同性による結婚、現在ヨーロッパで認められている国は、オランダ、ベルギー、スペイン、ノルウェー、スウェーデン、ポルトガル、アイスランドの7カ国。北欧、南欧、カトリックの多い国、プロテスタントの多い国、それぞれ混淆しており、特に共通の特徴はないようです。このリストの8番目にフランスも加わるべきだという社会党提案が、国民議会(下院)に提出されましたが、14日の採択の結果、否決されました。
各党の思惑は、そして各政治家の意見は・・・14日の『ル・モンド』(電子版)が伝えています。
国民議会は14日、賛成222、反対293で、同性カップルに結婚の扉を開けようという社会党の提案を否決した。否決結果を受けて、社会党は下院スポークス・パーソン、ルルー(Bruno Le Roux)が、来年社会党が大統領選で勝利したなら、同性婚は優先的な改革案に含まれることになるだろう、というメッセージを発している。
「この案件は将来、政権にとって取り組むべき課題だ。社会党が行うべき最優先課題のひとつに、同性婚は当然含まれることになる」とルルー議員は語っている。
1999年に異性・同性を問わず婚外同棲者に一定の権利を認める“Pacs”(pacte civil de solidarité)を成立させたフランスは、同性愛者に対する施策で最先端を走っていたが、今ではヨーロッパ内で遅れを取っている。何しろ、同性婚を認めている国が7カ国に上っているのだ。今回の提案であるホモカップルに結婚という選択の自由を与えることは、同性夫婦を認めることであり、同性愛者が両親として子どもを育てることを認めることではない、と社会党議員のパトリック・ブローシュ(Patrick Bloche)が投票前に力説したが、実を結ばなかった。
ブローシュ議員の説得は多数派である与党を納得させるには至らなかった。「結婚を認めれば、次には同性カップルが両親となる養子縁組を認めることになる」と、与党・UMPのディファンバシェール議員(Michel Diefenbacher)が反対理由を説明している。9日に行われた国会審議のおり、メルシエ法相(Michel Mercier)は政府としても反対だと、次のように述べた。「結婚はもはや、結びつきと親子関係の唯一のカタチではないとはいえ、今でも一つの社会制度だ。そして、結婚、パックス、同棲など結びつきの多様性ゆえに、それぞれの居場所と特徴を守ることが望ましいのではないか。」
各政党の対応を見てみると、新中道(Nouveau Centre)では、多くが反対に回った。「我々は家族とその価値を大切にしたい。結婚と親子関係の課題を分けて扱うことはできないと考えている」と、ジャルデ議員(Olivier Jardé)は語り、さらに、多くの政策課題があり、この課題に取り組む十分な時間がなかったと賛成しなかった背景を説明している。一方同じ中道右派でも、急進党(Parti radical)ではジャン=ルイ・ボルロー(Jean-Louis Borloo)など多くの議員が賛成票を投じた。
与党・UMPでは、フランク・リステール(Franck Riester)、アンリエット・マルチネス(Henriette Martinez)など数人を除いて社会党案に反対した。
「ホモカップルの権利を改善することが彼らの結婚を認めることを通してでないと達成できないとは必ずしも思っていない。それで反対したのだが、特に同性夫婦と同性の両親が子どもを育てることとの関係に同意できない理由があった。ホモカップルの権利であれば、遺産贈与など他に解決しやすい課題もある」と、UMP下院幹事長のクリスティアン・ジャコブ(Christian Jacob)は語っている。
「パックスは今や下級市民のための法的下級カテゴリーとなっている」と、14日、エコロジー党の下院議員、ノエル・マメール(Noël Mamère)は語っている。国会議員とフランス国民との乖離を非難しつつ、同性婚は避けられないものだと続けたマメール議員は、実際、市長を兼ねる地元・ジロンド県ベーグル市(Bègles)の市役所で、2005年6月(Wikipédiaによれば2004年6月5日)にフランスで初めて同性カップルの結婚式を執り行い、祝福をしている(しかし、最終的には最高裁で無効が確定しています)。「国民が選択したのであり、社会も変わった。権利の平等が求められているのだ」と、ノエル・マメールは最後に語っている。
・・・ということで、再婚カップル家庭、離婚後の片親家庭、シングルマザーなどさまざまなカタチのあるフランス社会。いずれにも社会的連帯が示されていますが、ホモカップルにはパックス(pacs)までで、その先の結婚までは認めたくない。なぜなら、結婚を認めれば、その先にはホモカップルが養子をとって育てるということになりかねないからだ。そんな意見が多いようです。
両親が同性である家庭が子どもの成長にどのような影響を与えるのでしょうか。いびつな人格形成を行うのでしょうか。何らかの研究結果があるのでしょうか。それとも、単に受け入れ難いという、個人的思い入れに過ぎないのでしょうか。
他人と異なること、よく言えば「個性」を大切にするフランス社会ですが、それでもホモカップルの結婚と養子縁組は認めたくないようです。どうしても「ウイ」と言えない理由があるのでしょうね。価値観、倫理観、伝統、慣習、宗教・・・フランスですら、社会的一般概念と異なって生きるのは必ずしも容易ではないようです。
ただ、それでも、党議拘束というものはないようで、党の多数派と異なる投票行動をする議員がいます。小異を捨てて大同につくが「党」なのかもしれません。投票行動が異なったことによる党員資格停止、なんていう制度はあるのでしょうか・・・
各党の思惑は、そして各政治家の意見は・・・14日の『ル・モンド』(電子版)が伝えています。
国民議会は14日、賛成222、反対293で、同性カップルに結婚の扉を開けようという社会党の提案を否決した。否決結果を受けて、社会党は下院スポークス・パーソン、ルルー(Bruno Le Roux)が、来年社会党が大統領選で勝利したなら、同性婚は優先的な改革案に含まれることになるだろう、というメッセージを発している。
「この案件は将来、政権にとって取り組むべき課題だ。社会党が行うべき最優先課題のひとつに、同性婚は当然含まれることになる」とルルー議員は語っている。
1999年に異性・同性を問わず婚外同棲者に一定の権利を認める“Pacs”(pacte civil de solidarité)を成立させたフランスは、同性愛者に対する施策で最先端を走っていたが、今ではヨーロッパ内で遅れを取っている。何しろ、同性婚を認めている国が7カ国に上っているのだ。今回の提案であるホモカップルに結婚という選択の自由を与えることは、同性夫婦を認めることであり、同性愛者が両親として子どもを育てることを認めることではない、と社会党議員のパトリック・ブローシュ(Patrick Bloche)が投票前に力説したが、実を結ばなかった。
ブローシュ議員の説得は多数派である与党を納得させるには至らなかった。「結婚を認めれば、次には同性カップルが両親となる養子縁組を認めることになる」と、与党・UMPのディファンバシェール議員(Michel Diefenbacher)が反対理由を説明している。9日に行われた国会審議のおり、メルシエ法相(Michel Mercier)は政府としても反対だと、次のように述べた。「結婚はもはや、結びつきと親子関係の唯一のカタチではないとはいえ、今でも一つの社会制度だ。そして、結婚、パックス、同棲など結びつきの多様性ゆえに、それぞれの居場所と特徴を守ることが望ましいのではないか。」
各政党の対応を見てみると、新中道(Nouveau Centre)では、多くが反対に回った。「我々は家族とその価値を大切にしたい。結婚と親子関係の課題を分けて扱うことはできないと考えている」と、ジャルデ議員(Olivier Jardé)は語り、さらに、多くの政策課題があり、この課題に取り組む十分な時間がなかったと賛成しなかった背景を説明している。一方同じ中道右派でも、急進党(Parti radical)ではジャン=ルイ・ボルロー(Jean-Louis Borloo)など多くの議員が賛成票を投じた。
与党・UMPでは、フランク・リステール(Franck Riester)、アンリエット・マルチネス(Henriette Martinez)など数人を除いて社会党案に反対した。
「ホモカップルの権利を改善することが彼らの結婚を認めることを通してでないと達成できないとは必ずしも思っていない。それで反対したのだが、特に同性夫婦と同性の両親が子どもを育てることとの関係に同意できない理由があった。ホモカップルの権利であれば、遺産贈与など他に解決しやすい課題もある」と、UMP下院幹事長のクリスティアン・ジャコブ(Christian Jacob)は語っている。
「パックスは今や下級市民のための法的下級カテゴリーとなっている」と、14日、エコロジー党の下院議員、ノエル・マメール(Noël Mamère)は語っている。国会議員とフランス国民との乖離を非難しつつ、同性婚は避けられないものだと続けたマメール議員は、実際、市長を兼ねる地元・ジロンド県ベーグル市(Bègles)の市役所で、2005年6月(Wikipédiaによれば2004年6月5日)にフランスで初めて同性カップルの結婚式を執り行い、祝福をしている(しかし、最終的には最高裁で無効が確定しています)。「国民が選択したのであり、社会も変わった。権利の平等が求められているのだ」と、ノエル・マメールは最後に語っている。
・・・ということで、再婚カップル家庭、離婚後の片親家庭、シングルマザーなどさまざまなカタチのあるフランス社会。いずれにも社会的連帯が示されていますが、ホモカップルにはパックス(pacs)までで、その先の結婚までは認めたくない。なぜなら、結婚を認めれば、その先にはホモカップルが養子をとって育てるということになりかねないからだ。そんな意見が多いようです。
両親が同性である家庭が子どもの成長にどのような影響を与えるのでしょうか。いびつな人格形成を行うのでしょうか。何らかの研究結果があるのでしょうか。それとも、単に受け入れ難いという、個人的思い入れに過ぎないのでしょうか。
他人と異なること、よく言えば「個性」を大切にするフランス社会ですが、それでもホモカップルの結婚と養子縁組は認めたくないようです。どうしても「ウイ」と言えない理由があるのでしょうね。価値観、倫理観、伝統、慣習、宗教・・・フランスですら、社会的一般概念と異なって生きるのは必ずしも容易ではないようです。
ただ、それでも、党議拘束というものはないようで、党の多数派と異なる投票行動をする議員がいます。小異を捨てて大同につくが「党」なのかもしれません。投票行動が異なったことによる党員資格停止、なんていう制度はあるのでしょうか・・・