室長の部屋

那須烏山市のスクラップ回収業(有)ひらつね 経営企画室ブログ

アルミニウム価格下落の背景を探る

2015年09月04日 | スクラップ情報
室長です。

このところ各種金属スクラップ価格の下落が酷いことになっています。

例えば、アルミニウムの地金価格はここ数ヵ月で続落し、前年比90%を割り込んでいる状況です。



*2014年8月の数値を100とする。

主因は、やはり中国経済の失速にありそうですが、アルミの場合、価格の決まり方に特色がありますので、価格下落の背景を探る前にアルミ価格の形成要因を簡単に説明したいと思います。

わが国では、原料となるボーキサイトの調達や電力事情などのコスト面からアルミニウムの製錬ができないため、新地金を海外からの輸入に頼っています。

その際、アルミニウムの新地金価格は、LME(London Metal Exchange:ロンドン金属取引所)にて決定される相場価格に、現物の運送コストや地域の需給を勘案したプレミアムなる割増金(上乗せ価格)が付加されて決まります。日本の場合“ジャパンプレミアム”と呼ばれ、価格交渉の主導権を新地金サプライヤー側に握られており、プレミアムの決定権はほとんどないのが現状です。

次にアルミスクラップ価格の下落の背景です。

中国経済が低迷し、だぶついたアルミ製品が廉価で輸出されて世界的にアルミ需給は緩んだ状態が続いています。欧米向けプレミアムが急落し、つられて対日プレミアムも一段安になっています。それは競合するアルミ二次合金(スクラップを使う)の価格にも多大な影響を与え、スクラップ価格も下落基調にあるワケなのです。

また、原油相場も景況感の悪化に敏感に反応していまして、このまま原油安が続くとアルミの精錬コストが下がり、更にアルミの新地金の価格低下に影響を及ぼすことが考えられます。まあ、アルミ商品のユーザーや生活者の視点から言えば、原油安もアルミ価格下落も歓迎できることなのでしょうが、スクラップ屋からしますと複雑な心境です(笑)

ところで最近、一部の二次合金メーカーでは材料となるスクラップの品質管理(異物混入など)を厳しくしているところも出てきています。生産の効率化を図るために、良質な素材を選好する姿勢が一段と強まっているようです。アルミと他素材の複合材は早晩価値がかなり落ちることになるのではと危惧しているところです。

買取価格が気になる方は、不純物の混入をできるだけ避けることをオススメします!

最新の画像もっと見る

コメントを投稿