室長の部屋

那須烏山市のスクラップ回収業(有)ひらつね 経営企画室ブログ

「一票の格差」問題に思う

2013年03月29日 | 社会・経済

こんにちは、室長です。

このところ「一票の格差」についての議論が喧しいですね。

ご存知のように、一票の格差とは、選出される議員1人あたりの人口(有権者)が選挙区によって異なるため、人口が少ない選挙区ほど有権者の投じる1票の価値は大きくなり、逆に人口が多い選挙区の1票の価値は小さくなるというものです。

先般からよく引き合いに出されているのが、前回(第22回)の参議院議員選挙の神奈川県(有権者7,183千人、定数6)と鳥取県(有権者492千人、定数2)の例で、格差が約5倍あったとされています。それをもって都市部の人にとっては地方優遇だと批判のマトになっているようですが、スタバが島根県に全国46県目の進出を果たしたことで取り残された感のある鳥取県にとっては既に十分すぎるほどの地域格差を負っているのではと同情の念を禁じえません。

それはさておき、「一票の格差=悪」という図式がすっかり定着しているようですが、先日来からどうも腑に落ちないところがあってうんうんと頭を抱えていました。新聞やニュースに触れていますと、民意は「一票の格差はイケナイ」という論調一色に塗りつくされており、議論のもとになっている条件をさほど斟酌せずに結論を出していそうな気がしてちょっと胡散臭い気がしてくるのです。

そこで、あえてマイノリティの立場に立ち、一票の格差があっても良いじゃないか、むしろ別の条件で一票の格差を考えてみても良いのでは、という視点で眺めてみることにしました(笑)

例えば、投票率という切り口から見てみます。と言うのも、政治に関心がなく投票行動をしない人の一票には、価値を認めがたいというのが人情だからです。(もちろん、投票行動を棄権する人や白票を投じる人が政治に関心がないと言いたい訳ではありません!)

第22回参院選(全国58.64%)では、神奈川県56.32%に対して鳥取県67.67%だったとのこと。投票していない人を数えてみますと、神奈川県3,137千人に対して鳥取県159千人と約19倍もの差がついているじゃありませんか!指標が異なるので一概に比較はできませんが、鳥取県の有権者数の約6倍もの票が神奈川選挙区において選挙に反映されていないということにもっと注目されてもよいのではないでしょうか。

そもそも全国では42,819千人の無投票者(もちろん、白票数も含まれているので極端な話になりますが)がいる計算になり、一票の格差云々よりもそちらの方の解消が喫緊の問題なのではないかと思うのは私だけでしょうか。。

ちなみに、ドイツでは小選挙区比例代表併用制(*参照)という、政党の得票数に応じて議席が配分される選挙制度が採用されており、上記のような不満に対応しようとする制度になっているようです。
*①比例代表で全ての政党別の議席配分を決めた上で、②各政党に配分された議席をその党の小選挙区での当選者に優先して割り当て、③それでも余りが生じた場合にのみ政党名簿に登載された候補者を補充して当選させる

日本で採用されているのは小選挙区比例代表並立制という似通った制度名ですが、ドイツの制度とは似て非なる制度です。

また、西部邁が『「世論」の逆がおおむね正しい』(産経新聞出版)でこんなことを述べています。
「国家のことを考えたとき、例えば山形県は人口少ないですが、歴史的に言うと、京都から北前船は通うし、大陸からの影響もあるし、あるいは、農業地域という意味でも、人口は少ないけれども、日本にとっては相当の重みがある。もちろん東京は重みがないというわけではないですが、3000万人いるからといって、その人たちの人口の圧力でもってこれから何十、何百年と続くはずの国家の命運を決するような、そんな投票数の割り振りをしていいのかという問題はあると思います。(中略)田舎に行くと、何代にもわたってその地域を支えてきた人がたくさんいる。そうであれば、本当に日本のこの社会を支えてきたのは、どなたなんだということになります。主権が与えられるのは、資格があるのはどなただと考えたときに、何代も住んで来たとかいうことも含めるべきなんです。そうすると、一票の格差の是正という形で、首都圏だけに議席がより多めに割り振られること自体がいかがなものかという素朴な疑問が起こります。(以下略)」

私の意見を見事に代弁してくれていまして、議席配分を決する重み付けは人口に限らず、例えば都道府県の土地面積や農林漁業出荷額、工業製品出荷額あるいは電力供給量といった国土や国力を維持していく上で重要な指標も勘案するのが筋なのではと言えます。首都圏に供給するエネルギーや食料を供給しているのは地方が大半を占めており、その土地を維持しているのは他ならぬその地方に住む人たちなのですからねぇ。

土地面積や農林漁業出荷額といった指標で一票の格差を論じたら現在の議論の様相は一変るすに違いない!と思って鳥取県のランキングデータを見ても有名なのは二十世紀梨とらっきょうのようで主要指標は軒並み全国平均以下にとどまっており、説得力のある議論のネタにはなりませんでした(笑)

とりあえず、がんばれ鳥取!


矛盾

2013年03月23日 | その他

室長です。

プロ棋士、コンピューターと対決」というニュースを聞いて抱いたどうでもよい雑感。

同じコンピュータープログラム同士が対戦したらどんな結末になるのだろう。。

「或(ある)ひと曰く、子の矛を以て、子の楯を陷(とほ)さば何如(いかん)、と。其の人、應(こた)ふること能(あた)はざるなり。」――『韓非子』の文章をふと思い出して一人ニヤついてしまいました(笑)


賃上げに思う

2013年03月18日 | 社会・経済

こんにちは、室長です。

日本経済の復調(どうにも気分が先行している感があるので、私はまだ懐疑的なのですが…)を象徴して、この春闘では景気のよい話があちこちから聞こえてきます。日立製作所や東芝では定期昇給を維持し、トヨタ自動車やホンダではボーナス(年間一時金)を満額回答したとのこと。日立製作所のボーナスは5.35ヵ月分ですか~羨ましい限りです(笑)

賃金が増えるということはサラリーマンにとって何よりも嬉しいことなのは分かっていますが、好業績の果実の分配方法は他にもあるのではないかとも思ってしまいます。世界的に見ても労働時間が長いとされている日本ですので、労働時間(仕事の拘束時間)を短くしてもらった方が案外嬉しいのではないかと思います。「給料はそのままでも(場合によっては下げても)いいから、定時で帰らせてくれ!」という切実な願いを叶えてもらえたら…と考える人は案外多いのではないでしょうか。

そのためには、例えば、有給休暇の取得を更にしやすくするなんてのも一つの方法でしょう。「有給休暇完全取得の経済効果―産業連関分析を利用して―」(桜本光、福石幸生『三田商学研究 第54巻第1号』)では、各産業界において有給休暇を完全取得した場合の経済効果について分析しています。

同論文によれば、有給休暇を増やすことにより、観光・レジャーを中心とするサービス関連の消費が喚起され、同産業部門での新規雇用の創出にもつながり、また休暇取得により代替雇用も発生する、というメリットが考えられるというのです。

以上について、産業連関分析を通して分析した結果(分析方法の妥当性は専門でないので良く分かりません)、
1)新規の余暇への消費支出の合計が約4兆8,727億円となり、それによって誘発される新規雇用は約54万人となる。
2)創出された新規雇用の所得合計は約2兆1,121億円で、そのうち消費支出にまわるのが約1兆3,178億円と算出される。
3)代替雇用は133.5万人の雇用波及効果があり、経済波及効果も約4兆2,838億円にのぼる。
とのこと。

色々と突っ込みを入れたくなるなんともバラ色の分析結果ですが、さほどの財政出動をせずとも経済活性化と雇用創出を生む可能性があるということには目を向けても良いのではないかと思わせます。何よりも生活の質を高めるのにはもってこいですよね。

その日その日の業務に忙殺されてしまうと、あまり先を見据えた仕事ができなくなりますからね~物理的にも精神的にもちょっと余裕を持たせることで仕事の質は高まるはずですし、創造的な発想も生まれやすくなる気がします♪

あたかも自転車操業のような働き方からは脱したいものです。←自戒の念も込めて。。


発熱する室長と過熱する株価

2013年03月11日 | 社会・経済

こんにちは、室長です。

このところ急激に暖かくなってきました。不安定な気候に加えまして猛烈な花粉症があいまったせいか、ついに先日発熱でダウンしてしまいました…

朝一番で取引先に向かい、片道約1時間の納品先までトラックを走らせていたところ急激にだるさが襲ってきて、無事に納品を済ませてヨタヨタしながらなんとか帰社。体温を測ってみると37度台の熱が。そう言えばその日の朝も喉が痛かったような。。

ここ一週間ほど気分があまりすぐれなかったのは、どうやら花粉症のせいではなく風邪のせいだったようです。この週末は家に閉じこもって休んでいたおかげでスッキリ回復しましたが、みなさんもお気をつけてください~

さて、熱つながりのネタですが、日本の株式市場がこのところ加熱気味な気がしています。先週末にはリーマンショック前の水準を回復したりと、ここ数カ月間の右肩上がりの続伸にはなんとなくバブルを想起させます。

6月頃の年初来安値8,238円に対して本日の年初来高値が12,403円ですので、ざっと1.5倍にもなっている計算です!株を買うまいか買わまいか――数年前からこんな考えが頭に浮かんでは消えしていたのですが、こんなことなら買っておけば良かったと後悔しきりの日々です(涙)

例えば、リーマンショック後に少し気合を入れて購入を検討した(証券会社の口座開設の資料を取り寄せるまで動いた)際には、以下の銘柄のいずれかを買ってみようかと検討しました。結局すぐに熱が冷めて買うには至らなかった程度なので、銘柄選択は安直な感が否めませんが…
①良品計画(7453)
→言わずと知れた「無印良品」を運営。選択基準は親近感のみ。
②東急コミュニティー(4711)
→東急不動産系のマンション管理大手。首都圏の新築物件が減っても修繕需要は底堅いと見て管理関連の業種は堅調と考え選択。
③銀座ルノアール(9853)
→喫茶室ルノアールを展開。趣味一辺倒での選択。
④一休(2450)
→ネット上で高級ホテルを中心とする宿泊予約サービス「一休.com」を運営。なんとなく肌が合いそうなため選択。
⑤ヤクルト本社(2267)
→健康系の商品は今後人口が爆発的に増えるであろう新興国向けに伸長すると見て。ヤクルトスワローズも嫌いではないことも影響。

もしその時に投資を決断していたとしたら以下のようになっていた訳です…(なお騰落は経済危機の影響をモロに受けていたと考えられる4年前のものと比較しています。)

           2009/3/11  2013/3/11   騰落率 
①良品計画     3,310円    6,320円   191%
②東急コミュ     1,612円    3,665円   227%
③銀座ルノ       415円      585円   141%
④一休       46,700円    92,200円   197%
⑤ヤクルト      1,584円    3,590円   227%
*日経平均株価   7,376円   12,349円   167%

100株単位(一休のみは1株単位)で全銘柄を買ったとして、738,800円が1,508,200円になった訳ですから差し引き769,400円の益が出たはず!こうして計算してみると余計に悔しくなってきます(笑)それと同時に、選んだ銘柄の騰落率は日経平均のそれを上回っているので、「案外、投資センスがあるのでは?」なんて自惚れたりもしてしまいます。

ただ、『なぜ直感のほうが上手くいくのか?』の著者で、「直感を生むヒューリスティック(経験則)」研究の第一人者であるゲルト・ギーゲレンツァーによれば、銘柄選びのコンテストにおいて、無作為に選んだ歩行者100人にインタビューして得た“聞き覚えのある”銘柄ベスト10でポートフォリオを組んだところ、なみいる金融の専門家を出し抜いて好成績を収めたそうな。

それを聞くとなるほど、室長も素人で欲を張らなかった故に上手くいっただけなのでしょうね~何事にも当てはまるのかもしれませんが、ビギナーズラックのように、案外と程よい無知の方が上手くいくこともあるようです。

と言うことであれば、小規模に長期保有を目的とするような欲張らない株式投資なら、やってみるのも悪くはないということでしょうか。。