石木川まもり隊

石木川を守ること  それは里山を守ること  それは海を守ること  それは未来を守ること  
ここにダムは要りません

パタゴニア日本支社長、佐世保市議会で陳述 

2016年12月19日 | 議会

今日、佐世保市議会石木ダム建設促進特別委員会での請願趣旨説明を傍聴しました。

石木ダムについて公開で議論する場を求める請願。

県議会で不採択となったあの請願。

佐世保市にも提出されていました。

そして今回は、WTK実行委員の一人である辻井隆行さんが趣旨説明をされました。

そう。あのパタゴニア日本支社長の辻井隆行氏。

自然保護を社是とするアウトドア衣料メーカー「パタゴニア」の辻井さんです。

佐世保ではかなり有名になっているかもしれません。ダム反対者として。

でも、それは少し誤解があるようです。

その誤解を解くためにも、あえて佐世保市議会で陳述しようと思われたのでしょうか。

 

その発言の全てをここでお伝えできないのが残念です。

議会傍聴者には録音録画が禁じられていますから。

私の読み辛いメモとおぼろげな記憶を駆使して、そのエッセンスをご紹介します。

 

*私たちはダムに反対しに来たのではありません。

*私はグローバル企業の一員として、世界や日本で、一度決められた事業が、多角的な議論によって方向を転換した結果、市民も、行政も幸せになり、より持続可能な地域発展に繋がった事例を学んできました。そのような経験から立場を超えたオープンで透明性のある議論が行われることを切に願っているのです。

*長崎県や佐世保市が説明を重ねてきたのは知っています。しかし、現実として石木ダムのことをよく知らない、わからないと思っている若い方々が多いのも事実です。

そして、同じような例として昨年の安保法案に関する話をされました。

*首相も与党議員も十分説明を尽くした。国民の理解も進んだ。と言っていましたが、新聞各社の世論調査では、大多数が議論は不十分と答えました。
朝日新聞74%、毎日新聞78%、読売新聞82%、日経新聞78%、共同通信81.6%

そうなんですよね。
当局は説明したと思っても、市民国民に伝わっていないことはよくある話!

*もし、佐世保市民に対する世論調査が実施され、8割、9割の方々が「説明は十分」「議論はしつくした」と答えられ、その上で「ダムが必要」と言うのであれば、それは佐世保市民が本当に望んでいることになるのだろうと思います。現時点ではどうでしょうか?

*事業者が「十分な説明をした」と認識されている一方で、「不十分だ」と感じている方が多いのはなぜか?その理由の1つは、お互いの話に耳を傾ける「対話」が行われてこなかったからだと思います。

そうですよね!
私自身の反省も含めて、私たちは互いに主張し合うばかりでした。
相手の話に耳を傾け、対話すること無しに合意形成は絶対に生まれません。

*石木ダムが作られるのか、作られないかに関わらず、今回の請願書が国民・県民・市民の願いとして正当に扱われ、賛成、中立、反対の立場を超えたオープンで公正な議論が深まる、そうした公開議論の場が実現することを切に願っております。

 

委員の皆さんは、ある種の緊張感を持って、時に頷き、時に真剣な眼差しで聴いていました。しかし、質疑はそれほど活発ではありませんでした。出された質問は2つだけ。

橋之口委員:請願事項で「公開の場で議論する」とありますが、これは佐世保市が設置して市民に呼びかけることを求めているのですか?

辻井さん:市がそういう場を設けて頂くのを願っていますが、民間もしくは市民サイドがそういう場を設定して、市の関係者もそこに参加して議論するという形でも良いと思います。

林委員:様々な立場の人が公開の場で議論をと求められたが、事業認定を含めこれまで様々な公開の場での説明議論等があり、その時の対象者は限られた人々ではなかったはずですが。今までの場ではそれが十分ではなかったということですか?

辻井さん:これまでそのような場を持たれてきたことは私も理解していますが、当時十代だった方が20代になり社会を担う立場になっています。知らなかった、知りたいという若い方々と私はこの2年間でたくさん出会いました。禍根が残らないよう、より多くの方が納得した形で物事が進められることが大事ではないかと考えています。

 

そして、30分の休憩後、委員会再開。討論の後採決となり、今回もと言うべきか…全会一致で請願は否決されました。反対の理由はこうでした。

 

市民クラブ:
これまで長い間、県と市は地権者や市民に対し説明や意見交換を重ね、その中で事業認定がなされた。地権者の理解が得られていないのは残念だが、県としても必要性は十分説明されてきたし、今後も県自らが?なされると思う。よって賛同できない。

緑政クラブ:
これまで長い時間をかけて様々な立場から議論されてきた。すでに議論は尽くされているので、あらためてやる必要は無い。

市政クラブ:
市民の何故に真摯に答えるのは事業者として当然のことだと思う。今後も真摯な対応をするよう市に申し添えたいと思う。ただ、市は県と共同で事業を進めるという立場なので、市が主体として呼びかけの場を設けるというのは適当ではない。信頼関係が無い中で市当局が主体となって話し合いの場を作っていくということはなかなか理解が得られないだろう。

自民党:
県は推進する立場で討論を進めてきた。いま老若男女で議論するのは望ましくない。県も度々説明の場をもってきた。県の立場を重視したい。平成6年渇水の時のような思いは絶対に後世にさせてはいけない。

公明党:
長い歳月をかけて議論されてきた経過があるし、今は法廷の場にも及んでいる。時間軸の中で安易に時を重ねることはできない。議論は大いに結構だが、公開の場に差し戻すというのは、これまでの経緯や法的手続きを軽視することになるので、不採択。

林(緑政クラブ補足):
緑成会としては請願が出されて以後、会派で議論を重ねてきた。また、辻井さんの説明を会派に持ち帰り、さらに議論した。その結果は永安委員の報告の通りだが、少し補足したい。賛成・中立・反対の立場での公開議論の場は当然必要。しかし、一定の時期を経て、この時期にあらためて公開の場での議論というのは、時期的に遅い状況になっている。

草津(自民党・個人的な意見):
時間軸を後ろに戻すわけにはいかないというのはわかるが、市当局が市民に対して情報発信を少し怠けていたということは認めざるを得ない。しかしこの委員会は石木ダム建設促進委員会。何回討論を重ねていけば新たな結論が導き出されるのか私には理解できない。

 

まとめてみると、反対理由はこういうことのようです。

①公開の場での議論は何度も重ねてきた。議論は尽くした。

②佐世保市は共同事業者であり、市が主体となって議論の場を呼びかけるのは適当ではない。

③信頼関係が無い中で市当局が主体となってやるのは難しい。

④今は法廷の場に及んでいる。議論を差し戻すのは、法的手続きを軽視することになる。

 

いずれも言い訳にしか聞こえません。やらなくていい言い訳探し。 

①については重々理解した上で、でも現実がそうではない、そう思っていない若い世代がたくさんいる、だから、もう一度やりませんか?禍根を残さないために。と辻井さんは言ってるのに、全然わかっていない。それともわからないふり?

②はヘンです。市民と市の水問題について話し合うのに、どうして県に遠慮するのでしょう?

③も言い訳になりません。市が主体でなくてもいいと辻井さんはおっしゃっていましたよ。民間とか市民団体が主催してもいいって。

④言い訳の常套句。隠れ蓑。逃げないでください。

 

結果はいつもと同じ、全会一致の不採択でしたが、特筆すべき嬉しいことがありました。
会派の意見とは別に個人的な見解を述べた委員が2人もいたこと。
特に草津委員の発言には驚きました。

市当局が市民に対して情報発信を少し怠けていたということは認めざるを得ない。

この委員会は石木ダム建設促進委員会。
 何回討論を重ねていけば新たな結論が導き出されるのか私には理解できない。

 

議員としての良心&苦悩?

辻井氏の真意が、きっと少しだけ届いたのでしょう。 

 

 


なぜ反対なの?「公開の場で議論」

2016年12月13日 | 議会

石木ダム問題で県議会への請願はたぶん初めてのこと。

その請願の内容は「石木ダムについて公開の場で議論すること」。

賛成・中立・反対、様々な立場の人、様々な世代の人が議論する場を設けてください、というもの。

この請願には209筆の署名が添えられました。

石木ダム建設予定地「こうばる」で開催された音楽イベント『WTK』に参加した人たちが署名した請願です。

その『WTK』を企画制作したプロデューサーの谷川氏は、209名の思いを代弁するために、ご多忙ななか時間をやりくりして駆けつけてくださいました。

谷川氏の趣旨説明をお聴きください。 じゃなくて、お読みください。

 

石木ダムについて、賛成、中立、反対の立場での公開議論を求めます。
その理由について説明いたします。

一言でいうと、ダム建設の必要性がわからないでいる市民、県民が多くいらっしゃるようだ。ということです。そして色々な立場・お考えを持った方々のお話、それぞれの主張を聞いてもっともっとよく知りたいと考える方々が急速に増えています。私もその一人です。 

とりわけダム建設費用を負担していくことになる若者世代ほど理解が不十分である、それどころか建設の是非を考えたこともないというのが実情だと感じたため、あらゆる立場の方々が等しく参加した形で、透明性のある議論が開かれることが今まさに必要だと考えます。そういった活発な議論が生まれるきっかけになればと、気持ちを同じくしたミュージシャンやその他多くの有志の方々と共に、去る10/30 WTKというイベントをダム建設予定地にて開催するに至りました。 

申し遅れましたが、私は8才から13才まで佐世保市民でした。そして20歳までは長崎県民でした。現在も本籍は長崎です。ですが、この石木ダム問題に関心を寄せている理由は、長崎県民だったからというだけではありません。

大分県湯布院にて自ら営んでいた小売店を今年4月に発生した熊本地震により失いました。突如として大切な場所を奪われた自身の体験と、かけがえのない故郷を失われるかもしれない状況にあるこうばるの方々の思いとが重なって感じられたからです。 

私が体験した被災は、地震という形である時突然に起こりました。言うまでもなく抗いようもありません。ですが、こうばるの方々が奪われようとしているものは、佐世保市民や長崎県民の皆さんの判断如何によっては失われずに済むかもしれません。こうばるに流れる時間、人と自然が共生するそこにある営みは、日本の原風景と言っても過言ではありません。そんな貴重な原風景とも言える場所をダムの底に沈めてしまって本当に良いのか、その理解と議論が不十分であると感じた方々からの請願をここにお持ちいたしました。

イベントの準備、開催をする中で、石木ダム建設をよく知らなかった2つの異なる立場からの特に注目すべき声をご紹介します。

<今回のイベントに参加した、あるいは関心を寄せた佐世保市民・特に若い世代の声>

これまでダム建設は当たり前のことと捉えてきて特に問題とも感じでいなかったが、巨額のダム建設費を、今後自分たち若い世代の佐世保市民が負担していく以上、ダム建設の必要性を詳しく知りたい。仮にダム建設による「利水」「治水」の効果が期待できないとするならば、不要である望まないダム建設によって、誰かの大切な故郷を奪いたくなんてない。最も多かった声です。

<イベントに関心を寄せた長崎県外/国民視点の声>

こうばる地区という場所は長崎県だけのものではなく、日本の宝といっても過言ではない原風景のように思えます。だからこそ、そこが失われるかもしれないという問題は、長崎県の事業とはいえ、日本国民にも知る権利はあるはずだし、何より納得のいく建設根拠が、そこを故郷とする地権者や奪う側になるかもしれない佐世保市民にしっかりと示されることを望む。という声です。

こういった声の背景には、東日本大震災、熊本地震をはじめ、列島で起こった様々な大災害により、暮らしの根幹を突如として奪われた方々が、全国各地に数多くいらっしゃるということ。つまり、いま日本は「失われる」ということに大変敏感な時代に入っていることが挙げられると思います。日本のどこかで局地的に起こった痛みに対して、それを自分ごとと捉え、日本全体で寄り添い支援しようというこの素晴らしい波が、石木ダム建設にも注目をし始めています。

失うという体験は、それが愛する人の命であれ、かけがえのない故郷であれ、なんでもない日々の営みであれ、置き換えのきかない物事を失うという体験は、哀しみ、苦しみそのものであり、その後、生きていく希望を根こそぎ奪われるまさに失望であります。

石木ダム建設によって希望が生まれるのか、あるいは失望を生んでしまうのか。ダム建設の必要性がわからないでいる佐世保市民、知りたいと思っている長崎県民そして全国の方々に分かりやすく示していただきたいと思います。 

以上の理由から、石木ダム建設について、賛成、中立、反対の立場での公開議論を求めます。

WTK実行委員会
谷川 義行

 

この至極真っ当な請願に対して、委員たちは全会一致で否決。

不採択となりました。

なぜ?

主な理由
・石木ダムについては利水治水両面から既に議論が尽くされている。
・県も十分説明してきたし、国も賛成反対両方の意見を聞いた上で事業認定をした。
・さらに事業認定取り消し訴訟が進行中でもあり、司法の場で議論されている。
 
しかし、
・現実問題として、多くの市民県民が納得していない。疑問を持っている。
・だから、国も公共事業評価監視委員会も、県に説明努力を求めたはず。
・しかし、県はその付帯意見を忘れてしまった?or無視?
 
そんな県に対し、事業者としての説明責任を思い起こさせ、説明や議論の場を促すのが議会の役目だと思うのですが、長崎県議会は真逆でした。
 
委員Aは、
・佐世保市は度々水不足に陥っている。そういう事情を知って請願しているのか?
と請願者の無知を問い詰めるような口調。
(実情を知らなかったのは委員の方なのに…)
 
そこで、もう一人の請願者B(佐世保市民)は、
・佐世保市が水不足で苦しんでいたのは20年も前の事。
・平成6~7年の大渇水から20年以上、断水は一度も起きていない。
・今夏の猛暑続きの時も佐世保市のダムの平均貯水率は80%を超えていた。
・ここ20年、佐世保市の一日最大給水量は2万トンも減っている。
・これからも人口減少でさらに水の使用量が減るだろう。
と佐世保市の実情を伝えたのですが、
 
それを無視して、委員Aは新たな質問を土木部に向けました。
河川課企画監には、利水面での必要性を語らせ、
河川課長には、これまでに説明を尽くしたということを具体的に語らせ、
土木部次長には、事業認定取り消し訴訟を口実に今は議論できないと語らせた。
 
こんなふうに行政と議会のシナリオに沿って審査は進み、
副委員長による反対討論の後、全会一致で不採択となったのです。

その結果は予想通りでしたが…
県議会の有りようそのものには本当に驚きました。
県議会では請願者の趣旨説明は議事録に載りません。
形としては休憩時間にするのだそうです。

委員長:請願者の趣旨説明を認めますか?
委員:異議無し
委員長:では休憩に入ります。請願者どうぞ。
請願者:発言
委員長:委員会を再開します。質疑に入ります。
委員:質問
委員長:休憩に入ります。請願者どうぞ。
請願者:発言(質問への回答)
委員長:委員会を再開します。

といった具合。
請願者の発言の度に「休憩に入ります」と宣言。
委員の発言の前に「再開します」と言わねばなりません。
こんな面倒なことをしてまで、請願者の発言を議事録から消したいのでしょうか?
それはなぜ?

また、もう1つ、こんなことがありました。
紹介議員のY県議が発言を求めたとき、委員長はいったん発言を許可したのに、すぐに「却下します」と訂正しました。
自民党のベテラン議員が首を横に振ったからです。
唖然としました。

11人の委員会の中に委員長の権限を無視した力関係があるように、
議会全体も、県庁全体も、ルールや正義よりも力関係が大事で、
それによって物事が決まっていくのでしょうか?

だとすれば、石木ダムも、誰かの大きな力が全てを決めている?
必要性だの住民の思いだのどうでもいい?

それが長崎県政の実態なのでしょうか。


調査が終われば効力は無い?

2016年06月28日 | 議会

少し前の記事ですが、とても驚いたので書き留めておきます。

川棚町で2年ぶりに開かれた日曜議会。

その日の一般質問の中で、議員と町長との間でこんなやりとりが交わされていました。

 

この町長の答弁にはちょっとびっくりです。

ここの出て来た覚書とはこちらのこと。

昭和47年に交わされた、確かに古いものですが、

時の県知事と、川棚町の3つの郷の総代が署名押印した正式文書で、

立会人として当時の川棚町長も署名押印しています。

 

で、ここに書かれているのは、以下の4条で、特に第4条が大事なので赤い四角で囲んでみました。

 

「乙(長崎県)が調査の結果、建設の必要が生じたときは、改めて甲(3つの郷)と協議の上、書面による同意を受けた後着手するものとする」と書かれています。

つまり、これは、

まだ建設するって決めたわけじゃないんだよ。

建設する必要があるかどうか判断するために調査するんだよ。

で、調査した結果、建設すべきとなった場合は、ちゃんと皆さんと話し合って、

合意ができたら文書を作成して、きちんと手続きをふむよ。

それをしないで勝手に工事を始めるなんてことはしないから安心してね。

という意味でしょう?

だから、それなら調査してもいいですよ、ということで覚書を交わしたわけですよね?

 

なのに、この約束を反故にして、県は勝手にダム事業に着手した。

それを、この約束の場に立ち会った川棚町長も認めてしまった。

これじゃあ、何のための覚書だったの?

と、第三者でも納得できません。

 

しかし、現町長さんの答えは、

「調査をするために結んだもので、(調査を終えた)現時点で効力はないと考えている」でした。

 

えー!

それじゃあ詐欺同然、だまし討ち同然じゃないですか?

覚書の法的効力など知らない素人の私にはそう思えてしまうのですが、

違います?

 

まあ、私たち日本国民は約束事にはルーズな国民性ですからね~

「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と憲法で謳っておきながら、

自衛隊の軍事力は世界で常にベストテン入りしています。

(調査機関によって9位とか4位とか評価が分かれているようですが)

一番憲法を守らなきゃいけない大臣や国会議員が平気で憲法を汚し傷つけているし…

 

そんな体質は認識した上で、それでも、やはり納得できない。

まるで、騙される方がバカなんだよ~と言われてるみたい。

これでは、県民は知事を信用できない。

町民は町長を信用できない。

信頼の無いところに、未来はない。

だから、石木ダム問題も、いつまでたっても解決しないし、

溝は深まるばかりです…     

 

  

 


6回目の請願も全会一致で不採択

2016年06月27日 | 議会

先月11日、県は未買収地の残り全て約9万㎡を裁決申請し、

県収用委員会は今月10日それを受理しました。

これで、ダム建設予定地に住んでいる川原13世帯の家々が全て強制収用の対象となりました。

 

1回目の裁決申請は4世帯の農地だけでしたが、

その時と同じように手続きは粛々と進められ、裁決が出て明け渡しを命じられるでしょう。

でも、農地の時と同じように、地権者の皆さんは誰一人として、それには応じないでしょう。

すると、どうなる?

行政代執行ですか?

柱にしがみついて抵抗する住民を引きはがして、ブルドーザーで家を潰してしまうのでしょうか。

それとも、先にコンクリートの堤防を築いて、徐々に水を溜めていき、

まるで生き埋めのように、全てが水の底に沈むのを待つのでしょうか。

そのような前代未聞の蛮行がこの長崎県で行われるのでしょうか?

佐世保市議会は、それを許すのでしょうか?

私たち佐世保市民は、私たちの水源確保のために川棚町民を犠牲にするなんて耐えられません。

この思いを議会に伝えるために、6月10日、請願を提出しました。

そして今日、その請願が委員会審議にかけられ、私たちは思いを込めて趣旨説明をおこないました。

 

請願文書を見て頂ければわかるように、今回は4団体による提出です。

4団体で訴えたことは、

・何が何でもダムを造らなければならないという根拠がわからないし、緊急性も感じない

・ダムよりも漏水対策にお金をかけるべき

・基本的人権と公共の福祉を天秤にかけた時、石木ダムによる公共の福祉が大きいとは思えない

・明け渡し裁決が出ても地権者はそこに住み続け、出ていく人は誰もいない

・石木ダムに関する新聞への投稿記事は、ほぼ100%反対の声ばかり

・議会は行政の代弁者ではなく市民の代弁者であるべき。市民県民の声に耳を傾けてほしい

・新聞の社説も、必要性の説明が不十分な状態で、強制収用という手法を取るのは許されないと断じている

などなど。

 

私たちの陳述が終わり、質疑の時間になりましたが、委員は誰一人手が上がりません。

仕方なく?(予定通り?)委員長は「暫時休憩し、11時から再開し結論を出す」と告げました。

 

そして再開。

各会派から反対討論が述べられ、予想通り、またも全会一致で不採択となりました。

 

これまでの反対理由はこうでした。

2012年(事業認定される前)~事業認定申請したのは地権者との話し合いが目的である。現段階で強制収用について論ずべきではない。

2013年(事業認定されると)~認定はされたが、県が裁決申請するかどうかはまだわからない。仮定の話には応じられない。

2014年(裁決申請に踏み切ると)~事業認定は法に則って公正に行われたものであり、認定された以上手続きを前に進めるしかない。しかし話し合いの余地は十分残されている。

 

さて今回はどんな理由で私たちの請願に反対したのでしょう?

各会派から出された意見をまとめると、こういうものでした。

〇裁決後も任意交渉は続いている。これまでも任意交渉の中で合意を得てきたので、今後もそれに期待する。

断腸の思いで移転された54世帯の方々のことも考えなければならない。

〇県は生活再建や集団移転の斡旋など最大限の措置を予定しており、地権者の相談に応じると言っているので、地権者の方が路頭に迷うことはない。

石木ダムに代わる抜本的な水源対策がない中では、手続きを進めることはやむを得ない。

〇ダムの必要性に関する当局の説明は十分合理的である。

などというものでした。

 

やっぱり…委員の皆さんは行政の代弁者ですね。

任意交渉で合意できる人たちは既に土地を売って出て行かれました。残っているのはどうしても合意できない、今後も絶対に応じない人たち。だから期待してもダメ。

◎決断の際に苦渋の思いをされた方はふる里を愛していたから。そのふる里が残るなら、それは嬉しいはず。もしも可能なら、今の家を売ってまた戻ってくればいい。川原の皆さんはきっと歓迎してくれますよ!

◎県が話し合いたいのはいつもそれ。補償金や生活再建や移転先の話。その前に話すべきことがあるでしょ?なぜここにダムを造らなければならないかという原点の話。それを抜きにして補償金の話などしようとするから地権者との溝が深まるばかりってこと、わからないかな~

◎石木ダムに代わる抜本的な水源対策など要りません。水は足りているのだから。もっと欲しいと思う人もいるかもしれないけど、欲を出せばキリがない。足るを知る生き方がこれからは大事なんじゃないかな~

◎ダムの必要性に関する当局の説明は十分合理的である?!へぇー!!あの水需要予測が合理的だと思えるなんて、ずいぶん奇特な方もいるのですね~失礼!当委員会の皆様は奇特な方々ばかりでしたよね。私たちのような凡人には理解できませんが・・・

 

そんなことを思いながら拝聴させて頂きました。

 

傍聴に来て下さった市民の皆様、佐世保市外からも駆けつけて下さった皆様、

お疲れ様でした。そして、

 

これからも諦めず、しつこく、しぶとく、請願を続けます。

一緒に頑張っていきましょう~ 

 

 

追記:翌日の新聞記事を添付しておきます。(長崎・朝日・西日本)

 


賛成少数、でも、勇気凛凛

2016年03月25日 | 議会

今日は佐世保市議会3月定例会最終日。

本会議において、様々な議案について委員会報告があり、その後裁決がおこなわれました。

私たちが提出した請願についても、結果はわかっていましたが、

どのような質疑討論があるか、興味を持って傍聴に出かけました。

 

まず久野都市整備委員長より審査報告がありました。

①市民への情報提供を求めるという趣旨には賛同するが、

水道局は水道管の老朽化に対し既に計画的に整備を行う考え方を示しており、

財政的な観点からも引き続き長期的計画的に行うことが適切である。

②また個人所有の水道管に対し費用の助成を行うよう水道局に求めることは困難である。

よってこの請願には賛同できないなどとの意見があり、採決の結果賛成少数で不採択としました。



続いて質疑に入り、山下議員から、次のような質問が出されました。

請願者は老朽化の実態を把握してもらいたい、

そして具体的な更新計画を示してもらいたい、

そしてそのためにはいくら費用がかかるのか、その財源確保計画を示してもらいたい、

そう言っている、これが請願項目であります。

この請願項目に対して、老朽化の実態は明らかになったのでしょうか?

具体的な更新計画は示されたのでしょうか?

いくらお金がかかるのかその財源確保計画は示されたのでしょうか?

お答えいただきたい。

 

委員長の回答は、

  委員会では山下議員から出されたような質議はありませんでした。

と、それだけ。

つまり肝心な質問は何もなかったということ。

委員たちはそのようなことを知ろうともしなかったし、関心も無かったのか?

 

その後討論に入り、早稲田議員から力強い賛成討論がありました。

漏水対策に関して国は、計画的な施設更新による有効率の向上を目指せと言っている。

給水人口10万人以上の事業体に置いては、有効率の目標値は98%以上と示されています。

本市の実態はどうか?

平成25年度の有効率は89.4%、無効になった水量は一日に9,762トン。

また26年度の実績は89.8パーセントで一日の無効水量は9,193トン。

こんなに水を無駄にしています。

これまでも佐世保市水道局は漏水調査と更新に取り組んでこられましたが、

いまだに10パーセントの漏水があるという事は、これまでの漏水対策に課題ありという事。

水資源が少ないと言われている佐世保市にとって、漏水対策こそが喫緊の課題。

請願者は、1月の断水を貴重な経験として、これ以上水を無駄にしてはいけない!

との切羽詰まった思いで、そういう市民を代表して請願に踏み切られたんだろうと、

私はそう推測しています。

水道局は早急に対応すべきです!


 

続いて山下議員も賛成の弁を述べられました。

1月の断水被害はひどいものでした。

どんなに水瓶に水があっても水道管が破損していては水が届かない。

水というライフラインの大切さを改めて教えてくれることになりました。

だから老朽化の実態を把握して、具体的に整備計画を詰めてもらいたい。

いくらお金がかかるのか、財源確保計画をちゃんと示してもらいたい。

これが請願の大事な中身になっている。

じゃぁどれほど漏水をしているのか。

先ほど早稲田議員からも数字が示されましたが、私は別の角度から示してみたい。

(私たちが趣旨説明の際提出した長崎市との比較の数字を全議員に公表)

今や為すべき事は老朽化対策!

せっかくそこに有る水を大切に使用していく。

そのために行政がきちんと責任を果たしていく。このことが喫緊の課題であります。

 

その後裁決に入り、予想通り社民・共産の4議員以外は全て反対、よって不採択となりましたが、

お二人の賛成討論は、きっと他の議員の心にも届いたに違いない・・

少なくとも、私たち請願者は、そう思いたい。

 

これからもメゲズに訴え続けていきましょう~というメールがたくさん届いています。