ふりかえれば、フランス。

かつて住んでいたフランス。日本とは似ても似つかぬ国ですが、この国を鏡に日本を見ると、あら不思議、いろいろと見えてきます。

家族手当ほしけりゃ、登校せよ!

2010-09-25 19:43:41 | 社会
長期欠席児童・生徒への家族手当支給を停止するという決定がなされました。もちろん、日本ではなく、フランスでの話。6月29日に下院を通過していた法案が、ヴァカンスを挟んで今月14日、上院で可決成立したそうです。詳細を15日のル・モンド(電子版)が伝えています。

日本の場合、長期欠席とは年間30日以上の欠席を言うようですが、今回成立したフランスの法律では、正当な理由なくひと月に4回以上欠席した児童・生徒が対象になるそうです。正当な理由のない欠席・・・簡単に言えば「ずる休み」ということなのでしょうね。

学校長がひと月に4回以上ずる休みを繰り返した児童・生徒を確認した場合、視学官へ連絡。視学官はその家族に連絡を取り、支援が必要な場合は手立てを講じるとともに、自治体に父兄の責任に関する契約書を用意してもらう。もし翌月も同じ児童・生徒が4回以上理由なく欠席をした場合には、視学官は家族手当の支給を担当する部署に連絡を取り、支給を停止してもらうことができる。しかし、もしその児童・生徒が少なくともひと月、理由なく欠席せずきちんと登校すれば、家族手当の支給は再開される・・・これが今回成立した法律の概略です。

この法律、視学官の要請にこたえて、与党・UMP(国民運動連合)のシオッティ(Eric Ciotti)議員が提案したもので、繰り返されるずる休みを教育の癌と呼んで、それとの戦いを優先的な課題にしているサルコジ大統領の意向にも沿ったものだそうです。

シャテル(Luc Chatel)文部大臣も、親の責任を放棄し、不登校を黙認しているような家族に対しては、支援や対話だけでは不十分で、家族手当の支給停止こそ、ずる休みをなくす最後の手段になる、と新しい法律を擁護しています。

しかし、この強硬手段、言うまでもなく反対意見が多く出されています。国会での審議に際しても、与党議員の中でさえ欠席や棄権に回った議員も目立ち、中道諸党は棄権、あるいは反対。左派は言うまでもなく、反対。また、教職員組合やPTA連合会も、大反対の合唱です。

左派陣営からは、「この法律では効果は期待できず、単なる人気取りであり、低所得者層に犠牲を強いる許しがたい法律だ」という非難、あるいは、「ずる休みは一般に思われているほど頻発しているわけでない。児童・生徒の6~7%に見られるだけで、大問題だと騒ぎ立てるほどではない」という冷静な分析、はたまた「最近、与党が立て続けに行ってきた極右と同じような権威を笠に着た衆愚政治的扇動だ」という怒りが表明されています。

フランスの教育現場、確かにいろいろ問題があるようです。生徒同士の喧嘩、生徒による教師への傷害事件、薬物使用・・・そうした問題を、正当な理由なく欠席する児童・生徒に結び付けようということなのでしょうか。しかし、登校させれば解決できるものなのでしょうか・・・あるいは、緊縮財政の折、家族手当の予算を削減したいだけなのでしょうか。日本政府は太っ腹で、自国に残してきた外国人の子供にまで子供手当を出していますが・・・

次代を担う子供たちへの教育、どこの国でも頭を悩ませているようです・・・みんな、悩んで大きくなる!?

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