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遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

情報の価値と媒体の価値

2010-01-22 22:28:09 | たわごと
今日は昼休みに大学生協の本屋をぶらぶらしてきました。科学雑誌のコーナーに蛋白質核酸酵素の2月号がないことを確認しに・・・。蛋白質核酸酵素は日本語の分子生物学のレビュー誌のひとつです。いや・・・でした。2010年1月号を最後に休刊です
大学院生のときにこの雑誌に共著で文章を出したことがあります。O教授以下、スタッフや他の院生数名とで共同で酵母の実験方法について書きました。O先生は律儀な人で、こういう場合院生の名前なんか出さずに先生だけの名前になったりするのですが、書いた人全員の名前を共著者として連ねました。そして、原稿料もそれぞれが書いた部分の面積比に応じて分配してくれました。記憶がはっきりしませんが、全部で3000円くらいだったので僕の取り分は数百円だったと思います。でも、嬉しかった。なんとなく誇らしい気分でした。これがアルバイトではなく『本業』で稼いだ最初の収入だった。
若い研究者や学生が読まなくなったのは、ネットで情報がとれるということが主因でしょう。それと分子生物学のフィールドがでかくなりすぎて、関係ない研究テーマまで興味を持って調べてたりしてたら際限がない。この業界が拡散しすぎたのだと思います。そうなると情報収集はネットの方が便利。それに、やっぱり科学の雑誌や書籍は高すぎる。もう割に合わないんだよ。

年間売上高2兆円割れ! 「限界産業」になった出版業界(ファクタ) - goo ニュース
紙媒体の本の良いところは大いにあると思うのですが、すべての本が紙媒体である必要ってないでしょう。雑誌に載る情報のように、その情報の鮮度が短かったりすればモニターで読めばいい。論文でさえPubMedで検索して、読む時はHTMLのままでいいし、PDFをダウンロードすることはよほど大切な場合だけ(HTMLで公開されてない雑誌ではPDFをダウンロードしますけど)。その中でプリントアウトまでして情報を手元に置くものはわずかです。
ネット社会になって、ホームページ、ブログ、SNSを通して『書く人』と『読む人』は爆発的に増えたと思いますよ。ただ、それがお金と絡まなくなったということ。もうね、読む手と書き手の距離がなくなってしまったんだよ。素人が買いて素人が読んでる。情報の出し手がプロが独占できなくなってしまったんだ。例えば、料理しようとしたときに料理本を買いに行く人ってどれだけいる?ネットでいくらでもただで公開されているのに。
紙媒体の一覧性や保存性、収集性を考えれば、需要がなくなることはないと思う。それにねっころがって読むのは紙媒体の方が優れてる。古い慣行を捨てて売り方を工夫したり、新しい書き手を育てた方がいいんじゃない? 

Appleがタブレットで目指すもの - 電子書籍・教科書/TV/ネット/ゲーム (マイコミジャーナル) - goo ニュース
電子ブックはすでに試みられていますが、アップルの参入は大きなインパクトがあると予想します。あの会社は参入するときにデバイスとともにコンテンツの販売まで用意してくるからです。アップルのハードウエアであるMacもiPodもiPhoneもそれを楽しむためのソフトやコンテンツはアップルの制御下にあります(最近のMacはWindowsでも動くけどね)。日本は権利関係で尻込みして出遅れたあげく、守ろうとした美味しいところをまんまと持ってかれる伝統があります。音楽ネット販売の二の舞をくらいそうです。
しかし、教科書は紙媒体にすべきだと思うんだけどなぁ。あれは線を引いたり、メモを書き加えたり、落書きするためのものだから。
コメント
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