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縄文小説家・森裕行のブログです。身近な縄文を楽しみ生き甲斐としています。「生き甲斐の心理学」の講師もしています!

見えない壁を突き破れ!(愛の孤独 6/10)

2012-08-29 | 第四章「愛とゆるし」

 難しい状態の人を避けるのはたやすいが、何らかの支援をしたり、いっしょに楽しく暮したりするのは簡単ではない。

 ただ、世の中にはどんな悪条件の中でも、職業的に壁を乗り越え支援をする先輩たちがいて、そのノウハウが定式化されている。それは心理療法の必要にして十分な6つの条件として、カールロジャースにより提唱され、カウンセリングや心理療法の現場で実際に愛用されている。

 さて、昨日のブログの続きで私の7歳の事例を考えてみよう。まずは私と逆の立場の先生になってみよう。

 自分(40歳台の米国女性)は小学校1年の先生である。生徒が15人くらいのクラスの担任であるが、ある日、英語の全くできないA君が部屋にやってくる。まずは、クラスの中に溶け込んでほしいと思うが心配である。

 ちょうど、他の生徒は色紙での工作をやっているので、A君と話てみよう。緊張させないように、教室の隅に、机を挟んで同じ目線で向き合う。「こんにちは?名前は? どこから来たの?」。優しく声をかけてもA君は、全く答えない、どうも全く英語ができないようだ。皆さんだったらどうですか?先のブログでお話した①無防備②共感性③受容性④間⑤理解力⑥熱意も大事だとしても、何をしたら良いのか?

 実際にあったことを述べてみたい。ふと、先生は今クラスで色紙をつかって工作をしているのを思い出した。手元には色紙がいくつかある。そこでA君に赤い色紙をさし、"Red"、黄色い色紙を指して、"Yellow"。。と声をかけてみた。そしたら、A君は怪訝な顔をしていたものの、ふと思い切ったように”Aka”、”Ki”と応えるではないか。意味は分からないが日本語で色を表しているようだ。

 今日は、ここまでのポイントを考えてみたい。実は、この色紙で問いかけたことが、6つの条件の最初の一つ、<二人の個人が、心理的接触の状態にある>(つまり世の中で、良くつかわれるラポール)ができたのだ。

 優しい心遣いや眼差し、これも重要ではあるが、やはり、色紙を使っての問いかけ(ちょうど、先生が熟慮して進めていたクラスでの作業につながる)が大切で、何か壁を突破した。

 テキスト『生き甲斐の心理学』(28ページ)には、「自分の心のここに触れてください、と親しい人に求愛しましょう。そして触れてもらったときの連帯感が<二人の個人が、心理的接触の状態にある>と心理学ではいいます。」とある。

 先生の求愛があり、そしてA君(私)の求愛が色紙で始まる。

 因みに、ラポールは表面的なものはいざ知らず、本当のラポールは結構難しい。ある種の覚悟をもとにした試行錯誤(求愛活動)がないとできない。表面的な『面従腹背』の壁(ちょっと極端な表現だが)を突破する原動力は何だろう。

 愛の孤独 6/10

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