石木川まもり隊

石木川を守ること  それは里山を守ること  それは海を守ること  それは未来を守ること  
ここにダムは要りません

第22回有識者会議の中身

2012年04月29日 | ダム事業の検証

国交省の「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」、

名前が長ったらしいので、以前は通称「有識者会議」でしたが、

最近はこの会議に関心を持っている市民の間では「無識者会議」と呼ばれています。

 

京都大学名誉教授の中川座長をはじめ、8名の委員の方々は、

いずれも大学の教授や名誉教授など、まさに「有識者」の代表のような方々なのですが・・・

語られているその中身を聴けば、信じられないような内容で・・

 

もちろん、私は直接聴いていません。

私たち一般市民は聴けません。

なぜか非公開だから。

どんなに関係者がお願いしても、

心ある科学者集団が公開を求めても、

頑なに、ひたすら頑なに、非公開を貫いている会議です。

 

ただ、報道関係者にだけは公開にしています。

そして、それは大手マスコミだけでなくフリージャーナリストにも許可しているのでいいじゃないか、

と多数の委員諸氏はお考えのようで(約1名異論を唱える方もいますが)、

国交大臣は委員会の自主的運営を重んじているので…と言い訳をしています。

 

しかし、そのフリージャーナリストの中に、真のジャーナリストがいて、

私たちの知る権利を補ってくれています。

そのブログがこちら、政策エッセイ「晴れの日は楽しく、雨の日は静かに」です。

そして、このページに、その会議の内容が書かれています。
http://seisaku-essay.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-bf85.html

よかったら覗いてみてください。

これじゃあ公開できないのもわかるな~と、ため息のでるようなものでした。

 

座長によると、

有識者会議の役割は、ダムの是非を問うことではない、

「中間とりまとめ」にそって検討されたかどうかを検証することだという。

 

そこで、石木ダムですが、その「中間とりまとめ」に示された「実現性の見通し」が超いい加減で、

これでは合格点はあげられないと、鈴木委員がまともな意見を言うのですが、

なぜか他の委員さんにはその常識が通用しない。

 

座長にいたっては、今までのケースも「整ったものばかりではなかった」とポロリ。

つまり、これまでも「中間とりまとめ」に則ったとはいえない不完全な検討結果もあったじゃないか

それでも我々はそれを良しとして認めてきたじゃないですか

だから石木ダムの検討結果も問題ありだけど、このくらい目をつぶりましょうよ

という意味のようです。

 

あきれてしまいます。

このようないい加減な会議のために、貴重な税金を使われているのかと思うと、

怒り心頭です。

 

そして、このブログの最後には、こう書かれていました。

本来は公開されるべきであり、
傍聴させて欲しいと訪れたのに
リアルタイムで聴けなかった人々のために
取材メモを公開することにする。
「note_on_120426_mt.doc」をダウンロード

ジャーナリストまさのあつこさんの勇気ある行動に脱帽です。

取材メモには、ブログ以上に生々しい会議の模様が再現されています。

ただし、怒りはさらに増してしまいますので、

高血圧気味の方は要注意です。

 

また、この会議に先立って行われた記者会見の様子がユーチューブにアップされています。

有識者会議「ダム事業の検証の検討結果について」記者会見

 

最後のシーン(8:53くらいから)が印象的でした。

 


有識者会議 石木ダム了承?

2012年04月27日 | ダム事業の検証

 

予想通り・・・とはいえ、たいへん残念な結果となりました。

委員の中には、地域住民の根強い反対を認識し、実現性を疑問視する声もあったのに、

最終的には事業継続を「了承」という結論に座長が導いたようです。

 

昨年の今ごろ行われた長崎県公共事業評価監視委員会での展開と同じです。

委員会の結論は初めから決められていて、そこに持って行くのが座長の仕事なのだと、

傍聴していて痛感しました。

心ある委員がどんなにくいさがっても、結局はせいぜい「意見として付す」程度。

結論に変わりはありません。

 

今回の有識者会議の様子も、目に見えるようです。

が、その様子を実際に見た人は報道関係者以外ありません。

ダム問題の真の有識者である嶋津暉之さんたちも、

地元長崎から駆けつけた3人の地権者も、ついに傍聴は許されませんでした。

全くの門前払いです。

 

こんな非民主的な政治をするのが、民主党のやり方なのでしょうか?

こんな無理をしてまで、国交省はなぜダムを造りたいのでしょうか?

膨大な借金を抱える国や県、

昨年の大震災の復興資金と原発事故処理のための資金がいくらあっても足りない政府、

それでも、石木ダム事業を継続しなければならない理由は何なのでしょう?

国民の前で説明できる人はいるのでしょうか。  

 


有識者会議「再開」

2012年04月24日 | ダム事業の検証

今日、「第22回 今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」の日程について国交省HPで公表されました。http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo03_hh_000498.html


       第22回 今後の治水対策のあり方に関する有識者会議の開催について

                                               平成24年4月24日

この度、第22回今後の治水対策のあり方に関する有識者会議を以下のとおり開催することとなりましたのでお知らせいたします。

1.開催日時等

日 時:平成24年4月26日(木)18:00~20:00

場 所:中央合同庁舎3号館(国土交通省)11階特別会議室

主な議事内容(予定):ダム事業の検証の検討結果について 等

2.委員

別 紙

3.取材等

・報道関係者に限り傍聴が可能ですが、会場準備のため、事前登録制とさせて頂きます。

・傍聴を希望される場合は、4月25日(水)正午までに氏名、所属、連絡先を明記の上、E メールアドレス(chisuinoarikata@mlit.go.jp)までご登録ください。なお、
傍聴は原則1社につき1名とさせていただくとともに、会場の都合上、お席を用意できない場合もございますので、予めご了承ください。
・カメラ撮りは、会議の冒頭のみ可能です。
・会議の資料、議事要旨及び議事録は、後日ホームページで公開する予定です。


全く、今までと変化無し!

報道関係者以外はシャットアウト!

地元の声など聴く耳は持たぬだけでなく、

地権者が審議の過程を知る権利さえ奪ってもいいとお考えのよう・・

しかも会議開催の知らせはわずか2日前!

報道関係者にも、いろいろ予定があるでしょうに・・

よほど、誰にも知られない形でこっそり会議を開きたいのか?

なぜ?

その上、議題さえも公表されない!

主な議事内容(予定)として、「ダム事業の検証の検討結果について 等」と書かれていますが、

それをやるために集まっているのだから、言わずもがなのこと。

どのダムの検討結果について話し合うのか、それを示すべきです。

地権者は飛行機に乗って、はるばる九州から向かうのです。

お金をかけて、時間をかけて…それでも自分たちの運命を左右する会議を聴きたいと願って。

開催日時だけ公表されても、石木ダムが議題に上っているのかどうかわからなければ、

チケットの手配もできません。

その後、確認が取れたので、手配は進められていますが…。

 

このようなやりかたをするのが真の「有識者」なのでしょうか?

有識者とは、「学問があり、見識が高い人」のことだそうですが、

そういう方々の見識は多くの人が聴きたいはずだし、

そういう方々も伝えたいはずだと思うのですが…。

 

でも、この会議の有識者の皆さんは、誰も傍聴者の居ないところでこっそりやりたい…。

ご自分の主張に自身がない?

聞かれたら困るような話をするおつもり?

もしもそうなら、何かの検証結果を審議する役目には向かない方々ではないでしょうか?

 

そうではないと信じたい。

だから、もう一度、石木ダム建設予定地の地権者の声にどうぞ耳を傾けてください。

明後日、数名の地権者が国交省に向かいます。    

 


三春の滝桜

2012年04月21日 | 報道
NHKスペシャル「樹齢千年 滝桜」を見ました。
 
以下のような予告のメールをいただいていたからです。
 
 
皆様
お疲れ様です。
初めて発信します。
5月末、川原ほたる祭りが開催予定ですが、
5年前の川原ほたる祭り20周年記念に、福島県三春滝桜の苗を川原13軒に植樹しました。
このたびNHKスペシャル 滝桜に見守られて(仮題)が放送されます。
平成24年4月21日(土) 夜7:30~ 70分間放送されます。
川原の事は、何も出ないと思います。
又植えてもらった桜も少しずつ咲き始めましたが、白色が強くあまり綺麗じゃなかったの
が残念ですけど。
福島 原発で苦しめられてる人達、そしてダム問題で苦しんでる私達、何か共通するもの
を感じられます。
その福島の桜が、ここにある事で心のつながりがあるように思われます。
良かったら、放送を見て下さい。 
 
本当に見事な桜でした。
たくさんの蕾を蓄えた枝が、まさに流れる滝のように見えました。
樹齢1000年を超えるというその樹の高さは12m、根回り11m、幹周り9.5m、
枝張り東西22m・南北18m。根っこは、100mもあるそうです。
 
その姿に東日本大震災の被災者は励まされ、復興への希望の種を自ら蒔き始めました。
被災者だけではありません。
滝桜のこどもたち(苗)がこれまで全国各地に送られているそうで、その数3万本!
各地で見事な花を咲かせ、そして多くの人を励まし、癒し、生きる勇気を与えていました。
 
そのこどもたちが川原にもいたなんて…知りませんでした。
母桜のようにこれから1000年も咲き続けてほしい。
そして、ずっと川原の人々を見守り続けてほしい。
 
そこにダムを造ることは、三春滝桜のこどもたちを水の底に沈めることになるのだから、
なおさら許すわけにはいきません。
 
首都圏に住む人々の電気を供給するために原発が造られ、その犠牲になった福島の人々。
佐世保に住む人々の水道用水を供給するためにダムが造られたら、その犠牲になる川原の人々。
 
経済や利便性ばかりを追い求める私たちの社会が、どれほど自然を傷つけ、
そこに住む人々の暮らしを破壊し続けているか・・
 
流れ落ちるような滝桜の細い枝々が、涙のようにも見えてきました。
 
 

佐々町散策

2012年04月15日 | 活動

ここは佐世保市のお隣、佐々町の山の中。

素晴らしい遊歩道が続いています。

長い階段を上りきると・・・

佐々町の市街地が一望できます。

真下に流れるのが佐々川、右手が下流で湾曲して海に注いでいます。

中ほどに見える円錐形の山は、佐世保市の愛宕山。

 

正面にカメラを向けると、

小さな棚田や段々畑が見えます。

左手にカメラを向けると、

佐々川上流方面。

これから見学?に行くところです。

 

見晴らし台を降りて、市瀬川沿いに下る途中、素敵なスポットに遭遇!

ここは「ふれあいの森」と呼ばれる真竹谷広場で、今はしだれ桜の真っ盛り。

案内役のMさんに「そろそろ行きましょうか」と遠慮がちに声をかけられ、あわてて車へ。

 

佐々川に出て、神田市瀬橋あたりから南下することにしました。

ここから下流には、私たちが見たかった、頭首工と呼ばれるものが点在するからです。

 

頭首工(とうしゅこう)とは、用水の取水にかかわる一連の施設全般を指す言葉で、

用水路の「頭首」に存在する取水用の堰と用水の取り入れ口、魚道などを総括しています。

こちらは横手頭首工。

近くには「横手竣工記念碑」なるりっぱな石碑が建てられていました。

台座の部分には、この施設の詳細が金文字で刻み込まれています。 

施工主は「長崎県北振興局」で、この横手堰の型式は「ニューラバーダム」、

工費は1億400万円だったとのこと。

こちらは、本田原頭首工。

 

他にも同様の2つの頭首工や、東部かん排と呼ばれる大きな灌漑用水取水施設、

九電の相浦発電所への送水など、いくつもの取水施設が短い距離の中に点在しています。

こんなにたくさんの灌漑用取水施設が必要なのでしょうか?

 

昔と違って、耕作農地が減り、灌漑用水の需要は激減しています。

例えば、「東部かん排」には、23,400m3/日という水利権が与えられていますが、

近年ほとんど取水実績はありません。

渇水年だった平成19年度でも、取水されたのは、わずか11日。

最大でも4,560m3/日でした。

地元の方の話では、佐々町にはたくさんの溜め池があり、よほどの渇水でないかぎり

わざわざ下の佐々川からポンプアップして水をくみ上げる必要はないのでは?とのこと。

 

地図を見てみると、たしかにたくさんの溜め池が表示されています。

親切な地元の方が案内して下さいました。

ここは稗田溜池。けっこう大きいです。

すぐそばのポンプ室には流量計があり、神田、栗林、稗田の3地域に送られているのがわかりました。

こちらは鶏舎。

端から端まで、鶏がラッシュアワーの車内のようにすし詰め状態…

そこを通り過ぎて行くと、

また一つ、少し大きな溜池がありました。

 

このような池をあちこちに造って、先人たちはこの地で農を営んできたのですね。

その農地はだんだん宅地に変わり、あるいは耕作放棄地となり、田畑の面積は減る一方。

取水実績値の示す意味が十分実感できました。

 

案内して下さった地元のWさんと別れ、帰途へ。

途中、佐々町に存在するもう一つの貯水池に立ち寄りました。

ここは九州電力相浦発電所所有の貯水池です。

 

九電にも、佐々川から4800m3/日の水利権が認められていますが、

この自社保有のダムにより、取水量実績は灌漑用と同じようにたいへん少ない値です。

が、3・11以降、水力発電の需要も高まっていると思われ、

23年度がどのような実績だったのか、

またこれからどのような需要が予測されるのか、今後の情報に注目したいと思っています。

 

佐々町は緑も水も豊かな、美しい町でした。