今回は、久しぶりにマネジメントについて記事を更新したいと思います。
社員不在時の優れた店舗オペレーションは
「マニュアル」と「考え方の共有」の2本柱で生まれます。
特に「考え方の共有」は難しいのですが、実際、店舗オペレーションのトレーナーとなって
パートの作業の様子を観察すると、ほとんどが
「マニュアル通りできていない」
のです。
そして、その理由をパート本人に聞くと
「知らなかった」「教えてもらっていない」
という共通項にぶつかります。
結局、教育時間ばかりを測定するだけで、教育結果、定着状況の観察を怠っているからこのような状況になるのです。
FCやチェーンストアで大切なのは、「教育と訓練」ですが、店長の仕事とは「教育と訓練を通して人材を育成すること」にあると集約されます。
サービスレベルの下限は厳守するのですが、イレギュラーな状況に陥ったとき、どうするか?
これは、「考え方の共有」で解決しますが、これがまた難しい。
ですから、社員が少ない、ましてや一人もいない店舗で大切なことは、
「店長・社員が全責任を負うということ」
が「考え方の共有」の基礎となります。
前置きが長くなりましたが、今回の米国スターバックスの人種差別問題についての記事を見ていきましょう。
・・・・・・・・・(スタバ、米の全店舗を半日休業 「人種偏見教育」実施へ 2018年4月18日 7時21分)
【AFP=時事】黒人の男性客2人が店舗内で逮捕された問題をめぐり批判を浴びているコーヒーチェーン大手のスターバックス(Starbucks)は17日、米国内に所有するすべての店舗と事務所を5月29日午後に休業とし、「人種偏見教育」研修を行うと発表した。
同社の声明によると、この研修は「内在的な偏見に対処し、意識的な包摂性を促進し、差別を予防し、スターバックスの店舗内にいる人全員が安全で歓迎されていると感じられるようにする」ことを目的としたもの。研修実施のため8000か所以上の店舗が半日休業し、参加する従業員は17万5000人近くに上る。また研修は今後、同社のトレーニングに取り入れられるという。
米東部ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia)のスターバックス店舗で起きた問題の出来事を写した動画は12日にツイッター(Twitter)に投稿されて以降、数百万回再生されて広い反発を招いていており、スターバックスのケビン・ジョンソン(Kevin Johnson)最高経営責任者(CEO)は謝罪に追い込まれていた。
フィラデルフィア警察によると、問題の店舗の従業員は、店内の席に座った男性2人が注文を拒否したことから、不法侵入だとして警察に通報。駆け付けた警官らは2人に退去を「丁寧に」求めたが、最終的に身柄を拘束したという。
男性らの弁護士によると、2人はビジネスミーティングのためにもう一人の男性の到着を待っているところだった。2人はスターバックスが告訴しないとしたため釈放された。
【翻訳編集】AFPBB News
ビジネス界では、「スターバックスにはマニュアルがない」と良く言われています。
スタバには普通の大手チェーンと違って、マニュアルがないので、社員の自主性が発揮され、細やかな接客が出来る。
そのため、顧客に優れた体験が提供でき、それが業績に繋がっていく、というものです。
しかし、「スターバックスにはマニュアルがない」というのは、神話です。
これを真に受けて、社員の自主性に任せよう!と考えてしまうと、結局、人の問題を抱えこむことになります。
実際、スターバックスには、他の大多数の企業よりもはるかに優れたマニュアルがあります。
ただ、マニュアルの概念が一般的に思われているものと異なるだけです。
たまに空いている時間にスターバックスに行くと、先輩スタッフが新人スタッフと一緒に何かを勉強しているシーンを見ることが出来ます。
あれがスタバの現場での教育の仕組みで、文書化されたスタバの運営方針やバリスタとしての行動基準などを先輩から新人へと伝えています。
そして、バリスタ・ラーニングジャーニーガイドというのがあり、スタッフがそれに沿って学んでいくことで、良いバリスタになれるように仕組みが整えられています。
その他にもスタバのミッション、ビジョン、価値観などが完璧に文書化されており、それらがあるからこそ、どの店舗に行っても、同じような体験ができるのです。
マニュアルと言うと、ステップバイステップの手順書を思い浮かべがちです。だから自分の仕事はそのようにステップバイステップにはできない、と思う方も多いです。
しかし、いま言ったラーニングジャーニーガイドやスタバのミッション、ビジョン、価値観などの文書、これらすべてが会社の”生きた”運営マニュアルと言えます。
こういったマニュアルがあることで、その組織の一員として何をすることが正しいかを全員が理解しているからこそ、社員の自主性が発揮されます。
一方で、ステップバイステップの手順書が必要ないかと言うとそうではありません。
”このような場合には、このようにお客様に声をかける”という細かい接客マニュアルを作って成功している会社ももちろんあります。
どこまでをルール化して、どこまでを個人裁量に任せるか?
というのは、やはり、そのビジネスオーナーがどういう会社を創りたいのか?によって決まると思います。
これはマイケルE.ガーバーが、どんなビジネスを創るかは、ビジネスオーナーの人生の目的によって決まると言っているとおりです。
そのため、仕組み化の手順も、本来は、ビジネスオーナーの人生から紐解いていくのが理想です。
他の会社のマニュアルを丸パクリしたところで、あまりうまく行かない理由もそこにあります。
今一度、自分がどんな人生を送りたいか、そしてどんな会社を創りたいかをぜひ振り返る時間を取ったうえで、仕組み化を進めてみてください。
・・・・・・・・・(転載ここまで)
これは賢いやり方ですね。
私はスタバで働いたことがないため、詳細はわかりませんが、
「こんなとき、どうする?Q&A」
をやっているのでしょう。
こういった教育は、マニュアルにない力を発揮できますが、対応力がその人の価値感になってしまう瞬間が必ず来ます。
ですから、画一化したマニュアルも用意してあるのかなと思います。
別にスタバで、サービスが良いとは思ったことはありませんが、「女子が働きたいオシャレなカフェ」という
イメージ戦略は当たっていると思います。
続いて、マニュアルについての考え方です。
・・・・・・・(2015年03月25日 10:00サービス業のマニュアル偏重の終焉)
最近読み物をしていて目につくのが「考えること」を強調している記事、書き物でしょうか?
今さら何を言われると思いますが、世の中IT革命で様々なことをコンピューターが考え、人間生活は楽になる一方であります。「動かず、考えず、何もせず」でも生きていける時代になったと言えます。
人は考える癖を止めると脳が錆びつき、考えることを意識しないと思考回路が回らなくなります。
朝、起き掛けは誰でもほぼ毎日同じ行動パタンを踏んでいるはずですが、それは意識しない動物本能から来るものであります。それが朝だけでなく一日中続いていたら人間の脳ミソはドンドン小さくなってしまいます。私が時々「脳ミソに汗をかけ」というのは一生懸命考えることを意識しないともはや、脳ミソサーキットは動かなくなるよ、という意味でもあります。
外国生活に長い私は日本のチェーンレストランに行くとこれほどつまらないサービスはないと思うことがしばしばです。
完全マニュアル化され、極小のスタッフ数で店員は店内を駆けずり回り、サービスは注文を取り、持ってくる以外に何もありません。コンビニでも同じで店員と会話して新たな発見をすることはまずないでしょう。
当地の中級以上のレストラン。
サーバーが自分の客のところに何回足を運ぶかでその店のサービスが分かるという言う人がいます。
ワインでも頼めばサーバーは注ぎに来なくてはいけませんから10回近く来ることになるでしょう。その時、場が盛り上がっていなければ心地よい言葉をかけて和ませる心がけも忘れていません。
北米のスターバックスはマニュアルを超えたサービスを提供するとされています。それは客とスタッフ(パートナーと呼びますが)の間のわずかな接点においてお客様の顔や様子をうかがい、何かできることがあればやってあげようという精神が一杯なのです。クレームのドリンクの作り替え、深い悲しみを抱えているお客様に哀悼の意を表し、無料でコーヒーを差し上げるなどはごく一例でしょう。マニュアル文化のアメリカ発の企業においてなぜ、非マニュアル的なことが日常起きていて、それが高く評価されているのでしょうか?
私は高度に進むIT化社会の中で人間が人間として接点を持つことを重視しているのだろうと思います。アブラハム マズローの欲求五段階説は下から生存、安全とくるのですが、三番目に社会で認められたいという欲求が来ます。現代社会ではもはや五番目の自己実現欲求まで到達しているのではないかとする説もありますが、案外まだ三番目の社会での自己存在感の段階にいるのではないかという気がします。そしてスターバックスはこの認められたい欲望を刺激するビジネスを展開しているともいえるのです。
スターバックスが最終的に目指すのはマニュアルサービスではなく、全てのお客様にすべて違うカスタムサービスができることではないかという気がします。それぐらいこの会社はコーヒーから大きく派生したサービスの在り方を変えようとしているように思えます。
マニュアル文化からそこまで変化する兆しがあるのは人間が人間としての接点に飢えているから、とも言えるのです。日本でコンサートが流行るのもシェアハウスが流行るのもお祭りやイベントが好きなのもそこに行けば同じ目的や興味をもった人がいるからなのです。私が日本で酒を飲むなら割烹着を着たママが煮物を作っているようなカウンター席が好きなのは人間的接点があるからなのです。カナダでも食事等はカウンター席に好んで座るのはそこにはライブな空気があるからでしょう。
チェーンの居酒屋に行けば注文は呼び出しボタンどころかテーブル備え付けの画面で注文を完了させるのが当たり前です。しかし、私はそんな店はちっともたのしくありません。以前、東京のあるフランス料理店で待ち合わせしたところ相手が1時間遅れると店に連絡が入りました。店の人は1人の私に気を使い、いろいろ声をかけ、待っている間を飽きさせませんでした。これが本当のサービスではないでしょうか?
マニュアルにも長短があります。そして、経営は進化しています。私にはアメリカ発のマニュアル文化が変わりつつある空気を感じています。日本がおもてなしの国としてのスローガンを持つならば世界に率先してサービスの在り方を見直すべきではないかと思います。
今日はこのぐらいにしておきましょう。
・・・・・・(転載ここまで)
どれだけ傲慢なのでしょう?
アメリカ文化はチップ制度がありますから、わざとらしく、うっとおしいくらいのフレンドリーサービスをしてきます。
挨拶だけでいいのにと思ってしまいます。
私は、タッチパネルで注文できるお店が大好きです。
そもそも高いレベルの接客なんてしてもらっても嬉しい人とそう思わない人がいると思います。
私は値段を安くしてもらう変わりに、サービスは最小限でいいです。
相手を不快にさせないマニュアルは必要ですし、それは教育が重要です。
挨拶もろくにしない、レジなんて五万とありますから。
そんな時、「このお店の社員は、挨拶すら教えるスキルがないのだな」
と密かに思います。
現実的に、
「挨拶すらできていない」
「レシート、おつりを片手で渡す」
接客が沢山ありますから。
だったら、セルフレジの方がよっぽど私は良いと思います。
セルフレジ6台置いて、オペレータ一人置いておけば十分じゃないでしょうか?
パートのことを、お客とのパートナーという言い方をしていますが、
遣り甲斐云々いいますが、パートは結局お金目的、生活するお金が必要だから働きに来ているのです。
その人達が、ムリせず、楽せず、丁度良い負荷で仕事ができるように教育するのが店長の役割だといえます。
スターバックスの教育についての記事を見て行きましょう。
私はこれには共感できました。
・・・・・・・・(離職率の低いスターバックスが従業員に徹底している5つのポイント)
時給1000円や1500円を出してもアルバイトがなかなか集まらないと言われている外食産業において、とりわけ離職率の低さで知られているスターバックス。『就職四季報』(東洋経済新報社)によると、最近のデータは4.8%とかなり低い数字です。
スターバックスコーヒージャパンに12年間勤め、店舗ヒューマンリソース部長、人事サービス部部長に着任した目黒勝道氏の近著『感動経験でお客様の心をギュッとつかむ!スターバックスの教え』(朝日新聞出版)によると、同社では、本社の正社員も店舗のアルバイトも、さらにはストアマネージャーも社長も「パートナー」と呼び合うことで、すべての人が対等な立場であり、垣根がないと示しているといいます。
父親が、低賃金の仕事に就き、不当な扱いを受けていたことに起因し、同社創業者のハワード・シュルツ氏は「社員を歯車のように扱いたくない」「社員には誇りを持って働いてもらいたい」という願いが人一倍強く、研修などの人材育成に多大な時間と費用を投じているのだとか。
そこで今回は、評判の高いスターバックスの人材育成システムのポイント5つを同書よりご紹介いたします。
1.研修にかける時間は80時間
一般的な飲食店で働く場合、研修に割かれる時間は2~3日ですが、スターバックスは学生アルバイトも正社員も分け隔てなく、のべ80時間、約2ヵ月に及ぶ研修を受けることが決められています。その研修では、スターバックスの基本理念である「お客様に感動経験を提供して、人々の日常に潤いを与える」を実現するために、コーヒーの淹れ方を教わる前に、スターバックスのミッションや歴史を学びます。たいていの企業では、社訓はお題目になってしまいがちですが、スターバックスの場合、80時間の研修を通して、働く一人ひとりがミッションを実行できるように人材育成するのです。
2.「是正」と「強化」のフィードバック
80時間の研修を終え、お店に配属されたあとも、スターバックスのパートナー育成は続きます。そこで大事にされている教育スキルが行動に対する「是正」と「強化」のフィードバック。
・「是正」のフィードバック
「是正」とは、相手の行動を、正しい方向に導くこと。「是正」では、うまくいかなかったとき、相手を責めるのではなく、どうすればよかったのかを気づいてもらうのが目的。「なぜ?」「どうしたの?」と問いかけ、取った行動と取るべき行動を必ず本人に考えさせます。ここで正しい答えをポンと与えてしまうと、相手は自分の頭で答えを考えて行動しなくなるので、それは避けます。
・「強化」のフィードバック
逆に、うまくいったときに行うのが「強化」のフィードバックです。「強化」のフィードバックでは、よい行動に対して、ほめるだけではなく、何がどうよかったのかを本人に問いかけ、具体的に分析させます。こうすることで「次もやってみよう」というモチベーションが生まれ、よい行動を慣習化できます。
3.仲良しチームにはしない
人間関係やチームワークのよさで知られているスターバックスですが、どこの店へ行っても、よい意味での緊張感を保ちながら、皆がテキパキ働いています。スターバックスで働くパートナー同士が、お互いに抑止力のなくなる仲良しチームにならないのは、共通認識としてルールがあるから。そのルールとは、主に下記の3つです。
・明確な目標がある
店の売り上げ目標/ストアマネージャーと考える個別の目標など、スターバックスでは常に目標を掲げることを求められています。
・1人1人の役割が決まっている
トレーニー、バリスタ、シフトスーパーバイザー(時間帯責任者)など、それぞれの役割ごとにやるべきことが明確に決められており、協働における連帯感があります。
・お客様のために働くという意識を持つ
お客様のために何ができるかを考えることが最大の使命。自分はよくやっていると内側からの評価ではなく、お客様がどう感じたかという外側からの評価を重視することで、抑止力を欠いた、自分本位の考え方から抜け出せます。
4.助けを求めるスキルを身につける
スターバックスでは、パートナー同士が仕事を進めるうえで、コミュニケーションを円滑に行うためのポリシーとして、3つのスタースキルを実践しています。
・自身を保ち、さらに高めていく
・相手の話を真剣に聞き、理解する努力を怠らない
・困った時は助けを求める
中でも注目なのが、「困った時は助けを求める」。通常だと、わからないことがあってもなかなか聞けないものですが、それを「積極的に助けを求めてよい」と最初に示しているため、気後れすることなく、先輩や同僚に助けを求めることができます。また、これは、自分たちのためではなく、お客様へのサービスをよりよいものにするために助け合おうという意図があるのだそう。
5.接客の基本は「接する」
スターバックスのサービスの基本には、「シンプリーサービス」という考え方があります。「シンプリーサービス」とは、「接する、発見する、対応する」の3つです。
・接する…対話や状況から気持ちを察す
・発見する…相手の状況に気づき、「ニーズはなにか」「どうやって行動に移すか」を考える
・対応する…対話をして、発見した相手のニーズを満たす行動をかたちにする
こういった対応はマニュアルにはなく、自発的にパートナーが考え、判断します。結果、相手に喜んでもらえたら、パートナーはさらにモチベーションをあげることができ、働く原動力となるのです。
いかがでしたか。スターバックス元役員のハワード・ビーハー氏は、「私たちはコーヒーを売っているのではない。コーヒーを提供しながら人を喜ばせるという仕事をしているのだ」と語っています。仕事に疲れて、ほっと一息つきたいとき、スターバックスへ立ち寄ると、確かにコーヒーとともに、ホスピタリティの高いパートナーさんたちの活気や思いやりも受け取っている気がします。
お客様にもパートナー同士でも、最大限のホスピタリティをもって接し、「感動経験」を提供する。スターバックスの人材育成システムを知ることで、自身も成長できそうですね。
参考書籍:「感動経験でお客様の心をギュッとつかむ!スターバックスの教え」/
・・・・・・・・(転載ここまで)
教育に80時間もかけるというのは素晴らしいですね。
実はこういった教育と訓練をすることで、パートは自信を持って仕事をすることができるようになり、安定して仕事をすることができます。
『マニュアル読んでおいて、やってみてわからないことあったら後から質問してね」
これでは包括委任になってしまうため、パートも適当にやります。
そして自分のやり方でことを進めてしまいます。
実は、良いお店を作る秘訣なんてのはとてもシンプルで、トレーナーの力で決まってしまうということなのです。
そして、必ず定期的にチェックをして、指導することも怠ってはなりません。
作業はシンプルに、教育は丁寧にですね。
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