遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

多様なことはイイコト

2008-09-20 23:00:01 | BIONEWS
ラガービール酵母の起源は2つ=多様な味と香りに貢献-米大学(時事通信) - goo ニュース
ビール酵母(Brewer's yeast)はワイン酵母(Wine yeast)とパン酵母(Baker's yeast)のハイブリッドだということは知られているが、ビール酵母になったパン酵母には2系統あるのだそうだ。系統の違う酵母が接合すると胞子形成がいかない場合がよくある。実はその方が酵母の性質が変わらないので醸造にはありがたい。そもそも植物にしてもそうだが、継代できるのであれば高次倍数性を持つ生物は生産性が高く有用だ。特殊な性変換をするシェリー酒酵母のように多数媒体ではないおかげで、酵母の遺伝学の発展に寄与する例があるが、あくまでも偶然であり例外的なこと。ちなみに清酒酵母(Sake yeast)も高次倍数体だ。だから育種が難しい。酵母遺伝学の研究は、欧州ではBrewer's yeastで、米国ではBaker's yeastで、日本ではSake yeastで研究がスタートしていて、それぞれ別系統。だいたい米国で使われていたS288C株の子孫が主に使われるようになってるんだけど、なかなか統一された一系統といっていいレベルにはいたっていない。この多様な遺伝的背景が今も酵母研究の結果を微妙に左右している。僕は変に統一してしまうと発見できない生命現象があると思うので、ある程度の遺伝的背景のばらつきは必要だと思う。
実は一倍体の酵母であっても、進化的にはふたつの系統の細胞の融合を経ているらしく、アクチンもチューブリンもヒストンもrasもranもTorもなんでもかんでも重要な遺伝子はなぜか2セット持っている。これが時々研究では厄介なことになるんだが、ヒトも同じ基本機能をもつ遺伝子を多数持っていて、細胞ごとに使い分けていたりする。異種の細胞同士がくっついて、それぞれの基本的には同じ遺伝子を多様な目的で使い分けをし、さらに複雑な機能を獲得することが生物の進化の戦略のひとつなんだろうね。

人の顔だけを専門に記憶する脳細胞があった!(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
人の顔覚えるの苦手なンすよ。名前が出てこないんですな。形を覚えるのは大脳の側頭連合野でそこに顔専門の細胞があるそうです。生まれて2週間で働きだして、まずは母親の顔を覚えるのだそうな。ま、そりゃそうだな・・・。
顔の記憶にもっとも重要なのは目に対する認識だそうでして、わたしゃ相手の目をちゃんと見ていないので覚えが悪いんでしょう。

写真は今日獅子吼で撮った彼岸花。曼珠沙華の咲く時期になったんですね。空から見ると田んぼのあぜ道のあちこちに深紅の模様がついていてキレイでしたよ。

本日のお酒:JOHNNIE WALKER BLACK LABEL
コメント
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