ふりかえれば、フランス。

かつて住んでいたフランス。日本とは似ても似つかぬ国ですが、この国を鏡に日本を見ると、あら不思議、いろいろと見えてきます。

パイロットの履歴書が、安全じゃない!

2010-09-09 19:43:03 | 社会
空の安全は、機体はもちろんですが、パイロットの腕・経験に託されている部分もありますよね。そのパイロットたちの履歴書に、偽りが!

エール・フランスでは、もちろん、ありません。問題を指摘されたのは、中国のパイロットたち。6日のル・モンド(電子版)が伝えています。

ご記憶の方もいらっしゃるかもしれませんが、8月24日、河南航空のエンブラエル機が着陸に失敗。滑走路から1.5㎞先のところで、機体が断裂、炎上。96人の乗客・乗務員のうち42名が死亡という大惨事でした。54人は奇跡的に助かりました。

事故のあったのは黒龍江省・伊春市の空港で、山間部にあるため夜間の離着陸はやめるよう指導されていたそうですが、事故のあったのは、午後10時過ぎ。事故調査委員会が、人的ミスも含めて、調査を開始。

そこで見つかったのが、パイロットたちの履歴書詐称。河南航空にあるということは、ほかの航空会社のパイロットたちの間にも同じ問題があるのではと、さっそく全航空会社のパイロットたちを調査したところ・・・

なんと、200人以上が履歴詐称をしていた! そのうちの半数が、河南航空の親会社である深セン航空のパイロットたち。香港に近く、早くから経済特区として開けた深セン。そのせいかどうか、脱税、密輸など、多くの犯罪が摘発されたりしていますが、パイロットたちも履歴詐称。詳細は紹介されていないのですが、パイロット歴が少々長く記載されていたなどならまだいいとして、民間航空機のパイロット資格(日本の定期運送用操縦士のような資格)がない人が操縦かんを握っていたなどということは、なかったのでしょうか。なんでもありの中国。心配になります。

なんでもありと言えば、中国に駐在していた際、以前国家統計局に勤めていたというある中国人スタッフが言っていました。中国の統計数字は信用できない! 何しろ、政府の上層部が喜ぶように、数字を改ざんするのが当たり前になっているから。10数年前に聞いた話ですが、今日でも、同じような傾向が残っているのではないでしょうか。経済成長を省ごとに、あるいは市ごとに競う。そのため、統計数字を水増しする。ありえそうですね。市や省の水増しが少しでも、それが国の数字として集計されると・・・しかも、国家は国家で、都合のよいように増減することも可能。

もう一つ思い出したのは、経理担当の中国人スタッフの言ったこと。彼女いわく、帳簿は3つある。1部は外国人経営陣に見せるもの。1部は税務当局に提出するもの。もう一部は、自分用。しかも、その3冊、提出先に合わせて、数字がそれぞれ異なっている・・・本当の数字は、どれだ?

インチキ商品が巷にあふれ、インチキ数字が統計上を闊歩し・・・こうした環境で生き抜いているのですから、中国の人たちは、逞しい! 関係ないかもしれませんが、上記の航空機事故でも過半数が生き残った!

しかし、私たちは、そこまで逞しくありません。世界の工場から、世界の消費地へ。ビジネスを求めて、多くの外国人が中国へと向かいます。観光地としても、注目されています。外国からのビジネス・パーソンや観光客の中には、私たちのようにさほど逞しくない人間も含まれているでしょう。どうか、せめて、パイロットや交通に携わる人たちのクオリティには厳重なチェックを!

しかし、履歴詐称のパイロットがたくさんいたにもかかわらず、今年8月の事故は、中国国内の航空事故として6年ぶりのもの。2004年11月21日、内モンゴル発上海行きの飛行機が離陸直後に墜落して55人が死亡して以来、2,012日ぶりの事故だそうです。履歴詐称というちょっと怪しげなパイロットが多いわりには、これはこれで、なかなか立派。中国の人たちの優秀さの一端が表れているのかもしれないと、中国滞在の長かった私は変なところで感心してしまったりするのですが、はたして皆さんの安心材料になるものかどうか・・・

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