![]() | 失敗の心理学―ミスをしない人間はいない (日経ビジネス人文庫) |
芳賀 繁 | |
日本経済新聞社 |
今回は、芳賀繁『失敗の心理学―ミスをしない人間はいない』を紹介します。2種類あるミスと違反の原因について説明してあります。そして、ミスを防ぐための工夫について台所と鉄道の事例を使って説明してあります。ミスのメカニズムに関しては詳しく言及してあったのですが、ミスって具体的にどうやって防ぐんだろうという観点があまりなかったですね。具体的に説明してあるのは好感が持てますし、各章ごとにまとめがありますので、論旨はつかみやすいのではないでしょうか。
ミスの種類は2種類あるということです。一つ目は動作の実行段階の失敗にあたるスリップです。二つ目は動作の判断状態のミスにあたるミステイクです。スリップは、やろうとして行動は正しいにもかかわらず、失敗してしまうことを言い、ミステイクは見間違いや聞き間違い、錯覚、早とちり、思い込みなどそもそもその行動が間違っているということです。ミステイクのほうが間違いが気づきにくいという特徴があります。
違反は、自分で意図的にルールを破る行動ということになります。ルールをそもそも理解していなかったり、ルールを破ったとしても何も咎めなかったり、そもそもルールをだれも守っていなかったりすることが原因としてあります。
意図的に侵すわけではないスリップやミステイクといったミスについては寛容に、違反に関しては厳しく取り締まる必要があるでしょう。そして、あらかじめミスがあるかもしれないということから組織づくりを行う必要があるでしょう。