忘備録の泉

思いついたら吉日。O/PすることでI/Pできる。

交われない苦悩

2020-03-31 16:07:40 | 心理
組織や社会になかなか溶けこめない、交われない人たちがいる。
そんなときには人間本来がもつ「所属と愛の欲求」が満たされずにいるため、自らいのちを絶つ人もでてくる。
そうなるまえに不適切な行動であってもなんとか共同体に所属しようと試みる人もいる。
そんな不適切な行動を危機のサインとして受け止めてあげたい。

そんな4つの不適切な行動を見ておこう。
①過度の注目・関心を得る
過度の注目・関心を得ることで所属の欲求を得ようとする行動だ。
大きな声で泣き叫んだり、子どもの立ち歩きなどがその具体例である。

②権力闘争に勝つ
教師の指示に従わない、教室のものを壊すなど、教師を自分と関わらせていく。
教師は怒りを感じ、怒鳴ったり罰を与えたりする。
それは教師の負けである。なぜなら、子どもの目標は自分に本気で関わらせることだからだ。

③復讐する
親子の場合は、親がもっとも傷つくようなことをする。
万引きしたり、自傷行為をしたり、他害行為をわざとする。
一見すると自分が損をする行為だが、結局は親を傷つけることで自分への関わりを深め、所属の欲求を満たそうとしている。

④無気力・無関心であることを誇示する
それでもなお、所属欲が満たされないと、「無気力・無関心であることを誇示する」段階に進む。
他者と交わることをやめてしまったり、ひどい自傷行為をしたりすることもある。

交渉学⑧「議事録の必要性」

2020-03-24 14:57:05 | Library
交渉の最後に、協議した条件を整理し、何を合意し何を合意しなかったか、また今後のスケジュール等を確認し、議事録として書面にすることは、ビジネス交渉の基本である。
もめた交渉はもちろんのこと、円満な交渉でも、よく確認するとお互いの理解が異なっていることがある。
交渉の最後に確認しておかないと、そのことが後になって発覚してトラブルの元になることも多い。
また、書面にすることにより、お互いが合意したことがより明確になり、前提条件の勘違いや、思わぬ付帯条件があることに気がつくこともある。
企業間、特に大型プロジェクトや国際間の交渉では、会議内容は会議中に、遅くともその日のうちに議事録としてまとめ、双方が確認してサインするまで終了しないのが通常である。
日本の企業間交渉では、議事録を作成する習慣が少ない場合もあるが、会議のあとに理解の記録やメモとして、メールで議論した内容や理解を箇条書きにして送付しておくだけでも効果がある。
お互いに合意したと思っていることが、何日も経ってから異なる理解であったことがわかったとしても、対応する選択肢が少なくなる。
仮に交渉の後、理解が異なることがわかったとしても、その日のうちに確認できれば次の対応策が考えられる。
ビジネスの交渉においては、議事録を用いてきちんと交渉結果を整理し、記録を残す習慣をつけることが大切だ。

「交渉学入門」より抜粋


交渉学⑦「タイム・プレッシャー」

2020-03-22 10:36:12 | Library
「遠路はるばるお越しいただきありがとうございます。帰りのご予定は?」
海外など長距離を移動して、相手と交渉する場合、最初によくある雑談である。
しかし、この雑談のなかに、タイム・プレッシャー(Time Pressure)を与えるための質問が潜んでいることがある。
タイム・プレッシャー戦術とは、会話のなかのいくつかの質問から、相手のデッドラインを探り出し、その締め切り効果を利用した戦術である。
経費削減が厳しい企業では、ビジネスの海外出張でもディスカウント・チケットを利用する場合がある。
このチケットの場合、スケジュールの変更ができないことが多い。
その情報を安易に明かしてしまうと、何時に交渉場所から移動しなければならないかというデッドラインの情報が相手に伝わってしまう。
たとえばそのデッドラインを利用して、空港の2時間前ぎりぎりになって相手が時間を気にし始めたところを見計らって、本格的な条件交渉を始めたりするのである。
また、ほぼ合意したと思っていた条件を急に変更する場合もある。
この戦術を受けるとデッドラインが気になって冷静な判断ができず、相手の条件を十分に検討しないままに安易に合意してしまうことがある。
この戦術を避けるためには、自分を追い込むような不要な情報を明かさないことはもちろん、デッドラインは目標であると考えて、必ず延長戦のオプションを準備しておくことが大切だ。

(つづく)

交渉学⑥「ニブリング」

2020-03-21 14:54:18 | Library
おねだり戦術(Nibblingu ニブリング)と呼ばれる戦術がある。
この戦術は、いったん合意に到達した直後を意図的に狙って相手に追加条件を提示し、その条件を相手にのませてしまうものである。
交渉が合意に達したときには、気が緩み油断しやすい心理状態にあり、またできるだけ合意を維持したいという心理が働きやすい。
この戦術は、この心理を利用している。
この戦術を用いる交渉者は、相手の不意をついたり、相手を意図的に褒めたあと、追加条件を出したりする。
また、自分が出した要求が取るに足らないことをさりげなく強調して、追加条件への合意を引き出そうとする。
この戦術を受けないためには、合意直後であっても油断しないことが重要だ。
交渉相手の前では、合意に到達したと思ったときでも、まだ交渉中であることを認識して緊張感を維持し、相手の発言に対応するのである。
この戦術を用いた交渉を受けた場合は、合意直後の追加条件は、基本的には受け入れない態度で臨む必要がある。
交渉の条件は、すべて交渉の中で決めるのが基本原則である。
追加条件を受けた場合も、再交渉と考えるべきである。
この戦術を用いる交渉者は、おねだり戦術が通用しない相手であることがわかると追加交渉をあきらめることが多い。
逆に、安易に追加条件交渉を受けるとフット・イン・ザ・ドアと組み合わせて、徐々に大きな追加条件交渉を出してくることがあるので要注意だ。

(つづく)

交渉学⑤「フット・イン・ザ・ドア」

2020-03-20 09:46:43 | Library
フット・イン・ザ・ドア(Foot in the Door)は、ドア・イン・ザ・フェイスと逆の心理を利用した戦術である。
この戦術では、最初に相手が取るに足らないと思うような要求を意図的に提示し、小さなイエスを引き出す。
その上で、徐々に大きな要求にエスカレートさせるのである。
要求が徐々に引き上げられて、最後の段階で初めて「しまった」と気づくことになる。
通常は、最初の要求が小さいと思わず受け入れてしまいがちである。
そして、その後徐々に、そして次から次に、大きい要求を受けても、最初にイエスと言ってしまっているため、途中から断りづらくなる。
この戦術では、この心理を巧みに利用している。
この戦術を用いた交渉を受けた場合は、相手の要求が大きいか小さいかにかかわらず、その内容を考えて応じるべきかどうかを冷静に判断する必要がある。
たとえ、相手の最初の要求が取るに足らない内容であった場合でも、この要求の背後に、この戦術が隠されているのではないかと疑ってみるべきだ。
それでも、この戦術に引っかかってしまうことがある。
途中で気がついた場合は、冷静に「以降の要求は一切応じない」と宣言し、それまでに生じた被害を最小限度にとどめるのがポイントである。

(つづく)