精神機能と能力開発:心理学―教育学―社会学

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学校と仕事はどのように繋がるのか? ~大学教育の職業的レリバンス~

2015年03月23日 | 高等教育





『学校と仕事はどのように繋がるのか? ~大学教育の職業的レリバンス~』

(0)学校と仕事
 1)学術研究の目的:知識の探究(学術的真理・理論体系・真偽の検証)
 2)仕事の目的:知識の活用(実用化・付加価値・問題解決)

(1)(意識・意思決定・意味):自己・アイデンティティ・キャリア・価値観
(2)コミュニケーション・チームワーク

(3)思考力
 1)学術研究:批判的思考(クリティカルシンキング)…真偽の検証
 2)仕事:論理的思考(ロジカルシンキング)…問題解決

(4)一般的スキル
 1)学術研究:リサーチリテラシー
 2)仕事:ゼネラリスト・マネジメント

(5)専門的スキル
 1)学術研究:専門分野
 2)仕事:スペシャリスト

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1)職業的レリバンスについて
理学と実学 ~大学教育と産学キャリアのレリバンス(適合性)~ >>このブログ内のリンク先
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大学教育の「知・情・意」と学生の成長 ~学士課程教育の質保証について~ >>このブログ内のリンク先

2)T型人材の類推と転移について
リサーチリテラシーとキャリアコンピテンシー ~T型人材の汎用的スキルと専門的スキル~ >>このブログ内のリンク先
大学教育とT字型人材 ~内発的なモチベーションによる掘り下げの経験と類推・転移~ >>このブログ内のリンク先

3)学術研究とビジネスの思考の違い(真偽の検証と問題解決)
批判的思考と垂直思考 ~学術研究と経営ビジネス~ >>このブログ内のリンク先

理学と実学 ~大学教育と産学キャリアのレリバンス(適合性)~

2015年03月18日 | 高等教育


『理学と実学 ~大学教育と産学キャリアのレリバンス(適合性)~』

(1)理学(物理学など)
 1)純粋に自然の理を探究する。
 2)実用化を想定しない。

(2)工学(実学)
 1)自然の理(天)を地にいる人のために役立てる。学術と産業が直結(適合)している。
 2)実学=実務ではなく、実学は理学の抽象性や概念を含んでいる。

(3)実用・実務
 1)実際の職務や作業
 2)日常生活や社会生活


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大学教育の「知・情・意」と学生の成長 ~学士課程教育の質保証について~

2015年03月12日 | 高等教育




『大学教育の「知・情・意」と学生の成長 ~学士課程教育の質保証について~』

(1)学校教育(小・中・高)
1)知:基礎学力
2)情意:a)学習習慣、b)生活習慣

(2)大学
1)知:a)初年次教育(アカデミックスキル・リサーチリテラシー)、b)汎用的スキル(思考力・問題解決力・チームワーク)、c)専門教育
2)情意:a)モチベ―ション(意欲)・習慣化、b)目的・目標・価値観(意義・意味)、c)自己決定・自己管理・自制(意識・自覚)、d)自分探し・自己アイデンティティ、e)コミュニケーション・人間関係(プレゼンテーション・ディスカッション・協同学習・社交・雑談)

(3)産業・社会
1)知:a)スペシャリストのスキル、b)ゼネラリストのスキル
2)情意:マネジメントのスキル

(4)知・情・意の意
1)「意」とは、主観
2) 再帰的な自己意識
3) 自分で自分に、注意を向けること
4) 自分で自分が、分かること
5) 自分で自分を、決めること

(5)発達・成長とは
1)新しい環境・環境の変化、2)困難、3)リスク、4)危機、を乗り越えた、適応的変化

(6)自律に必要なことは、
1)意識(自覚)+2)意志(志・自制)+3)モチベーション(意欲)+4)自己決定(意思決定)

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1)専門教育とキャリア
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2)汎用的スキル
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3)成長と意識
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4)大学教育とコミュニケーション能力
コミュニケーション能力には、何が含まれるのか? >>このブログ内のリンク先
人間関係における、与えること(Give)と受け取ること(Take) >>このブログ内のリンク先

受験勉強と学術研究の違い ~高大接続と初年次教育について~

2015年02月25日 | 高等教育


『受験勉強と学術研究の違い ~高大接続と初年次教育について~』

(1)受験勉強
1)決められた答に向かう。次々と、要領よく進む。
2)ゴール:決められた答・正答

(2)学術研究
1)説明不要とされた前提を問う。知識の成り立ちを掘り下げる。
2)ゴール:真理の探究と発見。

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内発的動機づけを妨げるもの ~引き換え・手段・比較・理解・させられ感~ >>このブログ内のリンク先

大学教育の合成ベクトル ~高大接続と産学キャリア~

2015年02月24日 | 高等教育


『大学教育の合成ベクトル ~高大接続と産学キャリア~』

(1) 概念的スキル: 基礎学力→ 高大接続・初年次教育→ 専門教育
(2) 汎用スキル: 論理的思考・問題解決・チームワーク
(3) 実用的スキル: 産業・社会の実務スキル
(4) 社会的スキル: 学校ルールと大人ルール
(5) 大学教育の合成ベクトル = 高大接続(初年次教育)・専門教育 × 産学キャリア

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魚の釣り方とジェネリックスキル ~一生困らないスキルとは?~ >>このブログ内のリンク
ジェネリック・スキル(汎用スキル)とは、どのようなスキルか? ~学術研究と産業・社会に共通のスキル~ >>このブログ内のリンク
ロジカルシンキングのピラミッド構造と2つのツール ~Why so? と So what?~ >>このブログ内のリンク

高大接続と初年次教育 ~ロジカル・ライティングとコミュニケーション・スキル~

2015年02月02日 | 高等教育


(1)ロジカル・ライティング ~感想文からの脱却~
1)ロジカル・シンキング
主張の論拠を掘り下げて考える(分析・理由づけ・論証)。
2)パラグラフ・ライティング
内容のまとまりを段落(パラグラフ)とする。トピックセンテンス(主張)の論拠を示す。

(2)コミュニケーション、人間関係 ~高校と大学の違い~
1)ホームルームがなくなる。物理的な居場所がなくなる。人間関係が流動的で、拡散する。
2)ゼミやサークルなど、狭く固定した人間関係となる。協同学習など、協力して取り組む機会が増える。
3)人間関係を自分で作る必要がある。

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リハビリテーションと学校教育の言語機能 >>このブログ内のリンク先
協同学習における、対話と知識の生成 ~主観から客観へ~ >>このブログ内のリンク先
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アクティブ・ラーニング ~教授学習パラダイムの転換~

2015年01月09日 | 高等教育


(1)アクティブ・ラーニングとは
教えること(teaching)から学ぶこと(learning)への、教授学習パラダイムの転換。主体的な学び。
双方向的な授業、ディスカッション、プレゼンテーションなどを取り入れた、学生参加型の教授―学習形態。

2008年  中央教育審議会 学士課程答申 「学士力」(学士課程の質的保証として)
2012年  同 質的転換答申 「アクティブ・ラーニング」
2012年~ 文部科学省 産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業 (大学教育と産業界をつなぐ正課教育の方法として)

歴史的には、17-18世紀の大学は、研究よりも教育を重視していた。教養を身につけた一人前の社会人になるための、準備教育の場。 

(2)アクティブ・ラーニングの3つの背景
1)ユニバーサル段階
大学進学率が15%を超えるとマス(mass)段階、50%を超えるとユニバーサル(universal)段階。
ユニバーサル段階では、学生の多様性が特徴。その多様性を包摂する教育方法としての、アクティブ・ラーニング。

2)知識基盤社会
知識基盤社会とは、情報・知識が、社会・経済の発展を駆動している社会。それを支えている社会インフラが、インターネット。
インターネットは、既存のメディアをすべて包摂し、網羅的で双方向的。
検索型の情報・知識リテラシー、知識の活用・思考力、知識のマネジメントが求められる。

3)社会の要請
大学教育と産業界をつなぐ教育方法としての、アクティブ・ラーニング。
知識基盤社会において必要となるスキルが、ジェネリック・スキルや社会人基礎力。思考力、問題解決力、チームワークなど。
これを、アクティブ・ラーニングによって身につけることが、大学教育に期待されている。

<参考文献>
溝上慎一(2014)アクティブラーニングと教授学習パラダイムの転換 東信堂.

<関連記事>
(情報ネットワークと知識ネットワーク)丸暗記はなぜ良くないのか? ~覚えにくくて、忘れやすい~ >>このブログ内のリンク先
(協同学習・互恵的な学習)人間集団に働く2つの要因 >>このブログ内のリンク先
(自己調整学習・自己決定理論)自律的なモチベーションの獲得プロセス ~他律から自律へ~ >>このブログ内リンク先

大学の授業 ~授業研究や学級経営からのヒント~

2015年01月04日 | 高等教育


(1)大学と教育機能
かつては、大学とは研究機関であるとされ、大学では授業の教え方を考えることが少なかった。
現在は、大学進学率が上昇し、大学の教育機能が重視されるようになった。学生に何を教えたかではなく、学生が何を身につけたかが問われる。
さらに、双方向の授業や教室外学習など、学生の主体的な学修経験の取り組みが始まっている。

(2)小・中・高の学校教育
大学生は、小・中・高の学校教育を経て、大学生になる。小・中・高の学校教育では、授業研究や学級経営について、知見や経験則の蓄積が豊富にある。
とくに我が国の授業研究は、国際的に高い評価を受けている。大学の教育機能について、大学の授業でもこれらの知見や経験則の蓄積を活用できないだろうか?

(3)授業研究や学級経営からのヒント
1)集団意識
学級崩壊とは、規範の崩壊。規範とは、集団が前提。集団を維持するために、規範が必要となる。
しかし、集団経験が乏しいと、集団意識が乏しくなる。集団意識が乏しいと、規範意識も乏しくなる。

大学では、ホームルームが存在せず、授業の座席も自由で、履修登録したあまり知らない者同士が集まる。
このような人間関係のつながりの緩さは、いじめや不登校などが生じにくい反面、集団意識を作りにくく、規範意識も低くなりやすい。
大学の授業中の私語や飲食などの無秩序は、教室内で集団意識を作りにくいことに原因がある。

2)黄金の3日間
4月の始業式後の3日間が、その後の1年間の学級経営の成否を決定する。この3日間は、黄金の3日間と呼ばれる。
大学では、前期・後期の第1回目の授業が、これに相当する。第1回目の授業で、担当教員の様子を探り、その後の授業態度を決定する。
この第1回目の授業の重要性は、あまり意識されていない。

3)アドバルーン
アドバルーンとは、クラスの荒れ始めの兆候のこと。クラスの規律や教師の指示に従うつもりがないことの、パフォーマンス。
学習内容に興味が持てない、自分の理解を上回っているとき。クラスの規律(評価の基準)を破壊し、自分に都合のよい評価の基準を形成しようとする。
そこでまず、アドバルーンを上げて、教師の反応を小手調べして、さらに本格的な荒れに進む。

4)4分6の構え 
4分6の構えとは、板書をするときに、学生に背を向けるのではなく、半身になること。黒板4:学生6の割合。
完全に背を向けてしまうと、学生は教師が見ていないと思い、規律意識が低下する。4分6の構えは、板書をしているときでも、学生にも目を向けるための方法。
また、板書が授業の流れを中断させることにも気をつける。黒板に文字を書くスピードは、話すスピードよりも格段に遅い。 

5)隠れたカリキュラム
シラバスに明示されていないが、担当教員が無意識に伝えていること。無意識なので、自覚しにくい。
(例)
学生観(学生をどう思っているのか、学生に何を期待しているのか)。
学習観(学習とはどのようなことか、という信念)。
研究や教育に対する、姿勢や情熱。
授業開始に遅れる。服装がルーズ。
評価が一貫しない。学生と馴れ合いで、友達のような先生で、権威や尊敬を受けていない。(先生が友達なら、先生は要らない、友達だけでよい)。など

6)中間層
成績の上位層や下位層に比べて、大多数を占める中間層は注目されにくい。問題を起こさず、普通で目立たないから。
しかし、学級崩壊が本格化するのは、この中間層が教師から離反することが契機。
学修でも学生生活でも、この中間層に対する支援を充実させることが、鍵となる。
問題を起こさず、目立たないことは、決して当たり前ではなく、努力が隠されている。

<関連記事>
人間集団に働く2つの要因 >>このブログ内のリンク先