ふりかえれば、フランス。

かつて住んでいたフランス。日本とは似ても似つかぬ国ですが、この国を鏡に日本を見ると、あら不思議、いろいろと見えてきます。

因習に先進性や後進性はあるのだろうか?

2010-08-12 20:16:29 | 社会
最近、アフガニスタンでの女性への「迫害」と言ってもいいような出来事が相次いで報道されています。NATO軍が撤退すると、こうしたひどい状態になってしまう、ということを言いたいがために、敢えてアメリカ軍関係者が公表している、と見えなくもないのですが、それにしても、ひどい出来事です。

まずは、10日テレビ局France2の夜8時のニュースも伝えていましたが、夫の家族のもとを逃げ出した女性が、その罰として鼻と耳を切り落とされた事件です。彼女の名前は、ビビ・アイシャ。不仲な一族同士の和解のために、敵対する一族へ嫁がされた女性です。しかし、夫一族の迫害は耐えがたく、ついに逃亡を決意。しかし、すぐに見つかり連れ戻されました。女性が逃げ出すことは、アフガニスタンでは、夫の家族の名誉を傷つけたという立派な罪になるそうです。3年の刑が特赦で5カ月に軽減され、最終的は夫に鼻と耳を切り落とされるという罰になりました。切り落とされた後、あるNPOに救われ、アメリカで修復手術を受けることになりました。その鼻のない顔写真が、最近、アメリカの雑誌『タイム』の表紙を飾りました。

夫一族の罵声、いじめ、暴力から逃れたい一心で家を飛び出しただけで、鼻と耳を切り落とされた18歳の女性・・・

もう一人は、9日のル・モンドが紹介している、ビビ・サヌバール。未亡人なのですが、タリバンに姦通罪で逮捕され、鞭打ち200回の刑の後、公開処刑されました。頭に銃撃を3発。死体は、アフガニスタン政府の支配する地域に投げ捨てられていたそうです。年齢は35歳から48歳の間。彼女は、妊娠していたそうです。

姦通罪で鞭打ち、そして銃による処刑を受ける女性。では、その相手の男性は? 何も伝えられていないということは、女性だけが罰せられるのでしょうね・・・

姦通罪という名のもとに、多くの女性が処刑されている。その処刑も、死ぬまで石を投げつけられるというものまであります。タリバンが実効支配していた1996年から2001年までの間には、多くの石打ち刑が行われたと、ル・モンドの記事も伝えています。イスラム法に厳格な集団では、盗みを働いただけで、両手両足を切断される。スパイと疑われれば、首を刎ねられる。

アフガニスタンにはアフガニスタンの文化・伝統がある。その通りですが、女性たちの置かれた過酷な境遇には、言葉を失ってしまいます。

可哀そうとしか言いようがないのですが、しかし、これが「アフガニスタン」だとも言えるのではないでしょうか。冷たいようですが、アフガニスタンの人たちが築いてきたアフガンの文化・伝統・習慣なのではないでしょうか。それぞれの国に、それぞれの文化・習慣がある。すべての文化・因習が一本のレールの上を走っていて、単に進んでいる、遅れているという違いがあるだけなのでしょうか。それとも、それぞれに異なるレールの上を走っているのであり、違いがあって当然。横から見て、進んでいる、遅れていると判断するのは無意味なのでしょうか。

姦通罪で女性が処刑される国があれば、男の甲斐性という国あり、文学には欠かせない要素である文化大国あり・・・それぞれの風土、歴史の中で作られてきたシステムなのでしょう。外からなんだかんだといちゃもんをつけることはないと思います。ただ、ある国で、変わりたい、変えたいという声が上がった時に、必要であれば、救いの手を差し伸べることのできる国が多くあってほしいと思います。もちろん、手助けする側の価値観を押し付けることはせずに。そして、あくまで、変わりたいという自発的な声が出てくるまで待ち続けることが必要なのではないでしょうか。そう思っています。

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