ふりかえれば、フランス。

かつて住んでいたフランス。日本とは似ても似つかぬ国ですが、この国を鏡に日本を見ると、あら不思議、いろいろと見えてきます。

頑張れサルコジ・・・イギリスから皮肉なエール。

2010-09-13 19:10:02 | 政治
調査によっては、2007年の就任以来最低の支持率になっているサルコジ大統領。2012年での再選を目指して、さまざまな手を打っていますが、逆効果になるものもあり、スキャンダルも止む気配がない・・・

こうしたサルコジ大統領の現状を、イギリスの歴史ある週刊誌“The Economist”が風刺漫画、記事、論説で紹介しています。9日のル・モンド(電子版)によると・・・

10日に発売になった『エコノミスト』誌の第一面で読者が目にするのは、優雅なカーラ夫人の脇に、短い脚がちょこんと覗く大きなナポレオン帽子。その大き過ぎる帽子に隠れているのがサルコジ大統領であることは、誰の目にも明らか。

フランス大統領夫人として初めてイギリスを公式訪問した際、その優雅な出で立ち、スマートな身のこなしで、エリザベス女王をはじめとするイギリス王室や皮肉で知られるイギリスのメディアの心をしっかり掴んだカーラ夫人は、『エコノミスト』の風刺漫画でも優雅に描かれています。一方、サルコジ大統領は・・・

背の低さ、何事でも自分で決めようとする態度から、サルコ・ナポレオンとも呼ばれているサルコジ大統領。その特徴を強調されて、なんとナポレオン帽の中。しかもタイトルは、“L'incroyable président qui rétrécit”(縮んでしまった、信じられない大統領)。

背が低いのはもともとですが、縮んでしまったというのは、大統領としての存在感がなくなってしまった、という意味だそうです・・・5年の任期も3年が過ぎ、当初の改革者としてのイメージも今は薄れてしまった。難問や戦略的ミスに直面している。ロマ問題、支持率の低下、スキャンダルの連続・・・12年の大統領選に向けて、与党内からも不安の声が上がっている。

『ル・モンド』によると、『エコノミスト』は単にサルコジ大統領を非難しているのではなく、就任当時の「偉大なサルコジ大統領」に戻ってほしい、とエールを送っているのだということだそうです。どこが偉大だったかというと、フランス国民が聞きたくないことをずけずけと言ったこと。特に、「もっと働け!」という一言。退職年齢を2018年までに60歳から62歳に引き上げるという現在の改革案は、まだまだ遠慮しすぎだ。勇敢な大統領なら、もっと引き上げることができるだろう。臆病で反動的な今日のサルコジ大統領では、大した改革もできないだろう。しかし、自信のあった以前のサルコジ大統領なら、失うものは何もない、やってみようと、思ったに違いない・・・

改革、改革・・・アングロ・サクソン、特にその金融界は「改革」が大好きですね。イギリスでも、アメリカでも行ってきました。一時的には状況が良くなることがあっても、長い目で見た場合には・・・改革には「改正」になる場合もあれば、「改悪」になることもある。改革と叫べばすべてが良くなるのというわけではないと思います。もちろん、悪習、旧弊は取り除く勇気を持つべきなのですが、外からはどう見えようとも、国民にとってプラスであることは維持すべきなのではないでしょうか。アングロ・サクソンの金融界は、改革を日本も含め多くの国々に押し付けようとしますが、それは、その国のためを思ってのことなのか、他国を利用して自らの懐を暖かくしようとする魂胆なのか・・・

ビジネスとは、つまるところ、金儲け、ですよね。社会的貢献とか言いますが、本音では、最終目標は利潤を上げること。であるとすれば、金融の世界においても、改革を日本に押し付けてきたのは自らの利潤の追求であり、日本のためではない。そう思えてきます。

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