鍋こわし ( 棘鰍,トゲカジカ ) 「鍋壊し鍋」

鍋こわし ( 棘鰍,トゲカジカ )
- Myoxocephalus polyacanthocephalus ( Pallas ) -

鍋こわしです。

凄い名前が付いてますが、本名は、トゲカジカ。

デカいです。

今回のは、1.8キロもあって、スケトウダラやホッケより一回り大きく、鮭みたいなサイズです。
身体の半分ぐらいは兜なので、迫力満点ね。

名前の由来は諸説あり、余りにも美味しいので鍋を壊すくらい箸で突っついて食べるので、という説。
そして、逆の説もあり、とてもマズいので、鍋ごと叩き壊したくなるからという説。

両極端な説ですけど、まあ愛称ですから、面白おかしく大袈裟な方が楽しいですよね !
固い事を言わずに、鍋こわしなんていう洒落た名前をお酒の肴に、たっぷり味わいましょう。

鍋こわしは、北海道の特産として知られ、登別・虎杖浜海域あたりに多くて、サイズも大きいと言われてます。
しかし、北海道のイメージが強い割に、南の方でも漁獲されていて、今回のは新潟産、佐渡沖合で水揚げされたものです。

コイツを味わうのは、やっぱり鍋が唯一無二の味わい方でしょうね。
それも、上品な鍋料理ではなくて、内蔵も粗もブツ切りにして、野菜類と濃厚な味噌鍋で味わうのが一番でしょう。

捌きながら、少しお刺身も味わってみましたけど、クセもなくまずまずの味覚だったわ。
でも、カジカなので寄生虫の危険性も高いので、生食は、腹部は避けて背中側の魚肉に止めた方が無難です。
先日掲載した ケムシカジカ の方が魚肉に旨味もあり美味しかったわ。
何れにしても、お刺身向きの種類ではないので、新鮮なら食べる事も可能、という程度のものだと考えてますけどね。





今回は、一番大きな鍋を使い、豪快にブツ切りして、「鍋壊し鍋」を造り、自分用に一碗盛り撮影しました。
間違いなく、私一人では食べ切れなので、残りは鍋ごと実家にお裾分けする事にしたの。

鍋ごと渡しちゃって大丈夫だったかしら?
貴重な大鍋が壊されなかったか、心配でなりません。(笑)



イメージは別として、食べて見るとカジカ類だけに、プリプリしていて、弾力もあり、とても食べ易い魚肉です。

見た感じとは裏腹の、とても上品で肌理の細かい白身だわ。




大きな兜と粗からは、かなり強い個性的な出汁が出るのもカジカらしいところ。
この出汁が最大のセールスポイントですね。

個性的ですけど、クセは強過ぎず食べるに当って、覚悟を決めて味わう、みたいな心配は無用です。
しかし、かなり出汁は強烈なので、薄塩の潮汁みたいなのには全くの不向きだと思います。
濃い目の味噌でガッチリ & こってりした味付けにするのが一番ですね。

そんな濃厚な味噌鍋にしても、鍋こわしの出汁は、それに負けるほど軟弱なものではないですから。(笑)

カジカの肝は、どの種類も艶やかなオレンジ色をしています。
少し不気味な色過ぎますが・・・。

以前、北海道へ旅した時に、海鮮料理のお店で、鍋壊し鍋を食べた事があります。
お店の入り口に、「 本日、鍋壊し食べられます ! 」と大きく貼り紙が掲げられてましたっけ。

その店では、鍋底で内臓とこの肝を、味噌と炒り焦がし、お酒をドボトボ注いで造ってました。
アンコウなどで良く使われる「どぶ汁」ってやつですね。

そのむせかえるような濃厚さは、いまも思い出されます。
その日は、一日中、腹凭れしてたわね。(笑)




卵巣も付属していたけど、全く未成熟で小さいものでした。
この卵巣の味覚は、少しクセがありました・・・。


余談ですけど、このカジカのようなタイプのお魚は、造って食べ切りが良いと思います。
わたしの経験上、残ったものを翌日に温めなおして食べると、少しクサ味が出やすいです。
鍋こわしの二日目の味覚は確認はしてないですけど、恐らくね・・・。



鍋こわし、一碗完食。
寒い時期には、こんなお鍋はよいものですね。

美味しくても、不味くても、鍋は壊さないでね ! (笑)

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