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パライソメッセージ20130426

2013-04-26 19:20:10 | メッセージ

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パライソメッセージ 2013.04.26

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 「パライソメッセージ20130426」を送ります。「不要だ」「余計なお世話だ」といわれる方は、お手数ですがその旨ご連絡お願いします。

 

【主張・意見・コメントのページ】

テーマ:私がブラック企業を告発する理由(2)-ブラック企業とは何か②-

 今野著「ブラック企業」の中で、ブラック企業が若者を食いつぶす動機を3つのパターンに分類している。第1が①「選別」『(大量募集と退職強要)である。大量に採用したうえで、「使える」者だけを残す』(今野・同書)である。第2は②「使い捨て」『(大量採用と消尽)という動機がある。これは文字通り、若者に対し、心身を消耗し、働くことができなくなるまでの過酷な労働を強いる』『大量に新卒を募集して、次々に遣い捨てるため、労働不能の若者を大量に生み出す』『従来の大企業では見られなかったこと』(今野・同書)だ。第3は③「無秩序」『つまり動機がない場合。これは明らかな経営合理性を欠いているようなパターンである。パワハラ上司による(辞めさせるためではない)無意味な圧迫や、セクハラ』(今野・同書)と分類し、各々を特徴付けている。

 さらにブラック企業の行動特性のパターンを示している。①月収を誇張する裏ワザ、②「正社員」という偽装、③入社後も続くシューカツ、④戦略的パワハラ、⑤残業代を払わない、⑥異常な36協定と長時間労働、⑦辞めさせない、⑧職場崩壊、などブラック企業のパターンを特徴付けている。

 こういった分類やパターンは、新型ブラック企業についての今までになかったカテゴライズとして試みられており、貴重な視点である。若者のトレーニングに厳しい会社は、いわゆる『ホワイト企業』でも多くあるが、新型ブラック企業の場合は、有名会社であっても怪しげなベンチャーIT企業であっても共通して「お前らは荷物だ、屑だ、害だ」などといって若者を追い込み、人格否定をし若者の精神・肉体を蝕み、無神経に使い捨てる。人格否定を徹底することによって若者はあらゆるサジェッションに対して従順になり、平伏する。そして求められる目標(例えばとてつもなく高いノルマであっても)に到達できなければ、自分の努力や力が足らなかったと、自己責任と自己否定の負のスパイラルに陥る。それは、マインドコントロールの手法でもあり、そこに新型ブラック企業の反社会性、社会問題としての新型ブラック企業の一端がある。

 具体的に見ると、最近柳井社長自らが多くのマスコミ・メディアに登場し躍起に「ブラック企業は誤解だ」と否定し、「それでも若者を鍛える」と居直っているファーストリテーリィング・ユニクロは典型的な選別型と使い捨て型の複合型ブラック企業だろう。最近の日経新聞の記事では、来年度もユニクロは630名以上の新卒採用を計画している。そして300名以上は身も心もぼろぼろにされて3年以内に退職していく。柳井社長への批判は後述する。

 『選別型』はベンチャー型IT企業、ITコンサル業と称している企業などに見られる場合が多い。例えば社員総数80名くらいで新卒採用25名。入社前の内定の時期から『研修』が始まり、資格取得が求められる。その前に『お前らは先輩や会社が稼いでくる利益をむさぼっている。人間以前の害だ。』といわれ、入社前つまりまだ学生の時期から超ハードな研修を課し、企業理念やマニュアルの丸暗記、スキルの習得、まったく仕事と関係の無い街角で大声でプレゼンをするなど徹底的にしごきあげる。早く『害から人間になれ』と言われ、着いていけなくなったり、少しでも疑問を持ち質問をすると『害』が何を言うかととばかり『個人研修』『特別研修』に追い込む。皆の中で一人だけトレーナー姿を強いられ真ん中に座らされ一日中自己否定と反省の自分史を書かされ、いつまで書いてもOKが貰えない。そんな異常なハラスメントが行われているが、会社の狙いはトレーニングでもなんでもない。25人の内定者を2~3名に絞り込むことなのだ。内定ではあっても雇用契約の成立と一般的には見做されるし、社名公表のリスクがあるから、そういった会社は『内定取り消し』とはせずに『自己都合による内定辞退』へと追い込む。その結果20名以上の若者のメンタルが潰れてしまおうが、肉体が蝕まれようがブラック企業は平気である。この話は、実際にあった話だ。

 『使い捨て型』は、コンビニの『名ばかり店長』などが典型だろう。経験も少ない若者を店長として管理監督者の裁量労働制とし、残業代は払わず過酷な勤務を強いる。多くの裁判にもなっている若者の過労死や、実質的には裁量労働でもなんでもない『名ばかり店長』の残業代の不払いなどによって、若者は精神・肉体が疲弊し正常に働けなくなる。ブラック企業は、名ばかりでも「正社員」を看板に上げるといくらでも若者が集まるといった状況を利用し、次々と使い捨てる。

 また、異常な36協定による過酷な長時間労働も『使い捨て型』の典型だろう。労働基準法では労働時間は週40時間と定められている。しかし、法36条に基づき協定を締結すればその時間内は残業をさせることが出来ることとなっている。36協定により厚労省の定める過労死ラインの月80時間を越える残業時間での協定を強制する企業は少なくない。「過労死ライン」を超える36協定を締結しても違法にはならないというのが現状であり、そもそも協定が無いとかサービス残業といった違法・脱法行為ではないために、『ホワイト企業』と見られる企業でもまかり通っているのが現状である。

 『無秩序型』の典型は、裁判で結審している『電通事件』などがある。

 1991年に電通入社2年目の社員が自殺した事件は、90年4月入社の0さんが、非常識なほどの長時間労働を強いられ、懇親会の場で靴にビールを注がれて飲まされた。0さんは過酷な労働と非常識なモラルハザードのハラスメントの挙句、うつ病に罹患し翌年自殺した事件である。この事件は0さんの両親が電通を告発し、最高裁まで争われ、結果電通のほぼ全面敗訴で結審した。詳細はインターネットで「電通事件」と検索すればたくさん出ている。

 今回は加筆の余裕があまり無いので、次回のパライソメッセージでは、この間のユニクロの柳井社長の『居直り』の『弁解』を徹底的に批判する予定。

 

【一押しBook】

書名:過労自殺と企業の責任

著者:川人 博(弁護士・過労死弁護団全国連絡会議幹事長、1949年生まれ)

出版社:旬報社 1,600円

内容:

 Karoshi Suicide Salaryman (description)= “Karoshi”is a Japanese word means “death by overwork.”と『過労死』は今日では世界語となっている。これは「日本語であり・・・」と書かれているように、日本特有の現象だ。昨今、竹中平蔵氏、三木谷社長や経団連などが声高に、あるいは口汚く日本の雇用慣行である終身雇用や年功序列賃金を批判している。戦後の日本における雇用慣行は、終身雇用や年功序列賃金であったし、労働者はそのことによって安心感を持ち生活や人生設計をしてきた。一家の大黒柱は家族を支え、マイホームを手に入れるために、高度成長期には過酷な労働にも耐え抜いて働きまくり、また日本の高度成長を支える原動力にもなっていった。ただし、この本に紹介されている過労死は、高度成長期の話ではない。現在の話だ。

 超過酷な労働の質と量、モラルハザードされたハラスメント、非現実的な過大なノルマ等々に心身にひどいダメージを受けて死に至る、あるいは自殺した例がいくつも報告されている。全ての事例が労災に認定されたものや裁判で確定判決となったもので、オリックス、電通、ニコン、ネクスター(ニコンへの人材派遣会社)、大和製罐、等々の事例が報告されている。若年労働者の自殺は昨今急速に増えている。彼らの言う「解雇自由化」や「ホワイトカラーエグゼンプション」は、雇用の流動化や衰退産業から成長産業へ、などのきれいごとでは決してなく、過労自殺といった重たい現実がバックグラウンドにあることを見なければならない。本書は単に告発に終わらず、「「自殺大国」日本から脱却するために」「働くもののいのちと健康を守るため」などの重要な提言に富んだ、われわれ働くものの必読の書である。

(続く)

コメント
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