
10月8日
日経平均 2万8048.94円(+370.73円)
TOPIX 1961.85(+22.23)
出来高 13億5677万株
長期金利(新発10年国債) 0.080%(+0.010)
1ドル=111.95円(0.66円安)
10月4日 2万8444円 13億2433万株 3兆2588億円
10月5日 2万7822円 15億1132万株 3兆6152億円
10月6日 2万7528円 16億7382万株 3兆7420億円
10月7日 2万7678円 13億3087万株 2兆9449億円
10月8日 2万8048円 13億5677万株 3兆1984億円
■株探ニュース 2021.10.9
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今週の【早わかり株式市況】大幅に3週続落、インフレや米中リスク要因が懸念され下値模索
■今週の相場ポイント
1.日経平均は3週連続下落、週後半に切り返すも週間で700円超下げる
2.原油高騰を受けインフレ懸念が一段と高まり、米長期金利の動向に神経削る
3.米債務上限問題と中国の恒大集団破綻リスクなども懸念され下値模索展開に
4.日経平均は週前半に2万8000円大台を割り込むも、週末には大台を回復
5.週末は大幅高ながら9月の米雇用統計発表を控え、後場に入って上げ幅縮小
■週間 市場概況
今週の東京株式市場は日経平均株価が前週末比722円(2.51%)安の2万8048円と3週連続の下落となった。
今週は前週の急落の反動で自律反発狙いの買いが期待された週であったが、その期待は週初から大きく裏切られた。
原油高騰を背景にインフレ懸念が一段と高まり、週末8日に米雇用統計発表を控え、米長期金利の動向にも神経を削る展開。
米債務上限問題や中国の恒大集団破綻リスクも懸念され、買いが入りにくかった。
週明け4日(月)は前週を引き継ぎ日経平均の下値模索が続いた。
中国不動産大手の恒大集団の経営不安と米国の債務上限問題の行方が引き続き警戒されている。
大引けで300円を超える下げとなったが、業種別では33業種中18業種が上昇するなど実態とはカイ離があった。
しかし、5日(火)は下げ加速となり7日続落。
半導体関連株が軒並み売り込まれ、日経平均の下げ幅は600円を超え、心理的なフシ目となっていた2万8000円大台も割り込んだ。
6日(水)も売り優勢の地合いで日経平均はついに8日続落。
原油市況の高騰が嫌気され、下げ幅は一時500円を超える場面もあった。
ただ、値上がり、値下がり銘柄数がいずれも1000を上回るなど拮抗しており、TOPIXの下げは5ポイント台にとどまった。
7日(木)はようやく日経平均が反発。
前日までの8営業日で2700円超の下落をみせていたこともあり、空売り買い戻しや押し目買いが優勢となった。
ただ、後場は伸び悩み結局150円弱の上昇にとどまった。
TOPIXは小幅ながらマイナス圏で引けている。
そして週末8日(金)はリスクオフの巻き戻しが入り、日経平均は満を持して大幅高。
米国では債務上限問題について一時的な上限引き上げに与野党が合意し、不安心理が後退した。
これを受けた米株高を東京市場も引き継ぐ形に。
日本時間同日夜の9月の米雇用統計発表を控え後場は上げ幅を縮小したものの、終値で2万8000円大台を回復した。
■来週のポイント
相場が急落した要因はほとんど解消されていないだけに、来週も下値を模索する展開が続きそうだ。
重要イベントとしては、国内では13日朝に発表される8月機械受注統計が注目される。
海外では12日~13日に開催されるG20財務大臣・中央銀行総裁会合や13日に発表される中国9月貿易収支と米国9月消費者物価指数、14日に発表される中国9月の消費者物価指数と生産者物価指数に注視が必要だろう。
■日々の動き(10月4日~10月8日)
10月4日(月) 6日続落、朝高も中国恒大の経営不安が重石に
日経平均 28444.89(-326.18) 売買高13億2433万株 売買代金3兆2588億円
10月5日(火) 7日続落、米インフレ懸念でハイテク株中心に売り加速
日経平均 27822.12(-622.77) 売買高15億1132万株 売買代金3兆6152億円
10月6日(水) 8日続落、朝高もインフレ懸念強まり下値模索続く
日経平均 27528.87(-293.25) 売買高16億7382万株 売買代金3兆7420億円
10月7日(木) 9日ぶり反発、米株高と原油上昇一服で買い優勢
日経平均 27678.21(+149.34) 売買高13億3087万株 売買代金2兆9449億円
10月8日(金) 大幅続伸、米株高などを背景に買い戻しが流入
日経平均 28048.94(+370.73) 売買高13億5677万株 売買代金3兆1984億円
■セクター・トレンド
(1)全33業種中、20業種が下落
(2)郵船など海運が2週連続でダントツの値下がり率トップ
(3)ANAHDなど空運、JR東日本など陸運も大幅安
(4)ファストリなど小売り、ZHDなど情報・通信といった内需株は総じて軟調
(5)村田製など電機、SMCなど機械、日産自など自動車といった輸出株も売られた
(6)三菱UFJなど銀行、東京海上など保険といった金融株は上昇
(7)原油高でINPEXなど鉱業、出光興産など石油が高い
■【投資テーマ】週間ベスト5 (株探PC版におけるアクセス数)
1(1) 旅行
2(4) 半導体
3(2) パワー半導体 脱炭素基金から最大518億円を支援
4(3) デジタルトランスフォーメーション
5(11)LNG
※カッコは前週の順位
株探ニュース(minkabu PRESS)
■フィスコ 2021.10.9
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国内株式市場見通し/引き続き外部環境に一喜一憂の展開
■海外要因や国政期待のはく落から記録的な下落
今週の日経平均は3週連続で続落。
9月ISM製造業景況指数が予想外に改善したことに加え、製薬大手メルクが開発中の新たな新型コロナウイルス治療薬への期待から、前の週末の米株式市場は上昇していた。
これを受けて週明けの東京市場も反発して始まったが、すぐに失速すると下げ幅を拡げる展開となった。
米連邦政府の債務上限問題など外部環境の不透明感がくすぶる中、香港取引所が経営不安に陥っている中国恒大集団の株式売買を停止すると発表したことが投資家心理を悪化させた。
また、岸田新内閣の顔ぶれに「期待外れ」との声も聞かれ、週明けの日経平均は326.18円安となった。
5日、6日の日経平均は622.77円、293.25円とそれぞれ下落。
産油国の「OPECプラス」会合で大幅増産が回避され、NY原油先物が7年ぶりの高値を付けたことなどを受けて、インフレ加速や長期金利上昇に対する警戒感が高まった。
また、国内では岸田文雄首相が金融所得課税の見直しを検討すると明言したことなども売りを誘った。
日経平均の8日続落は2009年7月以来12年ぶりで、この間の下げ幅は2700円あまりに達した。
7日の日経平均は149.34円高と9日ぶりに反発し、週末8日も370.73円高と続伸した。
米共和党が連邦政府の債務上限について12月まで一時的に拡大する案を示し、これが合意に至ったことで投資家心理が改善した。
また、ロシアのプーチン大統領が天然ガスの供給増加を示唆したことで天然ガスや原油等のエネルギー価格が低下し、これに伴い長期金利の上昇が一服したことも安心感につながった。
米国株が反発基調を強めたことに伴う安心感から東京市場でも買い戻し機運が高まった。
また、週末は国慶節明けの中国市場が上昇して始まったことも安心感を誘った。
ただ、米雇用統計の結果を前に様子見ムードも強く、後場は上げ幅を縮める展開となった。それでも6日安値27293.62円からは800円近く上昇し、28000円を回復して週を終えた。
■インフレや長期金利の動向に警戒
来週の日経平均は一進一退か。
引き続き米中にまつわる不透明感など海外要因に左右されそうだ。
米連邦政府の債務上限問題は12月まで一時的に棚上げされ、目先の債務不履行(デフォルト)リスクは後退したが、解消されたわけではない。
中国の不動産業の資金繰り問題も今後も折に触れ話題になることはほぼ確実。
中国経済に占める不動産業の割合は大きいため、実体経済の下振れリスクはくすぶる。
さらに、中国のほか欧州などで世界的に広がっている電力不足の問題にも警戒が必要だ。
世界が同時期に一気に脱炭素の動きにシフトした弊害として、石炭、天然ガス、原油などのエネルギー価格が高騰していることが背景にある。
ロシアのプーチン大統領が天然ガスの供給増加を示唆したことで価格高騰が落ち着く動きも見られているが、在庫が少ないまま電力消費が増える冬場を迎えるリスクは払しょくできていない。
エネルギー価格の高騰は企業業績の下押し圧力となりかねない。
さらにインフレや長期金利の動向にも警戒が必要だ。
9月の米雇用統計では人手不足のなか雇用のミスマッチが続き、雇用者数の伸びが市場予想を大きく下回った一方、失業率は改善し、賃金も予想以上に伸びた。
エネルギー価格の高騰長期化や構造的な賃金上昇はインフレを一過性のものから長期的なものに変える恐れがある。
米10年国債利回りも4カ月ぶりに1.6%台まで上昇した。
来週は米国で物価指標が発表予定であり、インフレへの思惑や長期金利の動向には警戒したい。
他方、衆院選は31日投開票と決まった。
岸田新政権に対する海外からの評価は厳しく、9月第5週の東京証券取引所発表の投資主体別売買動向によると、海外投資家は現先合算で1兆円4000億円以上も売り越していた。
また、組閣後の内閣支持率は歴代政権の中で低く、国内でも評価は決して高いとは言えない。
野党との支持率の差が大きいため、衆院選での与党大敗というシナリオは考えにくいが、衆院選投開票日までは株高になりやすいというアノマリーには期待しにくくなった。
■ファストリや良品計画に注目、安川電機の株価反応も
小売業中心に6~8月期決算が終盤に入る。
14日には日経平均への指数インパクトが強いファーストリテイリングの本決算が予定されている。
直近の月次動向から株価は軟調が続いているが、22年8月期見通しを受けた株価反応に注目したい。
また、良品計画の本決算にも注目だ。
7月には意欲的な中期経営計画を発表しており、22年8月期の見通しへの期待が高まる。
製造業では安川電機が良好な上半期決算を発表し、第1四半期に続き通期計画を上方修正してきた。
サプライチェーンの乱れなどが警戒されていた中、製造業の7~9月期決算への不安がやや払しょくされ、ポジティブに捉えられる。
株価が素直に反応するか持続性とともに注目したい。
■FOMC議事録、米9月CPI、米9月小売売上高など
来週は11日に9月工作機械受注、世銀・IMF年次総会、12日に9月企業物価指数、独10月ZEW景況感指数、13日に8月機械受注、中国9月貿易収支、米9月消費者物価指数(CPI)、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録(9月開催分)、G20財務相・中央銀行総裁会議、14日に中国9月生産者物価指数(PPI)、中国9月CPI、米9月PPI、15日に米9月小売売上高、米10月ニューヨーク連銀景気指数などが予定されている。
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