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胎児の出生後死亡、妊婦の車に衝突した男に責任

2006-06-09 07:39:20 | Weblog
胎児の出生後死亡、妊婦の車に衝突した男に責任 2006年6月8日 読売夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060608ic01.htm
 出産間近の妊婦の乗用車に衝突、妊婦にけがを負わせ、直後に出生した男児を死亡させたとして業務上過失致死傷罪に問われたブラジル国籍の静岡県袋井市葵町、工員ハラ・ビトル被告(30)の判決が8日、静岡地裁浜松支部であった。
 志田洋裁判官は、「子供が死亡したのは、母体への傷害に起因する」と述べ、事故当時胎児で、帝王切開で出生し、翌日死亡した男児に対する業務上過失致死罪が成立すると判断、ハラ被告に禁固1年8月(求刑・禁固3年)を言い渡した。
 静岡地検浜松支部によると、交通事故で胎児が出生後に死亡した場合、業務上過失致死罪が認められたのは初めてという。
 判決によると、ハラ被告は3月7日午前10時35分ごろ、袋井市の県道で乗用車を運転中に居眠りし、出産予定日を3日後に控えた女性(29)の車に正面衝突した。女性は胎盤早期はく離を起こし、緊急帝王切開で男児を出産。男児は翌日、重症新生児仮死で死亡した。
 公判で、検察側は「男児の死と事故の因果関係は明らかで、業務上過失致死罪が成立する」とし、弁護側は「出生前の母体を傷つけ、出生直後に男児が死亡したのは過失による堕胎とみるべきで、現在の法律では処罰できない」と主張していた。


 たとえ生まれて1日しか生きることができなかった赤ちゃんでも、1人の人間としてこの世に生まれて来た以上、生きる権利もあれば、何らかの被害を受ければ損害賠償を受ける権利もあると思いますが、問題は赤ちゃんは被害を受けても訴える手段もなければ、弁護士をつけることもできないことにあります。

 今回は、加害行為が出産直前に行われ、帝王切開で出生した翌日に赤ちゃんが死亡したという事件でしたが、妊婦本人に対する権利は勿論の事、1日しか生きられなかった赤ちゃんに対しても、「男児の死と事故の因果関係は明らかで、業務上過失致死罪が成立する」と裁判所が検察側の意見を採用したことは大いに評価すべき事かと思います。
 逆に弁護側の「過失による堕胎」という言い方は、いくら弁護することが仕事とはいえ、言って良いことと悪い事があるのではないでしょうか。個人的には、加害者の権利を守るためとはいえ、被害者となる遺族の気持ちを踏みにじる発言には怒りさえ感じさせられました。

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