保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

のどかな田園風景、貴族が愛した景勝の地・広沢池

2010-06-03 23:55:55 | シリーズ・京都を歩く
古きよき日本の田園風景が残る京都市右京区・北嵯峨。

その長閑な風景の中に、平安の昔から観月の名所として貴族に愛された広沢池があります。

京都では広沢池と書いて「ひろさわのいけ」と呼ばれるこの池は、周囲延長1.3キロで
背後には美しい形をした遍照寺山が控え、池畔には人の背丈くらいの葦(よし)がそよぐ
日本三大名月鑑賞の池にも数えられている景勝の地です。

もともとは、大堰川(保津川)が流れ込む沼地であったものを、古来豪族・秦氏が灌漑用の
ため池として整備され、その水により周辺三十町歩の農地が養われたといわれています。
近年は養魚池としても利用され、12月には池の水を抜いて、鯉やフナを水揚げする
鯉揚げが師走の風物詩にもなっています。

平安中期(989)円融天皇の勅願により寛朝僧正(宇多天皇の孫)が池の北西に遍照寺を建立したことで
景勝池として開け、平安京から多くの貴族たちが御所車などで訪れ、花や月を見て楽しんだといわれています。
また、歌人らも多く訪れ、歌を詠んだ風流な‘行楽地’だったのです。

当時、遍照寺は大覚寺と隣接するほどの広大な敷地を有し、荘厳な伽藍と釣殿、月見堂が建てられていましたが、
応仁の乱以後、衰退し、今では池から南へ300mほどのところに移転されています。

今でも池は憩いの場となっており、池畔には京料理屋があり、水面には舟やボートも浮かんでいます。

鯉揚げに使用する舟、実は保津川下りの舟をお譲りしたものなのです。

一度、この舟を操船して「お月見」などもしてみたいですね。実現できるかな?

また、風致地区にも指定され、古きよき嵯峨野の風情をかもし出す池周辺は、時代劇のロケ地としてしても
使用されていて、数多くの名作を世に送り出したところでもあります。
見渡す限り、のどかな田園風景が広がる広沢池の周辺、葦が涼やかな風に揺れる姿を見ていると、
時がタイムスリップしたような不思議な感覚に捕らわれる京都嵯峨野・広沢池。

少し、人生に疲れた人は是非、訪ねてみて下さい。

きっと、自分の優しさと出会える空間です。

時間があれば、是非、訪れてみてください。