忘備録の泉

思いついたら吉日。O/PすることでI/Pできる。

「イスラム国」の内部へ

2016-08-31 14:40:04 | 読書
著者はユルゲント・トーデンヘーファ。
元裁判官の経歴を持つドイツ人ジャーナリストだ。
裁判官らしく、その基本的な姿勢は、ある事象や事件が生じたら必ずその双方の意見を聞き、そこに批判を鋭く差し込みながら理解を深めていくことである。

アメリカの同時多発テロ事件発生を機にジャーナリストとして活躍し、数々のベストセラーを世に送り出してきた人だ。
西側諸国の目を通してしか描かれない「IS」の姿。
なにが真実なのかはどの時代にあっても不明であり、そこにあるのはそれぞれの事実のみである。
ドイツでベストセラーになったこの本であるが、日本でこの本を刊行するまでなかなかの苦労があったようだ。
それこそが日本の偏狭さを示しているように思えた。

第1章・第2章が特に記憶に残った。
ISはいつから存在していたのか?
それは2003年のイラク戦争の落とし子であると著者は断定する。
オレンジ色のオーバーオールを着せられた捕虜が斬首されるという残酷な映像が世界中を駆け巡った。
ショッキングな映像は私たちの脳裏に刻まれた。

しかしそれも事実だが、西側諸国の国民が知らない事実も数多くある。
サミュエル・ハンチントンは多くの歴史家と同じように、
「西側諸国が世界を征服したのは、自分の価値の優位性によってではなくて、暴力の使用の優位性によってである。
西側の人間はこの事実をよく忘れるが、西側以外の人間は決して忘れない」と明言する。

フランスの作家で入植者であるルイ・ド・ボディクールは、フランスがやったアルジェリアにおける数え切れないほどの野蛮行為の一つを描いて、
「ここでは一人の兵士が戯れにある女性の胸を切り落とす。
あちらでは別の兵士が一人の子供の脚を掴んでその頭蓋骨を壁に打ち付けてつぶす」と書いている。
フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴ―は、兵士たちが向かい合って、子供たちを投げ合っては、それを銃剣の先で受け止める様を報告している。
1962年のアルジェリア戦争終結まではアルジェリアの自由戦士たちの斬首は日常茶飯事のことだった。
ちょうど今日のISでのように。

世界を善と悪とに二分することはできないだろう。
救いを求めるとしたら、対立するもの同士の「対話」しかない。
暴力による解決は新たな暴力を生む。

見ざる(猿)・聞かざる(猿)・言わざる(猿)

2016-08-30 09:17:34 | 日記
28日のこと。
選挙でずいぶんとお世話になったAさんと何年かぶりでお会いした。
彼も現在はまったく仕事から離れ、表面的には大人しくしているらしい。

彼曰く、
「言いたいこといっぱいあるだろうけれども、言っちゃあだめだよ」

「そうだね。見猿・聞か猿・言わ猿だね」

「そうだよ。でも見たくなくても見えてくるし、聞きたくなくても聞こえてくるし、ストレスだけが溜まってくるだろう、あなたも」

それから延々と彼の愚痴やら悪口やら意見が飛び出してきた。

これを受け止める私のストレスはどうすればいいの?

昨日は古巣の事務所へ行ってみた。
ここでも同様にいろんな話が飛び込んでくる。

だから昔の大人は田舎に引っ込むんだね。
でも本当の意味は「礼節に反することはしてはいけない」の意味らしい。
そうかといって現役にあれこれ口を出すのもはばかれる。

さてさて「どうすりゃいいんじゃろう?」

誘導(案内)形式による集団療法のための指針

2016-08-27 09:03:29 | Library
原則
協働、喚起、自律性の尊重という基本的原則に加えて、集団に適用する場合の具体的な可能性について考慮する。

陥りやすい落とし穴を避ける
集団的状況に取り組む場合、複数の個人的相談にのってはならない。
あなたがた専門家が質問し相手が答えるという状況を避ける。

黄金律(忘れてはならないこと)
目標を覚えておく
全員をまとめて一つの話題に集中させ、相互に援助できるようにする。
個人の物語を主題や他者の経験に結びつける。参加者の物語の本質を引き出して、それを幅広く用いる。熟練した司会者は参加者の話に割り込んで中断し、違う視点から物語を再構成することもあるだろう。
発言の少ない人を励まし、声の大きい人や長々と話す人を控え目に押しとどめる。例えば、発言の少ない人には集団療法中の討論を部分的に要約するよう求め、その人自身にとってその要約がどのくらい適切かを尋ねることもできる。話好きの人には、自分の主張を要約してもらい、グループ全員に対して質問の時間をとる。
否定的な相互作用を最小限にする。参加者は、過剰な助言をしたり、明らかな否認や変化を避ける言い訳に直面させようとしたりする可能性がある。否定的な相互作用を拡大させない。共感的・支持的であり続けながらも、集団療法の過程が否定的な方向に向かっている時には即座に行動をとり、コントロールを取り戻す。「私にとって効果的だったこと」を、他者への助言という形式で発表するよう参加者に求める。
集団療法の焦点を、変わろうとする動機の強化、希望の促進、および変化がもたらす苦悩の低減に当て続ける。その集団療法を、探求的心理療法、あるいは不平不満の言い合いにしないようにする。

主題と戦略
過去の成功
参加者が達成した事柄に焦点を当てることは、自信を回復させ、現在の変化に関連した創造性を刺激するのに役立つ。
両価性
変化についての参加者の両価的な気持ちに焦点を当てることは、心理的防衛を軽減しつつ、変化の開始を退歩の予防に備えるための役に立つ。
価値観
現在の行動が、どのように自分の中核的価値観に適合しているか検討するよう勧めると、変化への動機を強化し、現状維持に傾きやすい場面でも確固とした内的方向性を見出すのに有益である。
未来をみつめる
より良い未来を思い描くように援助するほうが、過去の失敗をイヤイヤながら認めて分析するより、変化への苦闘に対して良い影響を与えることができる。
長所や能力を探す
自分の長所や能力に気がつくと自己評価が高くなり、現状を変えるのに有益な内的資源を見出すことができる。成熟した人々の集団であれば、指導者は互いの長所をわかちあうよう促すこともできる。それは非常に強力な支持的経験となるであろう。
変化の計画
一人でも、夫婦でも、大集団であっても、変化を計画するための話し合いやワークシートの記入は、曖昧な動機を具体的な計画に変換し、変化を開始して維持し続けるために有用である。大きいが不明瞭な計画を立てるより責任をもって実現できる小さな変化について話すように励ます。次回の面接で、その小さな変化が実現したかどうか尋ねる。
重要性と自信の探求
変化の計画の関係を検討するために重要性と自信の尺度を用いるのは、その人自身の認知と感情が変化への取り組みを促進もすれば阻害要因にもなるということを理解するために有益である。

組織の変化(改革)

2016-08-26 08:49:48 | Library
「7つのC」
1、Courtesy(礼儀正しさ)
全てのクライエント、電話をかけてくる人、および同僚が、常に尊敬をもって礼儀正しく対応される。
2、Collaboration(協働)
スタッフは共通の目的を持ち、互いの目標を理解しながら相互に協力するよう努める。
殆どの目標は、単独で取り組むよりも、協働的な取り組みを通して達成される。
3、Contribution(貢献)
全スタッフは、公平な量の仕事を割り当てられ、それを遂行する。
全スタッフは、共通の使命と目標に対して、個人的に貢献する方法を探す。
4、Conscientiousness(誠実)
全スタッフが、優れた援助を推進するために責任をもって努力する。
仕事の計画や基準を誠実に守る。
5、Communication(疎通性)
組織全体で、率直なコミュニケーションを重んじる。
懸念や情報は、関係者全員に直接確認される。
6、Connection(連携)
各部署のスタッフは、組織全体との連携を理解し、全職務の遂行にあたって全組織の理念と使命に責任を持つ。
7、Community(共同体)
全スタッフが、組織の雰囲気、あり方、援助および全クライエントの福利に対して責任感を共有する。

質問する(5)

2016-08-25 08:54:24 | Library
仮説を用いた質問

MIとは、クライエントがすでに持っているものを、彼らから呼び起こす方法である。
変わる準備があまりできていないクライエントにとっては、あなたが彼らとともに一歩後退して仮説的な言葉で話すことによって、変わることがそれほど脅威でなくなる。
それによって彼らは、変化をもっと自由に心に描くことができる。
以下にあるのは、仮説的な言葉で表現された、開かれた誘導(案内)形式の質問である。
「あなたが○○をしようと決心するためには、何が必要でしょうか?」
「あなたが○○をすることにしたとしましょう。成し遂げるためには、あなたはどのようになさいますか?」
「あなたが○○した瞬間を想像してみましょう。あなたの人生はどのように違ってくるでしょうか?」
「(○○において)今の尺度5を8にするには、何をする必要があるでしょうか?」
「物事がどのように変わっていて欲しいですか?」
「あなたが○○を変えないままでいたとしましょう。5年後にはどうなる可能性があると思いますか?」

クライエントと良い関係性があり、その話し合いにクライエントが明らかに満足している場合には、想像的な飛躍も可能である。
次の質問について考えてみよう。
「現在不可能なことで、もし可能であったら全てを変えてしまうかもしれないことは何ですか?」
「あなたが私の立場にあったら、○○についてあなたにどのような助言をするでしょうか?」
「(この行動は)あなたが成長したり、進歩するのをどのように妨げてきたでしょうか?」
「今後、今から1年後、5年後、あるいは10年後にあなたの人生に最も起きていて欲しいことはなんでしょうか?」