No.1 善行が、幸運の相続を子孫に行う

大きな文学賞を受賞された芸人さんのルーツ（先祖）をたどる番組がありました。
私としては、その芸人さんに特別な感情も評価も持つ訳ではありませんが、彼の祖父の人生を観ますと、
＊　善行は、目に見えない財産（幸運）として、子孫に残すことが出来る。
を証明するものとして、やはり書いて置きたいと思わされました。

昭和初期の日本はまだまだ貧しくて、仕事と居場所を求めてハワイに出稼ぎに行く日本人が数万人もおられたそうです。
彼の父方の祖父は、先に渡航している父親の後を追って沖縄からハワイへと出稼ぎに行かれたのでした。
十代だった祖父を待ち受けていたのは、サトウキビの巨大農園での奴隷のような低賃金での重労働でした。

そこを何とか抜けだした祖父は、日系人のレストランでコックをしたり、現地で有名だったパン工房に勤務しながら、とにかく貯金をしていました。それは、やはり日本に帰りたい一心からの旅費としてでした。
そして、日本がハワイに真珠湾攻撃を仕掛ける約半年前に、祖父は念願だった沖縄へと帰国したのでした。
もし帰国せずに、ハワイの地で日米開戦を迎えていれば、祖父の運命はどうなっていたのでしょうか。

祖父がハワイで身に付けたものは、英語が話せるように成ったことだけでした。
しかし、これが祖父と多くの日本人たちの命を後で助けることに成ります。
大戦の末期に米軍が沖縄の島々に上陸した時、軍人では無い一般人の男性島民たちは、手榴弾と竹ヤリだけを持たされて「防衛隊」を組織させられることになったのです。

火炎放射器と戦車で攻めて来る米軍に敵うわけが無く、男性島民たちは洞窟の中に隠れているのが精一杯でした。
この時に米軍は、「両手を上げて穴から出てくれば焼かない」と「英語で」拡声器を使って呼びかけていたのでした。
しかし、島民に英語が分かるはずもなく、そのまま火炎放射器で大半の人々が洞窟の中で焼かれて逝きました。

この時に祖父がいた洞窟には数十名の島民が居たのですが、英語を理解した祖父は直ぐに穴から出て、無抵抗を英語で米軍に誓って攻撃を止めたのでした。
この時に命を救われた島民たちは、後年になっても祖父に御礼を言いに来たそうです。
祖父はまるで、未来に多くの人々とその子孫たちの「命」を助けるために、十代でハワイに渡航し、大戦の直前にわざわざ帰国したようなものでした。

戦後の祖父は、沖縄の村の中で「困っている人が居れば」真っ先に駆け付ける人間だったそうです。貧乏でお金もありませんが、困った人の側にいつも居て、励ます人だったのです。
まさに観音様のような行動を自然とする人間へと、苦労の末にたどり着いた祖父だったのです。

芸人さんは、祖父の初めての男子の孫だったようです。祖父が亡くなる数カ月前に、赤子だった芸人さんが家族で病床の祖父を訪ねて来た時、嬉しそうに赤子の足を無言で撫でていたとのことです。
この時に、祖父が残した善行の磁気（因果）は、赤子の未来に伝授されたと思います。

人間が子孫に残せる真の財産とは、直ぐに散財する金銭ではなくて、善徳行為だと言うことです。
今の自分の行動が、自分と血縁の有る子孫にも、直接の血縁が無かったとしても、縁有る遠縁の未来に生まれる子供たちにも残ります。
自分の行動が、悪因を未来の子供たちに残すことも有り得るでしょう。

つまり、今の自分は一人だったとしても、過去の先祖たちと、未来の子供たちと共に生きていることを忘れてはダメなのです。
本当の霊的伝授とは、有料先生が１回いくら？　で行うことなどには一切ありません。自分の生き方が残す磁気こそが、本当の意味で、縁者や家族・子孫への伝授であり遺産なのです。
出来るだけ良い行動と思いの磁気を、残したいと素直に思える人でありましょう。


※　明日からの自然現象を静観致します。

生かして頂いて　ありがとう御座位ます

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