「今、すごく順調に回復していることは確か。でも、無理は禁物よ。仮に退院したとしても、身体は、今までのマタギさんと同じじゃないからね。」
ベテランの看護師さんが言う。
「マタギさんって、山菜料理大好きみたいじゃない。でも、今年は、あまりお勧めできない。だって、山菜って、アクと繊維質が強烈でしょう。退院できたとしても、食材には、かなり気を遣う必要があるから。」
なるほど。
確かに、今の状況が、赤ちゃんの離乳食みたいなものだとすると、来月から、渋い大人の山菜料理ってわけにはいかないかもしれないなあ。
「体力だって落ちているんじゃない?ここで、山に入って無理をしたら動けなくなるかもよ。」
う~む。
やっぱり、冷静に現実を見たらそうなるか。
ブロ友さん達にも、似たような声掛けをしてくださる方がいたよなあ。
現在のマタギのリハビリは、半固体を上手に飲み込む訓練。
それから、運動療法士さんの指導のもと、自転車のペダル漕ぎとストレッチみたいなことをやっている。
この状態から、突然山や川を渡り歩くってのはやっぱり無謀かなあ。
でも、待てよ。
今回の離乳食への移行で、点滴が外れたじゃん。
だったら、外に出られるんじゃないかい?
はい、決まり!
時間を見つけて外を歩きましょう。
体力の回復とともに、春の空気に包まれて、心と身体を癒そうじゃありませんか。
決めたからには、即行動。検査や問診の合間の時間を見つけて外に出てみることにした。
半月ぶりにスニーカーを履いてみると、なんだかフワフワして心もとない。
それでも、久しぶりに浴びる日差しと春風は、とても心地よい。
フラフラと病院周りを歩き回ってみると、
まだ駐車場の隅には雪が残っているけど
冬を越した花に
春を待ちわびていた花が
咲き始めていました。
庭木の雪囲いはまだ外れていないんだけど、
高木の蕾もまだ固いんだけど
これは、間違いなく変わっていきますね。
マタギのフワフワした足どりがしっかりしてくるのと、あたりに春の歌が響き渡るのと、どっちが先かな?
望んでいる通りに山遊びや山菜料理を楽しむことはできないかもしれない。
でも、それはそれ。
季節と自分との、変化を味わう時間をもう少し楽しんでいきたいと思います。
これなら、人にも自分にも無理がかからないもんね。