著者はユルゲント・トーデンヘーファ。
元裁判官の経歴を持つドイツ人ジャーナリストだ。
裁判官らしく、その基本的な姿勢は、ある事象や事件が生じたら必ずその双方の意見を聞き、そこに批判を鋭く差し込みながら理解を深めていくことである。
アメリカの同時多発テロ事件発生を機にジャーナリストとして活躍し、数々のベストセラーを世に送り出してきた人だ。
西側諸国の目を通してしか描かれない「IS」の姿。
なにが真実なのかはどの時代にあっても不明であり、そこにあるのはそれぞれの事実のみである。
ドイツでベストセラーになったこの本であるが、日本でこの本を刊行するまでなかなかの苦労があったようだ。
それこそが日本の偏狭さを示しているように思えた。
第1章・第2章が特に記憶に残った。
ISはいつから存在していたのか?
それは2003年のイラク戦争の落とし子であると著者は断定する。
オレンジ色のオーバーオールを着せられた捕虜が斬首されるという残酷な映像が世界中を駆け巡った。
ショッキングな映像は私たちの脳裏に刻まれた。
しかしそれも事実だが、西側諸国の国民が知らない事実も数多くある。
サミュエル・ハンチントンは多くの歴史家と同じように、
「西側諸国が世界を征服したのは、自分の価値の優位性によってではなくて、暴力の使用の優位性によってである。
西側の人間はこの事実をよく忘れるが、西側以外の人間は決して忘れない」と明言する。
フランスの作家で入植者であるルイ・ド・ボディクールは、フランスがやったアルジェリアにおける数え切れないほどの野蛮行為の一つを描いて、
「ここでは一人の兵士が戯れにある女性の胸を切り落とす。
あちらでは別の兵士が一人の子供の脚を掴んでその頭蓋骨を壁に打ち付けてつぶす」と書いている。
フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴ―は、兵士たちが向かい合って、子供たちを投げ合っては、それを銃剣の先で受け止める様を報告している。
1962年のアルジェリア戦争終結まではアルジェリアの自由戦士たちの斬首は日常茶飯事のことだった。
ちょうど今日のISでのように。
世界を善と悪とに二分することはできないだろう。
救いを求めるとしたら、対立するもの同士の「対話」しかない。
暴力による解決は新たな暴力を生む。
元裁判官の経歴を持つドイツ人ジャーナリストだ。
裁判官らしく、その基本的な姿勢は、ある事象や事件が生じたら必ずその双方の意見を聞き、そこに批判を鋭く差し込みながら理解を深めていくことである。
アメリカの同時多発テロ事件発生を機にジャーナリストとして活躍し、数々のベストセラーを世に送り出してきた人だ。
西側諸国の目を通してしか描かれない「IS」の姿。
なにが真実なのかはどの時代にあっても不明であり、そこにあるのはそれぞれの事実のみである。
ドイツでベストセラーになったこの本であるが、日本でこの本を刊行するまでなかなかの苦労があったようだ。
それこそが日本の偏狭さを示しているように思えた。
第1章・第2章が特に記憶に残った。
ISはいつから存在していたのか?
それは2003年のイラク戦争の落とし子であると著者は断定する。
オレンジ色のオーバーオールを着せられた捕虜が斬首されるという残酷な映像が世界中を駆け巡った。
ショッキングな映像は私たちの脳裏に刻まれた。
しかしそれも事実だが、西側諸国の国民が知らない事実も数多くある。
サミュエル・ハンチントンは多くの歴史家と同じように、
「西側諸国が世界を征服したのは、自分の価値の優位性によってではなくて、暴力の使用の優位性によってである。
西側の人間はこの事実をよく忘れるが、西側以外の人間は決して忘れない」と明言する。
フランスの作家で入植者であるルイ・ド・ボディクールは、フランスがやったアルジェリアにおける数え切れないほどの野蛮行為の一つを描いて、
「ここでは一人の兵士が戯れにある女性の胸を切り落とす。
あちらでは別の兵士が一人の子供の脚を掴んでその頭蓋骨を壁に打ち付けてつぶす」と書いている。
フランスの文豪ヴィクトル・ユーゴ―は、兵士たちが向かい合って、子供たちを投げ合っては、それを銃剣の先で受け止める様を報告している。
1962年のアルジェリア戦争終結まではアルジェリアの自由戦士たちの斬首は日常茶飯事のことだった。
ちょうど今日のISでのように。
世界を善と悪とに二分することはできないだろう。
救いを求めるとしたら、対立するもの同士の「対話」しかない。
暴力による解決は新たな暴力を生む。