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法人税等の30%への減税と消費税の10%への増税案 ニュース3本

2008-09-18 19:37:56 | Weblog
15年度までに法人課税30%に下げ提言 経産省 2008年9月15日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080914AT3S0502N13092008.html
 経済産業省は2009年度以降の税制抜本改革に向け、初めての包括的な提言をする。日本の法人課税の実質的な税率は39%で、国際的に高いといわれる米国を約8%上回る。消費税率を引き上げ、法人課税の実質税率を30%に下げる改革を15年度までに実施するよう求める。新興国との競争が厳しさを増す日本企業を税制面で支援する。
 同省の企業税制改革に関する研究会(座長、井堀利宏東大教授)がまとめた。近く発表する。国税と地方税を合わせた法人課税の実効税率(約40%)から、研究開発減税などを差し引き、実質税率を算出した。

経団連改革案、2.5兆円定額減税を 消費税率は10%に 2008年9月14日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080914AT3S1300L13092008.html
 日本経団連が新しい自民党政権に提言する税財政や社会保障制度の改革案が明らかになった。当面の改革期間は2011年度までの3年間。消費税率を現行の5%から10%に引き上げ、国に7%、地方に3%を配分するよう求める。家計の負担を軽減するため、食料品の消費税率を5%に据え置くとともに、低中所得者向けの所得税の定額減税を2兆5000億円規模で実施するよう申し入れる。
 新政権発足後の今月末にも要望する。消費税率は10年度、遅くとも11年度までに引き上げ、社会保障や少子化対策の財源にあてるよう求める。基礎年金の財源をすべて税で賄う全額税方式を要望し、「中福祉・中負担」型の国家を目指すべきだとしている。中長期的には「欧州主要国並みの水準」に引き上げるべきだとの見解も盛る。

「消費税引き上げ、今後3年間は困難」…麻生氏 2008年9月15日 日経
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080914-OYT1T00320.htm
 自民党総裁選に立候補している麻生太郎幹事長は14日のNHKの報道番組で、消費税について、今後3年間は税率の引き上げは困難との考えを示した。
 麻生氏は「現実には(3年間は)上げられない。景気がある程度上向かないと。橋本内閣の時に2%上げて増収を目指したが、読み間違えた。あれから学習しないのは愚かだ」と述べた。
 次期臨時国会の冒頭に衆院を解散するかどうかについては、「せっかくつくった緊急経済対策を抱えている。野党が乗ってこないと話にならないから、きちんと(野党と)対応した上で(解散を)どうするか考える」と語り、補正予算案に対する野党の対応を見極めたいとの意向を示した。

将来の消費税率、10%台 麻生氏が見通し 2008年9月15日 日経
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20080914AT3S1400N14092008.html
 自民党総裁選に立候補している麻生太郎幹事長は14日のフジテレビ番組で、少子高齢化で必要となる社会保障の財源について「消費税10%台は一つの目安になると思う」と述べ、将来の消費税率引き上げは避けられないとの見通しを示した。石原伸晃元政調会長、石破茂前防衛相、与謝野馨経済財政担当相も同日のNHK番組で国民負担増の必要性を指摘した。
 消費税率引き上げの時期について、3年以内の2―3%上げが持論の与謝野氏が「今年の税制抜本改革で道筋を国民に提示する責任がある」と強調した。石原氏は「経済状況がこのような中で3年間は上げられない」、石破氏は「目的税化するのか、生活必需品は軽減するのかといった議論に3年はかかる」と、いずれも早期の引き上げを否定した。
 小池百合子元防衛相は「官の無駄排除の徹底がなければ、国民の共感は得られない」と述べ、税率引き上げ自体に慎重な姿勢を貫いた。



 日本の景気は相変わらず良くなりませんが、そのような経済状況の中、経済産業省が、法人課税の実質税率を現行の40%(法人には法人税だけでなく、法人事業税や法人住民税などがかかります)から30%に下げる改革を15年度までに実施するよう求め、日本経団連も消費税を10%(国税7%+地方税3%)にすることを打ち出したようです。
 その一方で、次期自民党総裁として最有力候補とされる麻生氏は消費税の引き上げは3年間は困難と発言するも、同時に将来的な10%への引き上げも示唆。日本の税制は将来的にどうなっていくのでしょうか…。

 ごくごく個人的な意見を述べるならば、法人税率の引き下げについては、日本の実効税率が高いため、日本の大企業が現地法人に利益を残したまま国内に滞留させないことから、その利益を還流させる目的で引き下げたいようですが、法人税を引き下げれば、当然ながらその分の税収が減少するわけで、代わりに所得税や消費税の引き上げは不可欠。(贈与税は高齢者からの貯蓄移転を促す意味でも大幅増税は困難でしょうし、相続税は増税方向で見直しがされているものの、制度そのものの大幅変更が予定されている中、急激な引き上げはこれまた困難でしょう)
 そもそも法人税の引き下げは、企業がラクになった分、従業員にもそのいく分かを還元することが景気回復のための大前提になりますが、これまでもパート比率を上昇させることで人件費の増加を極限にまで抑えてきた民間企業のこと。果たして思惑通りに行くでしょうか…。

 一方、消費税の増税については、私も今のタイミングでは賛成できませんし、どうしても引き上げるというのならば、国4対地方1の割合を是正することが不可欠。
 川辺川ダムの突然の建設見直しだって、最初から地方に権限を与えていれば、無駄な投資をしないで済んだわけですし、どうしても引き上げるというのならば、仮に10%とするとしても、国4対地方1の割合を国5.5(+1.5)対地方4.5(+3.5)にするくらいの(地方の取り分を大幅に増やすような)大胆な提案を打ち出さないと、とても国民を説得することなどできないでしょうし、まして経団連が打ち出している国7(+3)対地方3(+2)など、野党は勿論のこと、財政の厳しい地方の自民党支持者にだって、『ふざけんな!』ものの、とても受け入れられない提案だと思います。
 まあ、日本経団連は所詮は使用者側の利益団体のようなものですし、こちらの主張は大幅に割り引いて聞くとしても、増税の議論を本気でしたいと思うならば、国主導ではなく、地方への分配をいかに行うかを、もっと真剣に考えて欲しいものだと思いますね。


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