日本ペイントに買収提案 シンガポール社、塗料5位へ 2013年1月21日 日経夕刊
シンガポールの塗料大手、ウットラムグループが東証1部上場の日本ペイントに事実上の買収を提案する。ウットラムは現在、日本ペイントに14.5%を出資する筆頭株主だが、株式を買い増し出資比率を約45%まで高める。実現すれば塗料分野で世界5位の企業連合が誕生する。日本ペイントの技術とウットラムがアジアに持つ販売網を組み合わせて米欧の塗料大手を追い上げる。
ウットラムは21日午後、日本ペイントに出資比率の引き上げを提案する。TOB(株式公開買い付け)などにより8000万株の取得を目指す。取得額は700億~800億円になる見込み。
出資比率が45%に高まれば日本ペイントの株主総会で重要議案に拒否権を持つ。アジア企業による日本の素材大手の買収は初めて。
日本ペイントは買収防衛策に照らして対応を検討する。自動車メーカーなど顧客企業や金融機関の意向も踏まえ、取締役会が受け入れの是非を判断する。
日本ペイントとウットラムは1960年代からアジアで塗料事業の合弁を組んできた。現在、中国やマレーシア、シンガポールなどの塗料市場ではシェア1位。2008年にはウットラムが出資比率を9.2%から14.5%に引き上げた。
中国などの成長市場でアクゾ・ノーベル(オランダ)などの世界大手と競うためにも日本ペイントを傘下に収め、意思決定を早める必要があると判断したとみられる。
ウットラムはシンガポール国籍のゴー・ハップジン氏の一族が実質所有する企業群で、塗料を主力事業としている。華僑人脈を活用した販売網をアジアに持ち、日本ペイントと合弁事業を展開する中国では内装用塗料のシェアで首位に立つ。塗料の売上高は世界12位の1800億円程度とみられる。
日本ペイントは国内の塗料市場では最大手。ただ、海外展開の遅れなどから連結売上高は関西ペイントを下回る。事業規模は世界10位の約2200億円。
塗料業界は成長分野が日米欧を中心とする自動車用から新興国の建築用に移っており、世界的な再編が進んでいる。関西ペイントは11年に南アフリカ、12年にインドネシアでそれぞれ建築用塗料会社を買収。米買収ファンドのカーライル・グループは米デュポンから自動車塗料事業を買収した。
日本ペイントと言えば、中国では「立邦塗料」というブランドで、においが少なく環境にも優しい塗料を中国で発売してきたことでも有名な会社で、日経ビジネス2012年11月19日号の時事深層“ 「愛国不買」に強いブランド ”という記事にも取り上げられ、株価も10月10日の622円を直近の安値として、総選挙直後から上昇ピッチを加速させてきた会社の1つですが、日本国内では建築需要が期待できることで株価の下落不安が少ないことに加えて、中国などでの知名度も高いことなどもあり、ウットラムグループとしては、アジア制覇のために事実上傘下に収める格好のタイミングと捉えたのでしょうね。
世界の塗料メーカーの売上高ランキング(2011年)も、10位の日本ペイント(25億ドル)と12位のシンガポール・ウットラム(20億ドル)が一緒になれば、米デュポン(38億ドル)や独BASF(34億ドル)、関西ペイント(28億ドル)などを追い抜いて、首位の蘭アクゾ・ノーベル(130億ドル)、2位の米PPG(100億ドル)、3位の独ヘンケル(97億ドル)、4位の米シャーウィン・ウィリアムズ(65億ドル)に次ぐ5位グループに浮上するだけに、アジア市場で強い競争力を持つ巨大企業が誕生するという意味では、非常に面白い組み合わせになるかと思います。
日経ネットへの掲載時間が15時01分と東京市場終了直後の発表ということもあり、21日の終値は9円高の809円とほとんど反応なく終了。
株式売買代金ランキングトップ100は勿論のこと、株式売買高ランキングトップ100(参考までに100位の日本橋梁5,633,600株 VS 日本ペイント1,367,000株)にも遠く及ばない、投資家はノーマークだったようですが、明日22日の株価や株式売買高がいくらをつけるかとても興味深いです。
シンガポールの塗料大手、ウットラムグループが東証1部上場の日本ペイントに事実上の買収を提案する。ウットラムは現在、日本ペイントに14.5%を出資する筆頭株主だが、株式を買い増し出資比率を約45%まで高める。実現すれば塗料分野で世界5位の企業連合が誕生する。日本ペイントの技術とウットラムがアジアに持つ販売網を組み合わせて米欧の塗料大手を追い上げる。
ウットラムは21日午後、日本ペイントに出資比率の引き上げを提案する。TOB(株式公開買い付け)などにより8000万株の取得を目指す。取得額は700億~800億円になる見込み。
出資比率が45%に高まれば日本ペイントの株主総会で重要議案に拒否権を持つ。アジア企業による日本の素材大手の買収は初めて。
日本ペイントは買収防衛策に照らして対応を検討する。自動車メーカーなど顧客企業や金融機関の意向も踏まえ、取締役会が受け入れの是非を判断する。
日本ペイントとウットラムは1960年代からアジアで塗料事業の合弁を組んできた。現在、中国やマレーシア、シンガポールなどの塗料市場ではシェア1位。2008年にはウットラムが出資比率を9.2%から14.5%に引き上げた。
中国などの成長市場でアクゾ・ノーベル(オランダ)などの世界大手と競うためにも日本ペイントを傘下に収め、意思決定を早める必要があると判断したとみられる。
ウットラムはシンガポール国籍のゴー・ハップジン氏の一族が実質所有する企業群で、塗料を主力事業としている。華僑人脈を活用した販売網をアジアに持ち、日本ペイントと合弁事業を展開する中国では内装用塗料のシェアで首位に立つ。塗料の売上高は世界12位の1800億円程度とみられる。
日本ペイントは国内の塗料市場では最大手。ただ、海外展開の遅れなどから連結売上高は関西ペイントを下回る。事業規模は世界10位の約2200億円。
塗料業界は成長分野が日米欧を中心とする自動車用から新興国の建築用に移っており、世界的な再編が進んでいる。関西ペイントは11年に南アフリカ、12年にインドネシアでそれぞれ建築用塗料会社を買収。米買収ファンドのカーライル・グループは米デュポンから自動車塗料事業を買収した。
日本ペイントと言えば、中国では「立邦塗料」というブランドで、においが少なく環境にも優しい塗料を中国で発売してきたことでも有名な会社で、日経ビジネス2012年11月19日号の時事深層“ 「愛国不買」に強いブランド ”という記事にも取り上げられ、株価も10月10日の622円を直近の安値として、総選挙直後から上昇ピッチを加速させてきた会社の1つですが、日本国内では建築需要が期待できることで株価の下落不安が少ないことに加えて、中国などでの知名度も高いことなどもあり、ウットラムグループとしては、アジア制覇のために事実上傘下に収める格好のタイミングと捉えたのでしょうね。
世界の塗料メーカーの売上高ランキング(2011年)も、10位の日本ペイント(25億ドル)と12位のシンガポール・ウットラム(20億ドル)が一緒になれば、米デュポン(38億ドル)や独BASF(34億ドル)、関西ペイント(28億ドル)などを追い抜いて、首位の蘭アクゾ・ノーベル(130億ドル)、2位の米PPG(100億ドル)、3位の独ヘンケル(97億ドル)、4位の米シャーウィン・ウィリアムズ(65億ドル)に次ぐ5位グループに浮上するだけに、アジア市場で強い競争力を持つ巨大企業が誕生するという意味では、非常に面白い組み合わせになるかと思います。
日経ネットへの掲載時間が15時01分と東京市場終了直後の発表ということもあり、21日の終値は9円高の809円とほとんど反応なく終了。
株式売買代金ランキングトップ100は勿論のこと、株式売買高ランキングトップ100(参考までに100位の日本橋梁5,633,600株 VS 日本ペイント1,367,000株)にも遠く及ばない、投資家はノーマークだったようですが、明日22日の株価や株式売買高がいくらをつけるかとても興味深いです。