保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

春の嵐と山桜、保津峡の春。

2007-03-31 20:54:09 | 船頭
保津峡と嵐山の桜が開花して初めての週末。
曇り空にもかかわらず、保津川下りの乗船場には朝から
大勢のお客さんがお越しになり今年一番の賑わいをみせました。

私の仕事も今日は2回目出航となり、春の観光シーズンの到来です。

が、しかし!今日は朝から風が強く吹いていました。
しかも船頭泣かせの‘向かい風’です。

保津川下りの船にとって一番の強敵は‘風’なのです。
高瀬船といわれる保津川下りの船は船底が平らな構造になって
いるので川水の抵抗を受けにくく急流を流し易くしている。
その利点が風吹きでは欠点となるのです。つまり風の方向に
流され易いのです。ちょうど川面に浮んでいる葉っぱを想像して
貰うとわかりやすいと思います。

向かい風では風の力で船が流れに乗れず、前に進み難いのです。
川の流れ利用できない分、私達船頭の力で進めることが要求されるのです。
特に船の舳先で動力の役目をする櫂引きと棹差しは大変です。
水面を捲り上げる様な強い風をつんざき、船を前に進めるためには
棹差しも櫂引きも一瞬も力をゆるめる事は出来ません。
腕、手首、背筋など上半身はもちろん、腰やふともも、ふくらはぎ
などの下半身の筋力もフルに活用しないと進めないのです。
しかも相手は自然の風です。絶えることなく吹き続けて
容赦がありません。これも大自然の一つの顔なのです。

自然は味方にもなり敵にもなる。それを受け入れることが
自然の中で仕事をするということなのでしょう。

嵐の様な向かい風が吹く荒瀬を抜けると、山間に薄紅色を
した山桜が目の前に広がります。いつしか厳しかった風も
収まり、穏やかで美しい春がそこにあります。
これも自然です。

やっぱり‘自然’は素晴らしい!
その感じる保津峡の春です。

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