叫びと祈り (ミステリ・フロンティア) | |
梓崎 優 | |
東京創元社 |
今回は、梓崎優『叫びと祈り』を紹介します。うーん、どの話も読み進めるのがすごく苦痛な作品でした。つかみが長すぎて、話にまったくはまらなかったですね。文章のだらだら感が好みじゃないかな。これはミステリーなんでしょうから、謎をはっきり浮かび上がらせてほしかったな。砂漠を走る船の道だけだと4.0ぐらいの評価なんだろうけど、全てを鑑みると3.0ぐらいの評価に落ち着くのかな。
物語は、斉木という人物が雑誌の取材のために世界中を旅して、そこで遭遇する謎を解くみたいなものかな。そこの伝統のものを使ったミステリーになる。
砂漠を走る船の道:サハラ砂漠で塩を運ぶキャラバンのなかで殺人事件が起こる。ミステリーの出来としてはこの作品がいちばん良かった。
白い巨人(ギガンテ・ブランコ):スペインのレエンクエントロの風車(兵士パズル)にまつわる推理合戦。
凍れるルーシー:ロシアのモスクワの修道院で一人の修道女(リザヴェータ)が眠っているという。その彼女の列聖(聖人として認定する儀式)をお願いされた。そのなかで謎が起こる。
叫び:南米アマゾンの先住民デムニの集落でエボラ出血熱が発生した。その中で謎が起きる。
祈り:最後はつながるという連作短編みたいなものを描きたかったんだろうけど、まったくわけがわからん。著者は、斉木という人物に対してどういう決着がつけたいのかね。