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活版印刷三日月堂/ピカソになりきった男/絞首人

2016年11月05日 | もう一冊読んでみた
活版印刷三日月堂/ほしおさなえ

 今週は、この3冊。
 活版印刷三日月堂/ピカソになりきった男/絞首人

ほしおさなえさんの『活版印刷三日月堂』を読みました。
心やさしい物語が、4編で構成されています。
周りの人が皆、この話のこのように心配りが出来る方ばかりであれば、「渡る世間は、仏さま」 となるかも知れません。
先週読んだ、『ジャックはここで飲んでいる』とは、打って変わり、登場人物の心の内が大いに語られます。

   WEB/asta 『活版印刷三日月堂 星たちの栞』<特別動画公開中>

 会社の本質は、お客さんのために役立つとか、社会のためになる、ということでもないし、働いている人を育てることでもない。会社の利益をあげることだ。働いている人はみんな交換可能だ。

若い頃は、ぼくもこのように考えていたのですが、歳を重ねると見方が少し変わりました。
人それぞれですから、頑なに考えを変えることなく、歳を重ねられた方もあるかも知れませんが。
さて、「会社は利益をあげることだ」は、悪いことでしょうか、このことが実行されなければ会社は倒産、家族は路頭に迷います。
また、「働いている人はみんな交換可能だ」、それはそうかも知れませんが、その職場で誠実に努力する人は、その経験が人を創るでしょう。
みんなで協力して一生懸命働き、稼ぐ、ウィンウィンの関係を築き、去るとき来たれば、充分な経験と実力のもと、未練なく袂を分かつ。

 『 活版印刷三日月堂/ほしおさなえ/ポプラ文庫 』



ピカソになりきった男/ギィ・リブ/

 「その朝、俺はピカソだった。

でも、本物のピカソが、"ピカソ"になった話ではない。
贋作作家ギィ・リブのことだ。

 俺はそれより、裁判のとき美術専門家のジム・ペローが言ったことを取り上げたい。
 「ピカソが生きていたら、彼を雇っていただろう」


「何かになれそうだ」との希望と不安に震えたあの頃、「なりたい」と強く願ったあの日。
…………歳月は流れ、今遠くあの日を振り返れば、青春の甘酸っぱい思い出なのだが。

  絵を描きながら、俺は時を旅している気持ちになった。俺はつねに、モンマルトルの伝説のアトリエ「洗濯船」の時代に魅了されていた。

ぼくには、この本を「ある青春を鮮やかに描いた一冊」として読みました。

 「これは運命だよ。おまえには守ってくれる星がある。」

 俺が若くて路上をうろついていたとき、手を差し伸べてくれたのは彼らだったから。彼らは俺に食べ物をくれ、どんな状況に陥っても楽しく生きることを諦めず、そこから抜け出すことを教えてくれた。

 俺が本当のごろつきにならなかったのは、なによりも絵が好きだということと、
そしてその絵を見て仲間が俺の思いを大事にしてくれたおかげだった。

 贋作作家にはひとりではなれない。

 贋作作りが一つの欲求になった。絵を描いていないと調子が悪くなったのだ。
 お金の問題ではなかった。
 これはまさに感動や高揚感の問題だった。俺は画家たちと言葉を交わし、俺たちの「想像上の会話」を通して、もっと遠くへ行きたいと思った。


 人は自分をごまかせない。俺は自分でそれができると感じたからこそ、一部の画家たちを「継承」した。

夢かない、大金を手にしても、そのお金は、人を惑わし魔物にもなる。
ある本に書いてあった、「金の使い方で、その人の人柄が露わになる」と。

 この頃の何年間はずっと、大金を稼ぎながら同じくらい使って、生きている気持ちになっていた。それは錯覚でしかなかった。
俺は自分でもわからずに鼻持ちならない人間になっていた。自分の楽しみと友だちを、物のように買っていた。子供の頃の欠乏感を埋めようとする一心で、偽の仲間と孤独な喜びで満たされた気分になっていた。


ギィ・リブのこの本は、最高におもしろい本だった。
若い方に、是非、読んでもらいたい一冊です。

  BOOK asahi.com 評者/横尾忠則(美術家) 

 『 ピカソになりきった男/ギィ・リブ/鳥取絹子訳/キノブックス 』



絞首人/シャーリイ・ジャクスン

「装幀の美しい本は、面白いだろう」、との憶測先行で読んでみた。
シャーリイ・ジャクスンの『絞首人』。
訳者あとがきにもあるが、"いやな感じ"の本だった。
闇、暗い森や息づく木など不安をさそう情景描写に魅せられて、最後まで読んでしまったが。

読み終えた人は、どんな感想を持ったのか.......読書メーター

 『 絞首人/シャーリイ・ジャクスン/佐々田雅子訳/文遊社 』

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