ひきた小児科クリニック(群馬県桐生市 疋田小児科医院)

小児科専門医が群馬県桐生市やみどり市で流行している病気や,予防接種,アレルギーなどこどもの健康に関する情報を提供します.

国際頭痛学会(IHC2023)に参加して 11

2023-10-07 12:36:35 | 旅行・食事・学会参加
国際頭痛学会(IHC2023)に参加して 11

 Massimiliano Valeriani先生の話しで興味を持ったのは、現在の片頭痛の診断基準として小児では2時間以上続く頭痛という基準がありますが、小児の片頭痛はもっと短いものがあり、現在の基準だと見落としているのではないかという話しをされていました。将来的には2時間以上続くという部分をなくす必要があるのではないかとまで話されていました。Amy Gelfand先生は三叉神経・自律神経性頭痛は小児期に発症するものが21%程度有り、その殆どは成人になってから診断されているので早期診断が必要だという話しをしていました。また、治療には7歳以上ではCGRP-関連抗体性剤が有効であることも話していました。ただこの薬は日本では三叉神経・自律神経性頭痛には使うことかできません。あとは、持続性片側頭痛を鑑別するためにインドメタシン投与を行なうという話しをされていました。小児の片頭痛というとアセトアミのフェンかイブプロフェンです。しかし、持続性片側頭痛であればインドメタシンが有効なためインドメタシンをしっかり投与して持続性片側頭痛でないことを確認すると話されていました。質疑の時点ではインドメタシンによる胃腸障害の懸念と、何歳から使用するかと質問がありました。回答としては胃薬(PPI)を使えば胃腸障害は起きにくく、年齢的には乳児でも使用される薬剤であるので年齢は気にされていないとのことでした。私の講演は小児周期性症候群を頭痛学会で扱う理由の説明と疫学について話しました。海外の報告では主用疾患の有病率は1~4%ですが、我々の行なった研究では0.03~0.2%程度と大きな違いがあると話しました。この上で、会場に開催国の韓国人の聴衆がいますかと質問して挙手を求めたところ。1名のみでした。さらに、アジア人はいますかと質問して挙手を求めたところ20名くらいおりました。ということは残りの80名程度はアジア人では無いということになります。講演の最後に海外の報告と日本の報告で有病率に差がある理由について意見がある方はコメントくださいと言いましたが意見は得られませんでした。
質疑に関しては様々な質問がとびかって有意義なTeaching courseになったと思います。
とりあえず、私の仕事はこの講演だったので、無事に終了して安心しました。あとは、学会全体を聞いて知識を取り込むだけです。

ひきた小児科クリニック (群馬県桐生市 疋田小児科医院)
http://www.hikita.sx3.jp/

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