近鉄京都線の平城駅から西へ、奈良競輪場の先に、樹木の生い茂った所があります。秋篠寺です。
奈良時代の終わり頃の創建ですが、平安末期の兵火で講堂以外焼失してしまい、焼け残った講堂を鎌倉時代に修理したのが現在の本堂、写真の建物で、国宝に指定されています。屋根の曲線の美しい建物です。
幅17.45メートル、奥行き12.12メートルの建物の中に、本尊の薬師三尊を中心とした仏像が並ぶなか、須弥壇の向かって左端におられるのが有名な伎芸天で、頭部は奈良時代のオリジナルですが、胴は鎌倉時代に作成されたもの、しかしそれを感じさせないほどバランスよく仕上がっています。
この写真は本堂の入口手前の境内の様子ですが、地面一面を苔が覆って、幻想的です。このあたりは、元の金堂の跡地で、明治の廃仏毀釈の後、復興することなく、文字通り苔むしたままとなっています。
秋篠寺南門です。元はこの門の手前に南大門があったようですが、今はこのような小さな門の中にひっそりとたたずんでいます。