ひきた小児科クリニック(群馬県桐生市 疋田小児科医院)

小児科専門医が群馬県桐生市やみどり市で流行している病気や,予防接種,アレルギーなどこどもの健康に関する情報を提供します.

冬季オリンピックのフィギュアスケートで話題になっているトリメタジジンと片頭痛予防薬のロメリジン(続編)

2022-02-17 20:59:17 | 日記・メモ (Weblog)
冬季オリンピックのフィギュアスケートで話題になっているトリメタジジンと片頭痛予防薬のロメリジン(続編)

 先日、冬季オリンピックのフィギュアスケートの選手のドーピングの記事に関して記載しました。その時は片頭痛治療薬のロメリジンでもトリメタジジンが陽性になると書きましたが、その後の報道では選手の祖父の内服していたトリメタジジンが誤って摂取したとのことでした。

 この薬剤の濃度をどのような方法で測定しているか知りませんが、GC-MSやLC-MSなどのクロマトと質量分析を組み合わせて測定しているのではないかと思います。最近の記事では検出された濃度は2.1 ng/mlだそうで、この値は他のコンタミ例に比べて200倍高いとか書かれていました。とすると、10 pg/mlでも普通に測定できると言うことでしょうか。トリメタジジンの分子量は266だそうですから、30 fmol/mlでも測定できるとすると、もの凄い感度ですね。
 おさらい、1kgは1000g、1gは1000mg、1mgは1000μg、1μgは1000ng、1ngは1000pg、1pgは1000fg・・・・です。
 ちなみに、トリメタジジンは治療で内服すると3mgを1日3錠で1日に9mg内服するそうです。
 1日の尿量が1000mlとすると、2.1ng/mlで均一に排出されたとしたら(実際にはそんなことはありませんが)、2.1μgが体内に有ったのかなと言うことになります。トリメタジジンは殆ど尿で排出されるそうで、半減期は7~12時間とのことです(子どもだと長いかも知れませんが)。
 仮に当日内服していたとしたら1錠3mgですから2.1μgは2.1÷3000=0.0007つまり0.0007錠程度を内服したことになります。
 半減期が12時間とすると5日で1/1000になるので、5日前なら0.7錠、10日前なら7錠内服したということになります(計算あってるかな・・?)。
 まあ、この計算が合っているとして、ドーピングをするとしたらする側も、検査する側も、それを裁判で判定する側も分かっていることだと思いますので、それらを勘案して今回の判定となったのでしょうかね。

ひきた小児科クリニック (群馬県桐生市 疋田小児科医院)
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