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1万3000年前の大量絶滅は気候変動と人間活動のコンボが原因か 2023/08

2023-08-22 20:28:07 | ¿ はて?さて?びっくり!

1万3000年前の大量絶滅は気候変動と人間活動のコンボが原因か
   ナゾロジー より 230822 榊田純



 世界各地で山火事が相次いでおり、深刻な被害が懸念されています。

 アメリカでは20年前に比べて3倍の頻度、そして4倍の規模で山火事が発生しているとも言われていますが、このような大規模な山火事は地球にどのような影響を与えるのでしょうか。

 実は気候変動によって増加した山火事と人間活動のコンボが、過去に大量絶滅を引き起こしていた可能性があるようです。

 約1万年前〜約1万2000年前、サーベルタイガー、ダイアウルフなどを含む多くの大型生物が絶滅しました。

 科学者たちは長年、これらの絶滅の原因は気候変動か人間活動のどちらかにあると考えていました。

 しかし、ロサンゼルス自然史博物館らの新しい研究により、人間活動と気候変動の両方が関係していた可能性が示唆されたのです。

 この研究は、2023年8月23日付で科学誌『Science』に掲載されました。

◆ー目次ー
ー約1万3000年前、コヨーテ以外の動物が突然消えた!
ー約1万3200年前に木炭が劇的に増加

⚫︎約1万3000年前、コヨーテ以外の動物が突然消えた!
 これまで、研究者たちはサーベルタイガー、ダイアウルフなどの大型生物が絶滅した原因を正確に突き止めることができていませんでした。

 しかし、新しい研究では、動物の化石と堆積物を用いた調査により、人間活動と気候変動が連携して絶滅に関係した可能性が高いことが示唆されました。

 では、具体的にどのような調査が行われたのでしょうか。

 研究者たちはまず、当時の化石を調査するため、カリフォルニア州ロサンゼルスに存在する『ラ・ブレア・タールピット』と呼ばれる天然のアスファルトの池に目をつけました。

 これは成分的にはアスファルトと呼ぶのが正確ですが、イメージ的にはタールの池と呼んだほうがわかりやすいでしょう。

 こうしたタールの池は表面に水が溜まっていたため、水を求めてやってきた動物が、粘土の高いタールの地面に捕らわれて逃げられなくなり溺れ死ぬ事故がよくありました。

 そのため『ラ・ブレア・タールピット』にも多くの太古の動物たちの化石が保存されているのです。

 今回の研究チームは、こうしたタールピットから発見されたサーベルタイガー、ダイアウルフ、ナマケモノなどを含む8種の動物の計172個の化石を用いて調査を行いました。

 放射性炭素年代測定法を用いてこれらの化石の正確な年代を特定した結果、約1万3000年前にナマケモノの姿消え、その数百年後にはコヨーテを除く他の種も姿を消していたことが明らかとなったのです。

 研究の共著者でマーシャル大学の生物学者であるF・ロビン・オキーフ氏は、「コヨーテ以外の動物のほとんど が、”パッ “と消えていた」と語っています。

 では、このような短期間で多くの動物が消えた原因は何だったのでしょうか?

⚫︎約1万3200年前に木炭が劇的に増加
 次に研究者たちは、植生、火災、気候などを調べるため、南カリフォルニアにあるエルシノア湖の堆積物を調査しました。

 その結果、約1万3200年前の堆積物に木炭が激増しており、この時期に山火事が増加していたことがわかりました。

 また堆積物からは、この山火事の増加が同時期の植物にも大規模な変化をもたらしていたことも示されました。オークなどの木は姿を消し、松やイネ科の植物など、火に強い低木に変化していたのです。

 ではなぜ、この時期に山火事が急増したのでしょうか?

 この時期の地球では、太陽からの放射量が増加したことで極地の氷床が溶けて二酸化炭素が増加し、大幅に気温が上昇していたと推測されています。

 この地域も干ばつに見舞われ、過去1000年の間に気温が約3.1度上昇したことも示されています。

 現代でも温暖化により山火事が増加していることが報告されています。それと同様の問題が、この時期の地球に起きていたと考えられるのです。

 ただ、山火事の増加は単に地球の気候変動だけが原因ではなかった可能性が、今回の研究から示されました。

 そのもう1つの要因とは、同地域に居住するヒト属が急速に増加し始めたことです。

 人間が増えたことにより、多くの草食動物が狩られ植物の消費量が急激に低下したのです。その結果、この地域では燃えやすい植物が生い茂る事態を招いたと考えられます。

 これらの証拠から、研究者たちは当時の気候変動に伴い増加した山火事が、人間活動の結果によってその被害範囲を拡大し、大型生物たちに特に大きな被害をもたらしたのではないかと推測しています。

 ラ・ブレア・タールピット・アンド・ミュージアムの古植物学者であり、今回の論文の著者でもあるリーガン・ダン氏は「400年に渡る大規模な山火事が続いていたことがわかりました。そして、その期間が終わると生態系は別のものへと移り変わり、すべての大型生物がいなくなったのです」と語っています。

⚫︎現在の環境や生物多様性の危機と似ている
 今回の調査の結果、約1万3000年前の南カリフォルニアでの大型生物の絶滅は次のような事が原因だったと考えられます。

 まず、太陽活動の増加に伴う気候変動で山火事が増加。

 温暖になったことで人間も増えていき、草食動物を大量に狩る人間活動が燃えやすい植物を増やす結果となり、増加した山火事の被害をさらに広範囲へと拡大させてしまったのです。

 温暖化による山火事の増加が多くの生物の絶滅に関与したという問題について、研究者の中には「現在の環境や生物多様性の危機と驚くほど似ている」と指摘する人もいます。

 かつて起きた氷河期の大量絶滅時では、1000年で約5.5度の温暖化だったのに対し、最近の南カリフォルニアではわずか100年で約3度もの温暖化を示しています。またこれに伴い山火事の増加も報告されています。

 以前よりもはるかに急速なペースで温暖化している今日の地球では、過去と同様、生態系に大きな変化をもたらす可能性があるのです。

 山火事の増加や被害範囲の拡大が、わずか数百年で多くの生物の絶滅に繋がっていたとすると、現代でも増加している山火事の問題にはより注意を向けていく必要があるでしょう。

 古代の山火事は、人間の関与で被害範囲が広がってしまいましたが、現代では人間の関与でその範囲を縮小させられるかもしれません。



▶︎参考文献
Human-Caused Fires and a Changing Climate May Have Contributed to Mass Extinction 13,000 Years Ago https://www.smithsonianmag.com/smart-news/human-caused-fires-and-a-changing-climate-may-have-contributed-to-mass-extinction-13000-years-ago-180982759/
▶︎元論文
Pre–Younger Dryas megafaunal extirpation at Rancho La Brea linked to fire-driven state shift https://www.science.org/doi/10.1126/science.abo3594

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