石木川まもり隊

石木川を守ること  それは里山を守ること  それは海を守ること  それは未来を守ること  
ここにダムは要りません

アーサーさん、川原へ

2015年07月28日 | その他

昨日は午後から、素敵なお客様を川原へご案内!

中央の人物、誰だかわかります?

知ってる人はビックリ!ですよね。

そう。詩人でエッセイストで翻訳家のアーサー・ビナードさん

アメリカ人だけれど日本語ペラペラ。というより、日本人以上に日本語に詳しい不思議な人。

その知識と感性と表現力で、文筆活動だけでなく、ラジオ、テレビなどにも・・

最近はこんな素晴らしい番組を放送中。

BS11 「アーサー・ビナード 日本人探訪」

 

そんなアーサーさんが石木ダム問題に関心を持ってくださったのは、とても嬉しい!

埼玉にいる頃は彼の紡ぎ出す言葉に魅せられて、何回か講演会に足を運びましたが、

まさか、こんなところでこんな形で再会できるとは!

アーサーさんを連れてきてくれた坂田さんに感謝!

 

坂田さんは今では「国連生物多様性の10年市民ネットワーク」の代表として大忙しなのに、

埼玉にいるころ出会った「ケンジュウの会」坂田さんのまんま、少しも変わらない。

パワフルで温かい人。遠くからのSOSに答えて行動してくれる頼れる人です。

今回はアーサーさんの他にもお二人(TV番組編集者と坂田さんの仲間)の方が参加、

合計4人で、はるばるやってきてくれました~

 

今日は朝から抗議行動を視察?ではなく、一緒に抗議。

4人とも皆と同じ法被を着て、横断幕を持っています。

アーサーさんは無理やり突入する県のやり方を嶮しい表情で見つめます。

業者が入り、県職員はダム事務所に引き揚げていき、4人の皆さんは、しばらく現場でインタビュー。

地権者や支援者の話を聞いた後、石木ダム建設事務所を訪ね、古川所長と1時間以上意見交換をおこないました。

 

ダム事務所には先客がいて、しばらく待たされることになったので、

その時間を利用して、近くにある海軍工廠の地下工場跡を見学。

入口は金網で塞がれていますが、奥行きが47mもあるので、声を発すると響く響く・・

話す言葉が全てこだまとなって返ってきました。

このようなトンネルが川原郷にも掘られました。

今はもう塞がれていますが、川原にも戦時中の爪痕が残っています。

ここは軍で使うからと追い出され、平和な時代になって戻ってきてしばらくしたら、

今度はダムを造るから出て行ってくれと言われたら…やりきれないですよね。

 

ダム事務所から戻ってテントでお昼を食べ、午後からは山の方へ。

県は付替え道路を造るために山の木々を伐採しています。

チェーンソーの音が、まるで樹木の悲鳴のように、遠くまで響いてきます。

その悲鳴を打ち消すように、スピーカーから流れているのはお経です。

信仰心の篤い川原の皆さんは、無駄な工事のために命を奪われる樹木をも悼んでいるのでしょうか。

アーサーさんは、その傍らに座り、禿山になっていく森をずっと見つめていました。

 

その背中を見ながら、私は、ダム事務所で語ったアーサーさんの言葉を思い出していました。

 

僕の国アメリカでは、たくさんのダムが造られて、いくつもの川が殺されていった。

もう造る時代は終わって、壊す時代になっている。

市民には、60年前に(ダムの環境への影響について)認識があったら…と、

猛烈な虚しい後悔がある。

 

日本はアメリカの真似をしてやってきたが、まだダムを造ろうとしている。

視野狭窄だ。世界を見ていない。

 

アメリカ人としての後ろめたさを含めて言いたい。

アメリカ人と同じように自殺しないで!

あなた達は崖の上にいるけれど、まだ止められる。

 

さっき、戦争中のトンネル工場を見て来た。

あれを造ろうと決めたのは1944年でしょ?

その頃、降伏を決断していれば、あれを造ることはなかったし、原爆の被害もなかった。

 

石木川をジオパークにしよう。

棚田を世界遺産にしちゃえ。

棚田は日本人の素晴らしい知恵。治水と利水の両方を兼ね備えている。

 

なのに、ダムを造って棚田を潰すの?

それって日本を潰してアメリカを造るみたいだよ。

広い視野で考えて!

 

アーサーさんの言葉を反芻するうちに、別の言葉が浮かんできました。

ダムを造って棚田を潰すの? 安保法案を創って憲法9条を潰すの?

それって日本を潰してアメリカを造るみたいだよ 平和な国を潰して戦争する国を創るみたいだよ。

 

アーサーさんはきっと母国への悲しい後悔があって、

その思いを第二の母国である日本には味わってほしくない

と思っていらっしゃるのではないでしょうか。

ダムも戦争も、そして原発もきっと同じ。。

こどもたちや地球の未来のためにも・・    


地権者、県に申し入れ

2015年07月27日 | 強制収用

今日は「石木ダム建設絶対反対同盟」による県への抗議の申し入れ行動に同行しました。

Sさんが読み上げ手渡した文書を貼付します。

 

 

要点をまとめると、

●住民が望まないもの・住民の同意が得られないものは公共事業ではない

●それを強行するのは、税金の無駄遣い

●県はかつて住民と交わした覚書(調査の結果建設の必要が生じた時は協議の上、書面による同意を受けた後着手する)を無視して工事を強行しようとしている

●これは県民を「だまくらす」行為であり許されない

●知事はただちに付替え道路工事と収用裁決手続きを中止し、話し合いを再開すべき

などです。

 

対応したのは石木ダム建設事務所の古川所長。

地権者の皆さんや私たち支援者も、県の強硬姿勢について抗議しましたが、

所長はあくまでも「石木ダムは必要な事業であり、国からも認定を受けている。

我々は法的手続きに従ってやっている。それを妨害するあなた達こそ違法であり、やめてほしい」

などと述べ、いつものように平行線のまま終わりました。

最後に地権者の皆さんはこの申し入れ(手続きの中断と話し合い再開)に対する知事からの明確な返答を求め、その返事が届くまでは工事を中断するよう要請しましたが、

「知事に必ず伝えます」という約束しか得られませんでした。

そして、「知事こそ13世帯地権者の皆さんとの話し合いを望んでいる。応じて下さい」と逆に頼まれ、

「工事と手続きを中断したら、いつでも会おう」と地権者の皆さんも応じ、申し入れを終えました。

 

外に出ると、ダム事務所の向かい側では、支援者の仲間が、

「止めよう!石木ダム建設」「許さない!強制収用」などと書かれた横断幕や幟、プラカードなどを掲げ、

通行人や車のドライバーにアピールしていました。

 

暑い中、みんな頑張ってます!

古川所長もダム事務所の職員の皆さんも、毎日このメッセージが目に入っているはず。

住民、町民、県民が望まない事業を進めようとするのはキツイものがあるでしょうね。

仕事とはいえ、公僕とはいえ、民から感謝されず恨まれるような役目は辛いでしょうね。

だからこそ、ぜひ、この民の思いを知事に伝えて下さい。

 

長崎新聞の論説で、こう書かれていました。

「県民にこれほど理解されない不幸な県事業をほかに知らない」と。

それは新聞記者として控えめにおっしゃったのかも・・・

本当は「県民にこれほど反対されている不幸な県事業」では?

 

職員の皆さんのためにも、そして知事自身のためにも、

所長の口から、今日の地権者の声を知事にしっかり届けてください

 

 


今日の新聞

2015年07月21日 | 報道

今日の新聞各紙は、地域版(佐世保版や長崎版)に、昨日の署名活動に関する記事を掲載。

写真入りでかなり詳しく報じてくれました。

朝日にはダムに賛成反対両者の意見が紹介されていました。

「水不足のイメージは工業振興や観光にマイナス」だからダムが必要・・・。

男性に多い発想ですね。

経済振興、経済的発展が何よりも大事という発想・・。

私も昨日同じような印象を受けました。

 

チラシを渡そうとしたら「ごめんなさい。僕は賛成派だから」と断られました。

受け取りを態度で拒否する人は多いけど「ごめんなさい」なんて言葉は滅多に聞きません。

つい「どうして賛成なんですか?」と聞いてしまいました。

「え?ダムを造るとなると仕事が入るでしょ?」

と、何で当たり前のことを聞くの?みたいな顔をされてしまいました。

「でも、それは一時的なことですよね」

「現場はたいてい一時的です。一時的な仕事をいかにたくさん取って来るかにかかっているんですよ」

と言われ、一瞬言葉に詰まった隙にその男性は「失礼!」と立ち去ってしまいました。

 

経済よりも、お金よりも大事なもの、豊かなものがあることを伝えたい。

川原に来ればそれがわかるのに…


2時間で331筆

2015年07月20日 | 署名活動

連休最終日の今日、午前11時から2時間署名活動をおこないました。

アーケード街での署名活動としては昨年9月以降7回目になります。

今回は署名の数よりもまず、現状を伝えることを第一の目的としました。

石木ダム建設のために住民の土地を無理やり奪おうとしている県の姿勢・方針を伝え、

このままだと佐世保市民のために川棚町民が犠牲にさせられようとしている、

それでいいんですか?

石木ダム問題は佐世保市民自身の問題ですよ、

一緒に考えましょう!

ということを訴えました。

このチラシを受け取って、

その場で歩きながら読んで下さる方々や、

私も反対です!と、署名に応じて下さる方々・・・

若い方やサラリーマン風な方々も・・いろんな層の方々が署名してくださいました。

そして、署名活動に参加したメンバーも30名を超え、過去最高でした。

元県議のSさんも応援に駆けつけて下さいましたし、

長崎市からも4名の仲間がやってきました。

その中の1人が言いました。

「佐世保の雰囲気変わったね。前はチラシを渡してもあまり受け取ってくれなかったのに・・」と。

なるほど、そうかもしれません。

だとしたら嬉しい変化です。

 

終了間際に駆けつけてくれたのは、現地「こうばる」に住んでいる2組の若いご夫婦とその子どもたち。

「僕たちは石木ダムに反対です。要らないダムだと思っています」

「子どもたちのためにもふる里を守ります。絶対に出ていきません」

「こうばるはいいところです。一度見に来てください。遊びに来てください」

 

お二人のアピールに参加者から温かい拍手が…。

 

終わってみれば、331筆の署名が集まっていました。

チラシを受け取って下さった方は710人。

そして、プラスアルファも・・・。

まだ署名活動の真っ最中に携帯が鳴って出てみると、

「いま家内がアーケード街でチラシをもろうたちゅうて持ってきたとですけど」と男性の大きな声。

何か文句を言われるのかと身構えていると、

「強制収用をやるとは何事だ!」とお怒りのご様子。

「水不足なんて嘘だ!平成6年の渇水騒ぎ以来一度も断水になったことはなか!」と。

同じ反対派だとわかり「ですよね。わざわざお電話ありがとうございます」と言うと、

「ありがとうじゃなか!こんなことを許したらいかん!もっと頑張らんば!」とまたまた怒鳴られ…

「一緒に頑張りましょう!」と言ったのですが、それには答えず、

長崎県政の横暴さに話が移り、長くなりそうだったので、

「あの・・まだ署名活動中なので、もう戻らなければいけませんので・・」と言ってやっと切らせて頂きました。

 

こんなふうに、今日配布したチラシが、

どこかの家庭で、どこかの職場で、話題になって広がっていくといいな~ 

 


飲みこまれていいのかな?

2015年07月11日 | パタゴニア

ご紹介します。

こちらの画像は、石木ダムには無関係の、遠くに住む学生さん(Mさん)がデザインしたものです。

タイトルは「飲みこまれていいのかな?」

50年程前、長崎県で計画されたダム。
今現状は、人口も水の需要も減っているのに、建設すべきなのかと抗議が起きている。
造られるとなると真ん中の写真にある家、まわりのイラストに描いた動物達の故郷が
水中に沈められちゃうんだよね。

確かに今は人工物が欠かせなくなってるけど、考えさせられるのが
・時代は変わった。見直さないの?
・需要は下がってる。今要るの?
・未来でやっぱり不要になったりしないの?
ってこと。

 

すごい表現力ですね。

こちらは新しい作品です。

  「水ってどこからきているの?」 小さい頃、大人に聞くと
  
「川にあるダムからきてるんだよ」って言われた。

そしてダムって何か調べたし、ダムの良いとこ悪いとこも調べた。

でも、ダムがどう出来たかまでは見ていなかった。

水を溜めてるダム。でもその底には、住民の家や、畑や田んぼが沈めらめてるんだよね。
そこからきたお水を出しっぱなしにしてる私たちってなんだろな。

限りある水。出しっぱなしにしなければ、お水の需要ももっと減っていくんじゃないかな?

 

Mさんは、たまたまパタゴニア日本支社長の辻井さんの講演を東京で聴き、

石木ダムのことがとても気になって、自分なりに勉強したそうです。

県のサイトや石木川まもり隊のブログなどを見て…、その結果、

「美しい棚田と13世帯60人もの人が住む場所に本当にダムが必要だとは思えず」

「何か自分に出来ることをしたい」と考え、行動をおこしました。

 

すごいですね!

才能もですが、行動力がすごい!

これは止めなくちゃ・・と思ったら、きちんと意思表示する。

自分が気づいたことを発信し伝える。

それが今の自分の生活に直接関わりがなくても・・

 

こういう若い人がいる日本は、まだまだ捨てたものではないのかもしれない・・・