石橋みちひろのブログ

「つながって、ささえあう社会」の実現をめざす、民主党参議院議員「石橋みちひろ」の公式ブログです。

ODA視察派遣団報告記3~ビルマ(ミャンマー)二日目

2012-01-09 23:47:50 | 活動レポート

参議院ODA視察派遣団、今日はビルマ(ミャンマー)での二日目です。今日も、写真で行動を紹介しながら一日の活動を報告します。(注:昨晩、ネピドーのホテルで、インターネット接続が激遅になり、仕事にならなかったので、レポートをアップできませんでした。よって、一日遅れで、ラオスのホテルからアップしています)

1月9日(月曜日)、今朝は、朝5時に起床。5時40分にはホテルをチェックアウトして、眠い目をこすりながらヤンゴン空港へと向かいました。到着時は国際線ターミナルでしたが、今日は国内線ターミナル。待合室でしばし待っているとお呼びがかかり、いざ、飛行機に乗り込みました。

 

実は、ネピドーまでの国内線、とんでもなく小さく、ぼろい飛行機だと予想していたのですが、全く予想がはずれて、小型かつ古いながらもジェット機。出発も時刻通りで、ごくごく順調なフライトでした。ただ、到着間際に、前の方の座席の上の天井パネルがバタンとはずれて下に折れ、中が剥き出しに!ん~、パネル一枚ぐらいで済んで良かった・・・。

 

首都ネピドーの空港には、約50分で順調に到着。12月に完成したばかりの新ターミナルが出迎えてくれました。なかなかキレイかつ荘厳な新ターミナルだったのですが、実は完成したと言っても、かなりの部分がまだ工事中。あちらこちらで工事が続いていました。

 

ミャンマー通の方はご存じの通り、ネピドーというのは、ほんの何年か前に、軍政によって新しく造られた首都。もともと首都はヤンゴンで、ここに全ての司法・行政・立法機関があったわけですが、それを全部、今まで何もなかった所、ネピドーに移転させたわけです。ですから、空港から市内への道のりは、周囲にほぼ何もないところに造られた幹線道路を、ただひたすらに走り抜けるという感じ。ただ、元々住んでおられた住民の皆さんがおられるのであろう集落がいくつか点在して、子どもたちが通学する姿も見られました。ちなみに、上の写真は、中心街に入っていく途中にあった与党の本部ビル。巨大です。いや、実は、何もかもが巨大だったのです・・・。

 

これ、中心部の一番大きな通り。なんと、片側8車線から10車線!!!こんな道路、初めて見ました。緊急時には飛行機の滑走路として使うのだろうと思うのですけど、それにしてはでこぼこで、傾斜があり過ぎかも・・・。

 

この広い道路の向こうに見えている巨大な建物が、国会です。いや、巨大というか、広大というか。ビックリするぐらいの建物でした。

 

これが外務省。最初にここで、外務副大臣と会談しました。各省庁の建物は、議会に比べれば簡素。しかも、どの省庁もそっくり同じような造りでした。大使館の皆さん曰く「会議をやっても、どのビルでやったのか印象に残り辛い」と。確かに。

 

マウン・ミン外務副大臣との会談後、記念撮影。

 

そして、議会へ。これが議会の入り口のところ。とにかく、巨大なことにビックリ。この後ろに巨大な議会棟がでーんと建っていて、さらに数多くの建物が連なっています。

 

議会では、ナンダー・チョー・ズワ国民代表院(下院)副議長にお出迎えをいただき、会談を行いました。下院議長は、「ミャンマーの議会はまだ発足から7ヶ月で、経験が浅く、議会運営や審議の方法などについてぜひ日本から学んで行きたい」とのお言葉。意見交換で、私は月末から始まる次期国会での予算案に触れ、(1)来年度予算が重要課題だと思うが、最重要の課題は何か?、(2)前政権(軍政)下では、教育・保健分野の予算が極めて少なかったが、来年度予算では増額が図られるのか?、などについて質問しました。

 

これは、下院副議長との会談後、ランチボックスで昼食を食べているところ。サンドイッチとポテトフライ。手に持っているのは辛子ソース。でもこれは使わず仕舞いでした。

 

昼食後、外で団のメンバーと記念撮影。後ろに見ているのは、下院のある委員会のビルです。このセクションには、このような建物がたくさん連なっています。いやいや、広過ぎ・・・。

 

これは、鉄道運輸省で、アウン・ミン鉄道運輸大臣と会談している時の模様。とても情熱的な方で、「民主化の流れが逆行することは不可能である。これまでは軍のみが全ての権力を掌握していた。新しい民政下では、三権が分離され、それぞれがチェックアンドバランスの機能を果たすようになっているし、議会でも与党と野党とのチェックアンドバランスが働くようになっている」と、民主化の進展に確固たる信念をお持ちの様でした。

私は、大臣が少数民族との和平交渉の担当者であることから、少数民族、とりわけカチン族のKIAとの交渉がどうなっているのかについて質問。大臣は「交渉は膠着状態にあるが、カチンからの要求には全て応えるようにしている」と、真摯な態度で交渉に臨んでいることを強調していました。

驚いたのは、大臣が現行の憲法について言及した時の言葉。「現憲法には、今の民主化の流れにそぐわない条項があることは認めている。今回、NLDを合法化し、次期補欠選挙へアウン・サン・スー・チー女史が立候補することを可能にするために3つの法律を修正した。憲法も、必要に応じて将来、修正が可能である。時間がかかるが、修正しながら民主化を進めていかなければならないし、テイン・セイン大統領だからこそ、それを進めていくことが出来る」と確信を持った口調でお話されました。ん~とても印象深かった。

 

鉄道運輸省では、ちょうど、民主化についての教育セミナーが実施されていました。参加しているのは8省庁から集まってきた役人の皆さん。このときはちょうど、民主化における法律の役割についてのセッションでした。驚き・・・。

 

続いて、テイン・ナイン・テイン国家計画経済開発大臣との会談。今回会談した大臣の中では、唯一、改革に慎重な立場ではないかと思われる方でした。私は、(1)今後、開発を進めていく上で、5年~10年の長期スパンを考えた社会・経済発展のビジョンと計画を策定すべきではないか、(2)その際、民主化勢力や少数民族など幅広いステークホルダーを計画の策定に参加させるべきではないか、と質問しましたが、いずれもはっきりした回答は得られませんでした。また、共産党の山下議員が労働組合の育成についての考え方を尋ねたところ、「外国からの影響を受けて何かをしようとしても上手くは行かない。日本はミャンマーとの友好関係に基づいて支援を考えて欲しい」との回答。ん~・・・。

 

そして、いよいよテイン・セイン大統領との会談。まずは、大統領府の建物に入ったところで記念撮影。

 

これは、大統領との会談後、大統領から団に対して記念品が渡されたところ。約1時間続いた会談では、大統領から何と40分間にもわたる挨拶があり、民主化の進展や少数民族との和平に対する決意、国の安定のためには国内の政治的な安定が必要であり、NLDを含めた野党との対話を進めていくことが必要であること、農業を基盤に徐々に工業化を進めていきたいこと、貧困の削減が最重要課題であること、これらのことを進めていくために日本からの支援を期待したいこと、などのお話がありました。

私も多くのことを大統領に伝えたかったのですが、時間がなくなってしまったため、一点についてのみ発言。労働団体法について、すでに成立しているにも関わらず、まだ運用が始まっていないことに言及して、労働者や使用者が自らの団体を結成し、自由に活動を行うことは民主主義の基本であって、確実に実行欲しいし、日本としても今後の進展を注視しているとお伝えしました。

 

これが、最後に会談したソー・テイン工業大臣。まあ凄い方でした。何が凄いって、話が長い!いやいや、長いだけじゃなくて、中身もタップリ。凄くダイナミックで、かつ民主化に向けた熱い情熱を感じました。なにせ、1時間の予定が1時間45分ぐらいにまで延長し、そのうちの9割を大臣が独占し、民主化についての思いを喋りまくっていたのですから!

大臣が、あまりに忌憚なく、率直な意見を聞かせてくれたので、私も思わず率直なコメントを三点。「教育予算を大幅に拡充して、特に少数民族が住む地方で学校教育の充実、人材の育成を強化すべき」「政治犯の釈放を可及的速やかに行うべきであり、同時に、国外にいる政治的亡命者への恩赦と帰国に際する安全の保証を実施すべき」「労働団体法には問題点もあり、今後、ILOの協力・助言も得ながらさらなる改善を図っていくべき」とお話ししました。

 

以上、ネピドーでの活動の模様でした。全体的な印象として、民主化を進めていくことについての決意を感じることが出来ました。正直なところ、昨年の民政移管以降、テイン・セイン大統領をはじめとする改革派の皆さんを民主化に突き動かしているものが何なのか、未だにはっきり分かりません。長い軍政下で国際的な経済制裁が続き、孤立し、国民生活が疲弊しきってしまったことへの反省なのか、アラブの春を見せつけられたことによる強い危機感なのか・・・。

ただ理由が何で荒れ、大切なのは、この民主化の流れを止めないこと、そして民主化の進展によって、国民生活を立て直すことです。そのためには、少数民族との和平を何としても実現し、地方の発展も同時に進めて行かなくてはなりません。これらの点で、日本が果たしうる役割は大きい、と実感した一日となりました。

以上、ODA視察派遣団、三日目の報告でした!


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