番札所、上醍醐准胝堂(観音堂)へ参拝する…はずが、ここで想定外の事態に遭遇する。平成20年夏にその観音堂が雷で焼失し、現在観音像は下醍醐の金堂に安置され、納経所もそちらに移っているとのこと(正確には上醍醐の准胝堂ではなく、麓の女人堂の観音像を移したらしい)。というわけで、今回は山登りをせずに金堂を参拝した。登山がなくなって楽なのはありがたいが、残念な気持ちも大きい。准胝堂が再建されたら、是非参拝しに行こうと思う。しかし、下醍醐の境内も素晴らしい。周りを山林に囲まれていることもあって、俗世間の喧騒を寄せ付けない雰囲気がある。ひとつひとつのお堂も存在感があり、何よりこの時期は各所で新緑が輝きを放っていた。


仁王門


金堂(本堂)


不動堂


弁天堂


新緑が本当に美しい。


再建を心よりお待ち申し上げております。


本来であれば、ここから登山道に入る。


登山道入口にある女人堂。

  醍醐駅へ戻り、山科からJRに乗り換えて石山へ。駅前からバスに乗り、第12番札所、岩間寺を目指す。交通渋滞でバスが30分近く遅れたが、醍醐寺で山登りをしなかった分、まだ余裕がある。最寄りのバス停から岩間寺までは、約3キロの山道を登る(ちなみに、毎月17日はお寺まで直通するバスが運行されるとのこと)。3キロというと大した距離には思えないが、ひたすら山道の上り坂となると、これがなかなか厳しい。額から吹き出す汗をぬぐいながら、約40分掛けて何とか登りきることが出来た。


こんな山道を延々と歩く。

  山の上にあるからだろうか、岩間寺の空気は非常に澄んでいる。本堂で般若心経を唱えるのも心地良く、邪念だらけの私の頭の中も少しは綺麗になったかもしれない。また、このお寺では非常に丁寧に参拝されている巡礼者の方と一緒になり、お経の唱え方から境内での細かな振る舞いに至るまで、とても勉強になった。私も含めスタンプラリー感覚の強い巡礼者が増えている昨今、こういう方の存在は貴重である。


入口には仁王像が待ち構えている。


本堂


境内からの麓を眺める。


大樹が祭られている。

  山道を下るのは、体力的には楽な反面、足へのダメージは大きい。フラフラになりながらバス停に戻り、今度は第13番札所である石山寺へ。ここはバス停からすぐの場所にあるので楽だ。このお寺で印象に残るのは、何と言っても寺名の由来になってる硅灰石である。多くの参拝者がこの石の前で写真を撮っていた。また、本堂は非常に大きくて存在感があり、境内の自然溢れる景色も素晴らしかった。


「おおつ光ル君」 ギャグみたいな名前だ…。


硅灰石は迫力がある。


本堂の側面。


本堂の舞台から下を眺める。

  石山寺駅から京阪線に乗り、浜大津へ。駅前のラーメン屋「天下ご麺」で遅めの昼食をとる。朝に空港でおにぎりをひとつ食べて以来の食事である。注文は、インターネット上の口コミで絶賛されていた「近江鶏塩ラーメン」。あっさりした塩味で、若干何かしらの臭みがあるように感じられたものの、なかなか印象に乗るラーメンだった。

  浜大津から三条へ出て、京阪線と地下鉄を乗り継いで大阪難波へ。NGK(なんばグランド花月)のすぐ隣にあるたこやき屋「わなか」で早めの夕食。関西で大人気のたこやき屋ということで、私が行った時にも行列が出来ていた。しかし、大量に焼いているため待ち時間はほとんどない。今回、初めてここのたこやきを食べてみて、人気の理由がよくわかった。余計な味付けをせず、たこやき本来の味で勝負しており、しかもそれがめちゃくちゃ美味しい。中のトロトロ具合が最高だ。これがたこやきの王道であり、大阪の誇る食文化の一翼である。

  難波から地下鉄で肥後橋へ出て、今日の宿「アパホテル大阪肥後橋駅前」にチェックイン。入浴と洗濯を済ませてから、テレビでフィギアスケート世界選手権の女子フリーを見る。安藤選手が素晴らしい演技で見事に優勝し、おかげで気分良く眠りにつくことが出来た。