社会を見て、聞いて、感じる。

人生そのものがフィールドワーク。

4月28日(金)

2017年04月30日 20時01分01秒 | 2017年

  5時起床。今日は、2週間ほど前の休日出勤の振替休日を取って、一足早くゴールデンウィークの旅行(第1弾)へ出かける。最近は、4月から新しく担当することになった業務の影響で休日出勤の数が増えて、休日に仕事に出ては平日に振替で休むということが繰り返されている。今日のように平日に休めるのは嬉しいが、中には日曜日の19時から出張なんていう予定が入ったりもするから、それほどありがたくはない。

  6時過ぎに家を出て、新宿駅7時00分発の中央線特急スーパーあずさ1号に乗る。今回の旅行の一番の目的は、長野から松本を経由して南小谷へ向かうリゾート列車「リゾートビューふるさと号」に乗ることである。松本から南小谷までの大糸線の区間では、車窓から北アルプスを眺めることが出来るそうだ。しかしその前に、スーパーあずさ号からの景色もなかなか素晴らしい。

  定刻より少し遅れて、9時45分頃に松本駅へ到着。時間に少し余裕があるので、駅前にある和菓子屋「翁堂」の喫茶室でモーニングを頂く。プレートの一角にキャベツの千切りがドンと載っていて、それがとても甘い。一瞬、「これキャベツじゃないのかな?」と思ったくらいだ。

  松本駅へ戻り、10時41分発の快速リゾートビューふるさと号に乗る。この列車は臨時列車でGW期間の運転は今日からなのだが、今日はまだ平日なので乗客はほとんどいない。数日前に私が指定席を取った際には、2両編成の内1両は完全に空席だった。だから今回は、労せずして先頭車両の1番前の北アルプス側の座席(D席)を確保することが出来た。ここなら、自分の座席からはもちろん、目の前にある展望フロアからも自由に景色を眺めることが出来る。

  最初の停車駅は、穂高。列車はここで約30分間停車する。その間、希望する乗客は巫女さんの案内付きで穂高神社へ参拝することが出来る。私は先ほど載せた車両の写真を撮ったりしていたのでスタートに間に合わなかったが、穂高神社への参拝そのものはすることが出来た。

  ここから列車は、信濃松川、信濃大町、白馬、南小谷と進んでいく。進行方向左側には常に北アルプスが望め、白馬を過ぎた頃からは湖(仁科三湖)などの景色も眺めることができ、車窓から目が離せない。特に、北アルプスの険しい山々の景色は迫力があって、強く印象に残った。まさに、「リゾートビュー」の名にふさわしい列車である。松本からの乗車時間は、穂高駅での休憩時間を含めて約2時間。快速列車なので乗車券+指定席券(520円)で乗れ、これだけ素晴らしい時間が過ごせるのはありがたい。ただ、ひとつだけ難点を挙げるとするならば、終点の南小谷まで行ってしまうと、そこから先へ進むにも、引き返すにも、次の列車まで2時間近く待つことになる。スムーズな移動をしたい人は、終点までは行かないほうがいいかもしれない。

終点の南小谷駅が見えてきた。

  南小谷駅で途中下車(前述のとおり、そうする以外に選択肢はない)。予想通り、駅はとっても小さいし、駅周辺には小さな食堂くらいで、ほとんど何もない。駅のすぐ隣を大きな川(姫川)が流れていて、その対岸が住宅街になっている。

  対岸へ渡り、川沿いにしばらく歩いて、「おたり名産館」へ。ここで昼食をとることにする。地元のお母さんたちが運営しているお店で、店内は明るい雰囲気だ。注文は、名物の外二八蕎麦と、天ぷら。まず、天ぷらが出て来る。山菜の天ぷらだ。思わず笑みがこぼれてしまうほど美味しい。特にこごみが絶品(下の写真では隠れてしまっているが…)。そうそう、せっかくこういうところまで来たのだから、こういう地で採れたものを食べたいのだ。続いて、お蕎麦。これもまた、驚くほど美味しかった。私にとって蕎麦という食べ物は、最初の何口かは美味しく感じるものの、段々とくどさを感じてしまうものというイメージがあった。しかし、ここのお蕎麦にはそういったくどさが全くなく、すっきりした喉越しで、最後まで純粋にお蕎麦の香りや味を楽しむことが出来た。お蕎麦、特にざるそばをこれほど美味しいと思ったのは初めてかもしれない。

  姫川の水際まで下りて行って、次の列車の時間まで読書タイム。せっかくなので足を水に入れてみたら、めちゃくちゃ冷たかった。どんどん足が白くなっていき、10秒と入れていられない。しかし、その冷たさが癖になってしまい、日光で温まっている岩の助けを借りながら、足を水に入れては乾かし、入れては乾かしということを繰り返す。そんなことをしながらまったりしていたら、いつの間にか次の列車の時間が近づくと同時に、体全体が冷えていた。そそくさと足を乾かして靴下を履き、駅へ急ぐ。

  南小谷駅14時43分発の普通列車糸魚川行きに乗る。先ほど南小谷に着いたのが12時47分だから、やはりちょうど2時間くらいは経っている。ここから先は非電化区間になるため車両もキハ120系という一般気動車となり(先ほどのリゾートビューふるさと号はハイブリッド気動車だった)、同時にJR西日本の管轄区間になる。南小谷から糸魚川までの所要時間は約1時間。予想どおり、乗客はほとんどいない。私と一緒にリゾートビューふるさと号に乗ってきた鉄道マニアと思しきおじさん2名と、地元の方が2名ほどだったように思う。この区間の景色も素晴らしいので、観光で大糸線に乗る際には、糸魚川まで乗られることをおすすめしたい。

  糸魚川駅で、えちごときめき鉄道に乗り換え、今日の宿がある名立を目指す。北陸新幹線開通後に第3セクターの「えちごときめき鉄道」へ移管されたこの路線。JR線ではないので事前に首都圏で切符を購入することが出来ず、現地(今回は車内)で購入することになる。車内で車掌さんから切符を購入すると、なかなか珍しい形態の切符を発行してくれる。最初は現地購入なんて面倒だなと思っていたのだが、こんな切符を手に出来るなら大歓迎である。

この写真は名立駅に着いてから撮影した。

やけに華やかな座席だ。

サイズは大きいが、発駅と着駅がわかりやすい切符になっている。

  名立駅に到着。駅から日本海方面へ10分ほど歩いて、今日の宿である「うみてらす名立ホテル光鱗」に到着。ここは純粋なホテルではなく、道の駅に宿泊施設を併設させた形態の宿である。しかし、部屋はオーシャンビューで間取りも広く、下手なリゾートホテルより過ごし良さそうだ。

名立駅は川の上にある。

ここから、海沿いに向かって歩く。

今日の宿。結構大きな道の駅である。

  今回の宿泊プランでは、夕食のお造りと焼魚を、道の駅の中にある鮮魚コーナーで実際に並んでいる魚の中から自分で選ぶことが出来る。私は、お造りにはマトウダイ、焼魚にはホウボウを選んだ。しかし、実際には選んだというよりも、選択肢が3種類(残りの1種類は普通の真鯛)しかなく、ほとんど選択の余地がなかったといえる。マトウダイのホウボウも良い魚だが、少々釈然としない。

上がマトウダイで、下がホウボウ。

  夕食の時間まで、海辺を少し散策する。今日の海はとても穏やかで、日本海とは思えない。風もほとんどなく、散策には絶好の気候だ。しかし、すぐ近くにある風力発電機は少し寂しそうに見える。風がびゅんびゅん吹いて、風車が勢いよく回っている様子も少し見てみたかった。

  夕食は、先ほど選んだ魚たちを中心に、新潟牛のしゃぶしゃぶや天ぷらなど、思っていたよりも豪華だった。マトウダイのお造りはねっとりとした食感が特徴で、ほうぼうの塩焼きはそれなりに脂がのっていた。しかし、一番美味しかったのは、結局のところ牛肉だったように思う。魚ももちろん美味しいのだが、海沿いで地魚を食べているにしてはそれほどでもない、というのが正直なところである。

  夕食後、道の駅に併設されている入浴施設で汗を流す。温泉ではなく、古いスーパー銭湯といった感じだが、やはり広い湯船につかると体が軽くなる。

  先ほど、宿について(特に食事について)少し不満を述べてしまったので、良いところも書いておこうと思う。スタッフの皆さんの対応は素晴らしく、心癒されるものがある。マニュアル的にそうしているというよりも、とても自然体で、本当に歓迎されているんだなと思えるのだ。本当の「おもてなし」というのは、こういうことを言うのだと思う。これは一朝一夕に真似できるものではなく、この宿の大きな強みだと思う。

  入浴後は、部屋でまったりと本を読んで過ごす。最近は、道中に本を読むのが旅行の楽しみのひとつになっている。旅行の時以外にまとまって本を読む時間が取れない、というネガティブな理由もひとつにはある。しかし、非日常の空間で本を読むという行為そのものが、何かとても貴重な体験のように思えるのだ。同じ本でも、読んでいる自分が置かれている環境によって感じたり考えたりすることが変わってくるのではないかと感じる。時には、読みたい本を買ってもすぐには読まず、「これは次の旅行の時に」とストックしておくこともあるくらいだ。今回の旅行には文庫の小説を3冊持ってきて、もうすぐ2冊目を読み終える。少しオーバーペースなので、今晩は予定より早く寝ることにした。確か、22時過ぎだったと思う。ちょうど、瞼も少し重くなってきたところだった。


4月15日(土)

2017年04月26日 19時03分10秒 | 2017年

  6時半起床。朝食はバイキング。地元の食材を使った料理が多く、お腹いっぱい食べる。

  貸切の露天風呂に入る。朝日を浴びながら入るお風呂も素晴らしい。湯船のへりに寝転がって、風の冷たさとお湯の温かさを楽しむ。大抵の貸切風呂の場合、小一時間の持ち時間を持て余すことが多いのだが、ここの貸切露天は時間いっぱい満喫してしまう。

  9時過ぎに宿をチェックアウトして、磐梯吾妻スカイライン経由で会津若松を目指す。磐梯吾妻スカイラインは冬季閉鎖が終わったばかりなので周囲がまだまだ雪深く、途中には火山ガスが発生しているために窓を閉めなければならないところ、駐停車が完全に禁止されているところなどもあった。峠からの眺めも素晴らしく、一面の雪景色は神秘的でもあった。

火山ガス発生中の一帯。確かに、火山感がある。

峠は風が強く寒さが堪える。景色も相まって、季節が冬に逆戻りしたような気持ちになる。

写真を撮っている私が立っている雪の塊の下は空洞になっていたらしい。いやいや、写真を撮っていないで教えてくださいよ。

日頃からの風の強さがよくわかる。

  会津若松市内へ戻ってきて、「とん亭」で昼食。会津名物のソースかつ丼が有名なお店である。注文は、これもまた会津名物の馬刺し、私がソースかつ丼、妻が馬肉のソースかつ丼。ここのソースかつ丼は、お肉はもちろん、お米やキャベツ、お椀までも地元で作られたものを使用している。馬刺しは赤身で柔らかく、味も濃厚。ソースかつ丼はソースが濃いめで、がっつり系といえるだろう。妻の注文した馬肉のカツはさっぱりしていたが、やはりカツ丼にするなら豚肉のほうがいいように思う。

 

  鶴ヶ城を観に行く。生憎雨が降り始めてきたのでゆっくりと散策することは出来なかったが、難攻不落の名城といわれただけあって、存在感は抜群だった。

  私にとってはこれで3日連続となる「會津壱番館」で休憩。一昨日初めて来た時に、妻も連れて来ようと決めていた。今回私は、会津の蜂蜜を入れる珈琲とバナナシフォンケーキを注文。珈琲と蜂蜜の相性は思っていた以上に良く、砂糖やミルクの甘みよりも味わい深く感じられた。

  会津若松駅でお土産を買い、ホームへ出る。今日は、ここから新潟までSLばんえつ物語号に乗る。留置線では、ちょうどSLを客車に連結する作業が行われていた。立ち上る煙、噴出する蒸気、機関車が呼吸する様子に目が釘付けになる。やはり、蒸気機関車は生きている。ホーム入線のために動き出した時には、感動で身体が震えた。

SLが後退しながら客車に近づいていく。

連結完了。

出発が近づいてきた。

客車もなかなか味のある外観だ。

ホーム入線のため、留置線から一旦引き上げる。

さあ、いよいよ入線だ。

みんな入線を待っている。

推進運転(後退)で入線してきた。

  会津若松駅の出発は15時25分。普通車のボックス席に陣取り、人生初のSL旅がスタートする。せっかくなので、車内を探索。展望デッキや最後尾のオコジョ展望車両などを満喫し、売店コーナーで新潟地ビールとこしひかりジェラートを買って帰ってきた。

最後方の窓から。煙が一直線に続いている。

売店のメニューも豊富で、SLグッズも数多く用意されている。

ボックス席を2人で占領できたので、足を伸ばしてくつろげた。

  野沢駅で10分間ほどの停車時間があるため、駅のホームへ出る。SLの横では、機関士さんや整備士さんが集まって打ち合わせをしていた。機器の稼働状況や注意点、メンテナンスの内容など、かなり具体的な話をしている。やはりSLは精密機械であって、動かすためには綿密な計画と細心の注意が必要なのだ。ちなみに、私たちはここで専用プレートを持って記念写真を撮ってもらった。こういうサービスがあるのはありがたい。

みなさん真剣な表情で打ち合わせを行っている。

  普通車は、窓を開けることが出来る。気温が低いのでずっと開けているわけにはいかないが、煙の香りを味わいながら眺める景色は格別だ。また、車内ではSLグッズを景品に、じゃんけん大会が行われた。スタッフのお姉さんが一生懸命で、思っていた以上に盛り上がる。私たちは残念ながら負けてしまったが、ちょうど中だるみの時間帯にこういうイベントを組み込むことで、一般的には長いと思われる3時間40分の旅も充実したものになるのだろう。JR東日本の営業努力の賜物である。

  車掌さんの車内改札で、切符に専用の判子を押してもらう。乗車手帳へのスタンプも合わせて、乗車の良い記念になった。

  2度目の休憩は、津川駅。山あいの静かな駅で、ちょうど夕日が沈んでいくところだった。ここで、SLへの水の補給とメンテナンスが行われた。

給水中に、石炭も取り出しやすいように移動させている。

機関士さんは休憩中?

ネジの締りの確認など、メンテナンス作業が行われていた。

  先に進むに連れて、周囲が暗くなってくる。最後の1時間は、座席でゆっくりと過ごした。当初はリクライニングしないボックス席で4時間近く座っているのは大変かと思ったが、イベントなどで座席にいない時間も多かったし、何より2人だと靴を脱いで向かいの座席に足を伸ばせるので、むしろ快適だった。

  新潟駅には、ほぼ定刻(19時06分)通りに到着。初めての蒸気機関車の旅は、期待以上に楽しかった。鉄道マニアではない妻も、想像していたよりも楽しめたようである(但し、3時間40分は少し長く感じたそうだ)。

 

 お世話になりました。

  新潟駅から越後線に乗り、1駅先の白山へ。先日も仕事の関係で降りた駅だが、今日は目的が違う。

  駅から歩いて、白山公園へ。新潟ではちょうど桜が満開になっているようなので、夜桜見物をする。園内の桜はまさに満開で、たくさんの花見客で賑わっていた。ライトアップがそれほどあるわけではないため派手さはないが、夜ならではの妖艶な美しさを感じることが出来た。

屋台群の出入口が狭すぎませんか?

  タクシーで新潟駅へ戻り、駅前にある郷土料理居酒屋「越後番屋酒場」へ入る。のどぐろの塩焼きやバイ貝のお刺身を中心に、軽めの食事をする。やっぱり、せっかく新潟に来たのだから地のものを食べないと。

お通しは、ホタルイカ。

筍もほくほくで美味しいが、食べられる部分はだいぶ少ない。

バイ貝のお刺身。

サーモンハラス焼き。

のどぐろの塩焼き。

笹寿司。新潟の郷土料理らしい。

新潟こしひかりのおにぎり(塩辛)。

  東京行きの最終新幹線、新潟駅21時34分発のMAXとき350号に乗る。先日、2020年度末を目途に引退することが発表されたMAX車両。通勤需要に対応するために定員を増加するため、2階建てになっていたり、自由席は3+3の座席になっていたりと特徴の多い車両だ。土曜日の最終ということで乗客は驚くほど少なく、私たちの車両は片手で数えられるくらいしか人が乗っていなかった。ここまで空いていると、逆にちょっと居心地が悪い。

8両×8両の16両編成の車両だ。

3+3の自由席座席。新幹線でこの座席レベルはちょっと厳しい。

私たちが乗ったのは、普通の2+3の指定席。

今回は1階席を選んだ。このホームすれすれからの光景もいずれは見られなくなるのか。

新潟駅の売店で、ルマンドのアイスを見つけた。モナカアイスの中に、ルマンドがそのまま入っている。

車内販売でもアイスクリーム(いちごのアイスモナカ)を購入。苺ミルク風味の美味しいアイスモナカ。

  東京駅到着は23時40分。帰宅は0時を回ってからだった。


4月14日(金)

2017年04月25日 18時03分21秒 | 2017年

  6時半起床。まずは貸切状態の露天風呂で汗を流す。朝の冷たい空気が気持ち良い。

  入浴後は地元の牛乳を飲む。さっぱりとしたコクがあって美味しい。

  8時過ぎにチェックアウト。この旅館はお風呂だけでなく、部屋の雰囲気やスタッフの方々の接客も素晴らしかった。次は是非食事つきのプランでゆっくりしたい。

  昨日と同じ「會津壱番館」へ立ち寄り、モーニングを頂く。久しぶりにバタートーストを食べた。外で食べるトーストは、家で自分で焼いたものよりも美味しく感じる。

  東京から新幹線経由でやってくる妻を猪苗代駅に迎えに行く途中で、猪苗代湖に出る。穏やかな天気で風もないので、湖畔は驚くほど静かだ。鴨たちが追いかけあっている水の音だけが聞こえてくる。

  湖畔の道を走っていると、湖の反対側に磐梯山が見えてきた。雄大という表現がよく似合う佇まいの山だ。思わず、路肩に車を止めて眺めてしまった。

  猪苗代駅に到着。せっかくなので入場券を買い、妻の乗ってくる電車を出迎える。車内が結構混雑していたようで、降りてきた妻は少しお疲れの様子だった。

  五色沼のハイキングをしようということでハイキングコースの入口まで行ったのだが、雪がたくさん残っていて入れない。というか、コースの道がわからないくらい積もっている。仕方がないので、とりあえず目の前にある毘沙門沼を眺める。この場所に春がやってくるのはもう少し先のようだ。

  ハイキングコースの出口へ向かって車を走らせていると、桧原湖という大きな湖に出る。とても大きな湖で、そのほとんどが凍っている。しかも、その上に小屋が建てられていたり、車が走った跡があったりする。表面の氷はかなり分厚いのだろう。このような光景は映像や写真などでこそ見たことはあったが、生で観たのは初めてである。

  ハイキングコースの出口付近にある柳沼、母沼へ向かい、雪の積もった道らしき部分を歩く。道筋がわからないので私は腰が引けてしまっていたのだが、意外に妻がずんずん進んでいくので、付いて行かざるを得なかったのだ。しかし、進んでいくのが難しい分、沼の周辺はなかなか神秘的な空間になっていた。

  ハイキングを断念したことで時間にかなり余裕が出来たので、喜多方まで行ってラーメンを食べることにする。妻が以前にも来たことがあっておすすめだという「まこと食堂」へ。店内はかなりの盛況で、人気の高さがうかがえる。出て来たラーメンは確かに美味しいが、私には少し素朴過ぎて物足りず、こそこそと胡椒を振っていたら妻から咎められてしまった。

  再び車を走らせ、今日の宿のある高湯温泉へ向かう。その道中はほとんどが山道で、運転はかなり大変だった(アクセルとブレーキの繰り返しで足がパンパンになった)が、所々で素晴らしい景色が見られたり、野生の猿が見られたりと、なかなか印象的なドライブになった。

この地域では、今はちょうど梅の盛りらしい。大迫力の梅の木がたくさんあった。

  高湯温泉に到着し、今日の宿「安達屋」にチェックイン。期待以上に風情のある旅館である。

  16時に貸切風呂の予約が出来たので、その前に少し散策に出る。とは言っても、周辺はなかなか急な坂ばかりなので、行動範囲はそれほど広げられない。宿の裏にある薬師堂にお参りをして、湯畑を眺めながら坂を下り、人口の滝に登った。これだけで、そこそこ息が上がってしまった。

  夕食前に、貸切の露天風呂に入る。ここの温泉は白濁の硫酸塩温泉で、肌への刺激はそれほど感じないが、ほのかな硫黄の香りに加えて、口に含むとレモン水のような酸味がある。私個人の好みからすると、理想的な温泉の泉質のひとつだ。あまりに気持ちが良くて、ずっと入っていられるんじゃないかと思えるほどである。広さや雰囲気も申し分なく、2人だけでこの露天風呂を貸し切れるというのは贅沢だ。

  夕食は、囲炉裏焼きを中心としたコース料理。魚介や鶏肉、野菜の囲炉裏焼きで自由に焼きながら、コース料理として前菜、お造り、鍋、煮物、焼物などが出て来る。どの料理も本当に美味しくてどんどん箸が進んだが、一番印象的だったのは日本酒かもしれない。妻がたまたま頼んだ南会津の地酒の美味しさが忘れられない。後日、通販で購入してしまったほどである。

囲炉裏焼きだけでお腹いっぱいになりそうだ。

囲炉裏焼きの中では、海老が特に美味しい。焼いた海老を美味しいと思ったことはこれまでほとんど記憶にないので、印象的だった。

お造りは、ナマズ。これといった癖はなく、とろみがあって美味しい。

妻が注文した会津酒造の「山の井(純米吟醸)」が、衝撃的に美味しい。すっきり感はきちんとあるのに、甘さも強い。普段は全くお酒を飲まない私も、これにはついつい手が伸びてしまう。

和牛ステーキのミルフィーユ。急に洋風テイストが入ってくるのと、お肉の柔らかさと、二重に驚かされる。

筍ご飯。筍はそれほど多く入っていないが…。

デザートは、ロビーの囲炉裏で頂く。レアチーズ三種のベリーのせ。

  夕食後、温泉にゆっくり浸かる。この宿にはとても広い露天風呂があって、それが名物のひとつにもなっている。しかも、その中に打たせ湯や寝湯、洞窟風呂があったりして面白い。ただ、混浴なのが少しつらい。妻は一足早く女性限定の時間帯に入っていたのだが、私のほうは混浴時間にしか入ることが出来ないので、あまり落ち着かなかった。結局、女性どころか他に誰も入ってこなかったのだが。


4月13日(木)

2017年04月24日 00時06分37秒 | 2017年

  5時半起床。今日と明日は年度末の休日出勤の振替休日を頂き、2泊3日で福島へ旅行に行く。6時半前に家を出て、京急線と都営浅草線を乗り継いで浅草へ。平日の朝7時過ぎなので、さすがの浅草でも人はほとんどいない。

  浅草駅07時30分発の特急スペーシアけごん5号に乗り、下今市を目指す。今日は、ここ浅草から東武線、野岩鉄道、会津鉄道、JRの4社路線を通って会津若松まで行く。

  下今市で快速に乗り換え、鬼怒川温泉へ。先ほどまで乗っていた日光行きの特急は外国人観光客などでそれなりに混雑していたが、平日のこんな朝早くから鬼怒川方面に向かう人はほとんどおらず、車内は地元の人たちがぽつぽつ乗っているだけだった。

  鬼怒川温泉からは、快速AIZUマウントエクスプレス1号(10時01分発)に乗る。AIZUマウントエクスプレスというと、今は内装が豪華なAT-700/750型(赤色の車両)が人気だし、実際に前回乗った時はその乗り心地の良さに感動したのだが、今回乗車するのはひとつ古いAT-600/650型。これに乗るために、わざわざ早起きをしたのだ。AT-700/750型に比べれば、インパクトも弱いし内装もシンプルと言える。しかし、私にとってはそれもまたひとつの魅力であるように思われるのである。

  出発後、朝食兼昼食として、鬼怒川温泉駅で購入した「日光いなり」を頂く。牛しぐれや山菜など、5種類のいなり寿司が入っている。これは美味しい。元々いなり寿司が好きということもあるが、どの具材との相性も良く、味の違いを楽しむことが出来る。

  1時間半ほど列車に揺られ、塔のへつり駅で途中下車。駅から5分ほど歩いて、国の天然記念物にも指定されている塔のへつりを観に行く。エメラルドグリーンの川に架かる吊り橋と、その先にある断崖。吊り橋の上から眺める景色が素晴らしく、風も気持ち良い。吊り橋の先にある岩山にはお堂もあって、仏像が安置されている。岩の表面を触ってみると思っていたよりも柔らかく、砂を固めたような感触がして、簡単に削れてしまう。長年の川の流れや風雨で削られてきたというのもうなずける。ちなみに、「へつり」というのは地元の言葉で「断崖」を意味するそうで、塔のように見えるへつり(断崖)があることから「塔のへつり」と呼ばれるようになったそうだ。

立派な橋だが、それなりに揺れる。

お堂の中に入ることは出来ないが、中にいらっしゃる仏様はきちんと見える。

崖上の展望台からへつりを眺めると、岩肌の浸食ぐあいがよりわかる。

  塔のへつり駅に戻り、列車を待つ。簡素なホームに立っていると、風で木々が揺れる音と鳥の鳴き声だけが聞こえてくる。本当に静かな空間なので、線路のわずかな振動の音が列車の接近を知らせてくれる。

乗る列車が入ってきた。1両のワンマン運転だ。

  次の駅、湯野上温泉で再び途中下車。この駅は、本当に絵になる。ここを通り過ぎるわけにはいかない。

  先日宿泊をしたホテル大島で日帰り入浴をしようと伺ったのだが、水道管に漏れが見つかって修理中とのことで、運悪く入ることが出来なかった。どこで漏れているかを確認するために、一度全てのお湯を止めなければならないそうだ。また、実は前回宿泊した際に冷蔵庫の飲み物を頂いた代金を払い忘れていて、ついでに払おうと思ったのだが、「こちらが確認し忘れちゃったんだから」とサービスにしてくださった。ありがとうございます。必ずまた伺います。

  「露天風呂入浴できます」という大きな看板を見つけたので、「えびす屋」で日帰り入浴をお願いする。「この時間だと他に誰も来ないし、せっかくだから男性用も女性用も、両方のお風呂に入っていって」という優しいお言葉に甘えて、2カ所の露天風呂を独り占めさせて頂く。源泉かけ流しで、常に湯船からお湯が溢れ出ている贅沢な露天風呂だ。入ってすぐに、血管が拡張して血のめぐりが良くなり、身体が軽くなっていくのがひしひしと感じられる。途中からは半身浴で本を読んでいたのだが、今振り返ってみても、本当に幸せな時間だったと思う。

  湯野上温泉駅に戻り、13時36分発の快速AIZUマウントエクスプレス3号に乗る。今度は、豪華なAT-700/750型車両だ。さっそく、ふかふかのシートに滑り込む。ここからは初めて乗車する区間なので、終点の会津若松まで車窓を眺めながらのんびりと過ごした。

  会津若松駅に到着後、しばらくの時間、駅構内を散策して列車の写真を撮る。会津若松周辺は電化されていない区間も多いので、数多くの気動車を見ることが出来た。国鉄時代のキハ40系がこれほど集まる駅というのも、今となってはかなり珍しいのではないだろうか。

  レンタカーを借り、今日の宿、東山温泉の「新滝」へ。チェックインをしてから、さっそく温泉に入る。ここには湯治場時代をイメージした古風なお風呂があって、雰囲気が素晴らしい。泉質は硫酸泉だと聞いていたので少し刺激があるのかと思いきや、肌に優しいお湯でゆっくりと浸かることが出来た。湯野上温泉もそうだが、このあたりの温泉はお湯が柔らかい。

  部屋で少し休憩してから、夕食をとるため再び会津若松市街へ出る。会津名物の馬肉をはじめとした郷土料理を食べるため、「鶴我」へ。宿を出る前に電話を入れておいたら、のれんで区分けされた半個室のようなテーブルを用意しておいて下さった。注文は、馬刺しの8種盛(実際には9種盛だった)、桜鍋、郷土料理名物セット(にしん山椒づけ・棒たら煮・天ぷら饅頭)。食べたいものを厳選した。

飲み物は会津あずき茶。すっきりとした味で美味しいが、あずき感はそれほど感じない。

お通し。もずく酢が特に美味しい。

馬刺し8種盛。定番の赤身に始まり、カシラのルイベ、脊椎、フタエゴ、ユビヌキ、タテガミ、レバー、タン、ホーデン(睾丸)と、様々な部位を食べられる。どれも印象的な味で美味しいが、分厚い赤身やこりこり感のあるレバー、なめらかな食感のタテガミが印象的だった。

赤身。こんなに分厚い赤身は初めて食べた。

脊椎。つるつる、こりこりした食感。

タテガミ。これまで食べたタテガミとは全く違う味。こんなに美味しかったとは。

レバー。新鮮で臭みが一切なく、ねっとりした食感の中にこりこり感があるのが印象的。

ホーデン(睾丸)。しっとりした舌触りの中にほのかな甘さと香ばしさがある。

タン。見た目がまさにという感じ。歯ごたえが良い。

さくら鍋。馬肉(フタエゴ)をすき焼き風の鍋でしゃぶしゃぶして、卵につけて食べる。お肉は刺身用の新鮮なものなので、ちょっと火を通すだけでいい。お肉をつける卵もふわふわに仕上げられている。私はちょっと長めにしゃぶしゃぶするのが好きだ。お肉を食べた後、その脂の入った鍋に入れて食べる野菜や豆腐もまた美味しい。

会津三大名物セット。にしん山椒づけ、棒たら煮、天ぷら饅頭。天ぷら饅頭の甘じょっぱさが絶妙。

  食後のデザートを食べに、「會津壹番館」へ。野口英世が左手の手術を受けた会陽医院の建物の1階が喫茶店になっている。建物の外観はもちろんだが、中の雰囲気もレトロで落ち着いている。ホットコーヒーと地元の酒蔵で出た酒粕を使ったプリンを注文(デザートセットになってアイスクリームもついてきた)。珈琲もそうだが、酒粕プリンが濃厚で美味しい。

  旅館へ戻り、温泉にゆっくりと浸かってから、部屋で本を読む。この2泊3日で読もうと文庫の小説を2冊持ってきたのだが、一気に読み終えてしまった。まあ、明日からは妻が合流するから、本はなくていいのだが。


4月8日(土)

2017年04月23日 22時21分12秒 | 2017年

  8時起床。朝からしとしとと雨が降っている。最近庭先で急激に成長し始めた雑草たちがきらきらと輝いている。昨年は管理人さんに勝手に除草されてしまったが、今年は自由に生えられるようにしておくからね。

  妻と一緒にお散歩へ。桜を眺めながら、呑川沿いを池上本門寺まで歩く。少し雨が降っているが、雨の中の桜もそれはそれで絵になる。途中で雨が強くなり、傘を求めてコンビニに駆け込んだのはご愛嬌。

  本門寺の少し手前にある養源寺では、お祭りが行われていた。雨でそれほど人は集まっていないものの、本堂の裏に咲いている桜と菜の花が綺麗だった。晴れていれば、もう少しゆっくり出来たのだが。

  本門寺に到着。本門寺の境内にある桜も満開だった。また、理由はよくわからなかったのだが、仁王門から大堂に向かう間の道にたくさんのチューリップが置かれていた。

  池上駅方面へ戻り、「ますだや」で昼食。妻は(確か)鴨南蛮と肉野菜炒め、私は鍋焼きうどんを注文。接客係のお兄さんの接客が何かの病気なんじゃないかと思うほど悪くて閉口したが、鍋焼きうどんの海老もめちゃくちゃ大きかったし、味も美味しかった。接客にさえ目を瞑れれば、良いお店だと思う。ただ、さすがにこのレベルの接客を披露されてしまうと、もう一度訪れようとは思えない。

  「浅野屋本舗」に入り、あんみつを食べる。池上に来たら100%このお店に寄ってあんみつを食べているような気がする。あんこをこしあんに、蜜を白蜜にしてもらえることと、牛皮と白玉の美味しさがこのお店の魅力だと、個人的には思っている。

  帰りも、呑川沿いに歩く。やっぱり、桜は綺麗だ。他にも綺麗な花はたくさんあるが、桜は別格だと思う。この時期に桜を愛でる機会を設けないと、きちんと春を迎えていないような気持になるだろう。