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大峰奥駈の道 Ⅳ-③

2008-10-13 19:24:20 | 
    香積山山頂
 

           大峰奥駈の道 Ⅳ-③
    
 玉置神社の御神木    

 山道を歩いていくと再び林道が並行し、そこが「かつえ坂」の上り口だ。十四時二十五分着。ゆっくり目のペースだが順調に来た。ここまで来ると本日のゴールである玉置神社まではもう少し。右に林道、真ん中に尾根伝いに「かつえ坂」、左側に道が続きその道は「勧業の森」から玉置山の東側、「宝冠の森」へと続いている。
 我が一行は「かつえ坂」を上っていく。本日最後のアルバイトで十四時五十二分、ついに「玉置山(たまきやま)」頂上(標高千七十六メートル)に到着。頂上は開けており、時を告げる鐘が吊るされてある。我が一行が玉置山頂に着いたとき、山頂には学生のようだが、外国人と日本人の女性の二人連れが弁当を食べていた。
 山頂で小休止の後、玉置神社へと降りて行った。 玉置神社へ至る道には巨大な「御神木」がある。周りには樹齢何百年という巨木が鬱蒼と林立している。それは今までの大峰奥駈道とはまた雰囲気や空気の違う聖域に入ったという感じで、霊気が漂う気配だ。
 十五時八分に「玉置神社」に到着した。 「玉置神社」は千年の歴史を持つ由緒ある神社である。すべての建物は木造で、長い歴史を刻んでおり、昔から地元の人々の厚い信仰の対象となり、尊敬され守られてきた雰囲気が十分に感じられる。本殿に行き、予約をしていた旨を告げると、本殿の下にある宿泊所に案内され、Iさんから入浴や夕食、明日の朝食、お弁当のことなどの説明をしていただいた。Iさんは毎日日帰りで神社にお手伝いに来ており、庶務や泊り込んでいる宮司さんや神主さんのお世話をしている。「山彦の会」のYさんの言伝を言うと、懐かしそうに微笑んでおられた。建物は古いのだが、心のこもったおもてなしにかえって暖かさを十分に感じさせてくれる。


   玉置神社本殿

 昨日同宿した東京からの単独行のN氏が先に到着していて、ちょうど風呂から上がってこられた。N氏は大峰奥駈の縦走をしており、今回は前鬼から入山している。

  「こんにちは。早かったですね。」
   「私は一人ですし、とくに寄り道もせずただひたすら歩くだけですか ら。しかし大峰の縦走は、アプローチも難しく、関東ではあまり知られ ていないのですが、すばらしい縦走路ですね。明日は熊野本宮まで 行き、感慨新たにしたいですね。」

  などと話した。連れ合いと次女は先に入浴。水道も通っていないところで、湧水のお風呂をいただけるとは贅沢至極。後でわかったが、お風呂はタイルに穴が開いてたりして、それなりに趣があった。

  「おおい、何だお前さんか。」

 突然新着の人から声がかかった。通路のほうが暗くて誰なのかよくわからない。ひょっとして失念しているのか、恐る恐る声をかけた。  

 「失礼ですが、どちらさまでした。」
  「なんや、失礼なやつやな。Aだよ。」
  「あっ、Aさんか。そっちは暗いのでよく見えなかったですよ。それに しても偶然とはいえこんなところでよくも会いましたね。単独行です  か。」
  「いや、四人連れ。Kもおるよ。みんな遅いから俺が先に来た。今日 は『平治の宿』からここまで来た。『花折塚』からここまで三十分で来 たよ。」

  と一気に喋る。しばらくするとKさんやら、仲間の皆さん方が元気なもの順番にバラバラで到着。なんちゅうパーティや。Aさん、Kさんは私の職場のアルペンサークルの仲間。お二人とも仕事は現職を退いておられるが山については大ベテランの現役。実は私はアルペンサークルは軟弱だ、と日頃のたまい、飲み会以外はほとんど例会に参加しなかったのだが、皆さん方の話と実際の行動を聞いていて、認識を改めた。
 この晩は、神社の神主の方に『ビールありませんか』と尋ねて、えらく顰蹙を買ったりしたが、何とかA氏持込の焼酎で、N氏もいれて、密かに小宴会。なつかしの面々と、そして初対面の人と、山談義。 折から雨が降り出してきた。天気予報では本格的な降りになるとのこと。
 外のほうでなにやら人の声がして、そして宿泊所を過ぎて、駐車場方面へと歩いていった。どうやら先生と教え子の三名パーティのよう。宿泊を断られたようだ。「玉置神社」では宿泊は修行の人、奥駈の登山者に限りそれも予約がなければ絶対に泊めないようだ。後で先生のブログで知ったが、その日はテント泊まりとして、翌日は、荒天のためエスケープしたとのことであった。
                                      (続く)
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