ふりかえれば、フランス。

かつて住んでいたフランス。日本とは似ても似つかぬ国ですが、この国を鏡に日本を見ると、あら不思議、いろいろと見えてきます。

フーリガンよ、さらば。家族連れよ、こんにちは。

2010-08-13 20:53:58 | スポーツ
ウルトラと呼ばれるサッカーファン。イギリスやオランダではフーリガンと呼ばれていますが、良くいえば熱狂的なサッカーファン、悪くいえば、サッカー場で日頃のうっぷん晴らしをする集団。フランスでも、時々、大事件を引き起こしています。今年2月、ファングループ同士が衝突。パリ・サン・ジェルマンを応援するウルトラの一人が死亡するという悲劇が起こりました。それ以降、悲劇を繰り返さないようにと、いろいろな対策が考えられてきました。

そして、8月7日、新しいシーズンの始まりです。「リーグ1」の第1週。パリ・サン・ジェルマン(PSG)とサン・テティエンヌの試合が、PSGのホーム、パルク・デ・プランスで行われました。警察、クラブともに、新しい取り組みを始めています。

警察の対応は、選手に人種差別的な罵声を浴びせるウルトラや、発煙筒を焚いたり、それを投げつけるウルトラなどを捕まえ、競技場から連れ出してしまうというもの。7日だけで、249人。昨シーズンを通しての退去者の四分の一にも当たる人数だそうです。

今までは、大目に見ていたというか、対応が生温いというか、連行されるウルトラはせいぜい一試合で10人前後。それがこの日からは、少しでも大声をあげたりすれば、即連行。一切容赦なし。9日のル・モンドは、「サッカー。ウルトラに対しては、忍耐ゼロ」(Football : tolérance zéro pour les supporteurs ultras)と、見出しを出しています。

この249人、今後3週間、スタジアムに入場禁止となり、しかも、試合当日、警察に出頭し、スタジアムに行っていないことを証明しなくてはいけないそうです。また、発煙筒を警官に向けて投げつけるなど、特に過激な行為を行ったファン9人が留置され、そのうちの4人は起訴される・・・

厳しい対応ですが、その目的は、オルトフー内相(Brice Hortefeux)曰く、楽しく、和気あいあいとした雰囲気で、家族連れで観戦できるようなサッカー場にしたい。暴力を振るう者や人種差別主義者のための椅子はスタジアムにもはやない。

こうした公安側の対応にクラブ側も呼応。ウルトラたちに特別に用意していたゴール裏の席を一般に開放。また、チケットの料金を値下げ(4年ほど前に行ったときは、50ユーロでした。当時で7,500円、今では5,500円です。)。さらに女の子は無料。こうした新しい施策のお蔭で、7日の試合の観客数は、23,000人に上ったそうです。

ウルトラがいなくなって、これで安心して子供をサッカー場につれていける、と一般客にも好評だそうです。しかも、無料ということで若い女性がやってくる。それを目当てに若い男たちが、今まで以上にやってくる。発煙筒の煙や罵声のないスタジアム。フランスのサッカー場、かなり様変わりをしそうです。

でも、こうした平和なサッカー観戦、日本ではすでに実現済みですね。サッカー選手のレベルよりも先に、観客のマナーが世界のトップになっています。観客のマナーはいつまでもそのままで、そして、選手のレベルもトップクラスへ。そう願いますが、まずは、代表監督の決定からですね。

さて、フランス。課題は、フランス代表の立て直しですね。98年にW杯を制した時の中心選手、ローラン・ブラン(Laurent Blanc)を新しい監督に迎えました。そのデビュー戦で、フランスはノルウェーに2対1で敗れてしまいましたが、これは、南ア大会で起きたいろいろなことへの反省を込めて、当時の代表選手を召集しなかったからで、この後のユーロ2012の予選から、ローラン・ブランの新たな“Les Bleus”が見られると思います。ぜひ、予選を突破して、本選へ! そして、日本代表は、新監督のもと、2014年のW杯ブラジル大会へ!

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