精神機能と能力開発:心理学―教育学―社会学

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人間の知・情・意と限定合理性 ~直感と感情の影響~

2015年03月14日 | ヒューリスティックス・バイアス


『人間の知・情・意と限定合理性 ~直感と感情の影響~』

(0-1)限定合理性(Bounded rationality)= 完全に合理的な推論ではないこと。直感や感情も影響する。このことは、環境への適応力を高めている。

(0-2)論理的思考(客観・分析・掘り下げ) …→行き詰まりも、起こり得る

(1)直感の影響
1)直感的な判断(ヒューリスティックス)
2)アイデア・閃き(発見的思考・問題解決) …原因分析 ≠ 問題解決

(2)感情の影響
1)利得よりもリスクや損失を、より大きく評価する(プロスペクト理論・フレーミング効果)
2)集団の安心感や責任の分散により、リスクの高い意思決定をする(リスキーシフト)
3)責任を回避するために、リスクを避けて現状維持の判断をする(現状維持バイアス)
4)集団の一体感を守るために、意見の一致をもとめる(同調圧力・反対意見の排斥)

反対意見の重要性 ~確証バイアスと集団思考~

2015年01月11日 | ヒューリスティックス・バイアス


(1)確証バイアス
仮説Aの正しさは、仮説Aを支持しない証拠(3,4)を検討することによって確かなものとなる。
しかし、一旦仮説Aが正しいと判断すると、その判断が正しいことを補強する証拠(1、2)だけを集めようとする。
(正解は、仮説B)

(2)集団思考
親しい者の一体感の強い集団では、同調圧が働き、意見の全員一致を求め、反対意見を言いずらい。
反対意見は、一体感を損なうものとして、排斥される。味方チームの中に、敵チームが混じっている状態。
全員一致(満場一致)で賛成された意見は、全員が間違っている可能性もある。

フレーミング効果 ~損得の感情と判断~

2015年01月07日 | ヒューリスティックス・バイアス


(1)損失回避性
人間の判断では、利益を得るより、損失を回避しようとする。
利益と損失が同額であるとき、主観的な価値は損失の方が大きい。
利益より損失を、より大きく感じる(プロスペクト理論)。

(2)フレーミング効果
フレーミングとは、損得の感情と結びついた、ものの見方。損と得の、どちらに注目するのか?
同じ内容であっても、損失に注目した場合と、利益に注目した場合では、判断が異なる。
(例)
ある会社が、新しい事業を始めようとしている。その事業が成功する確率は80%、失敗する確率は20%。その事業は始めるべきか、否か?
1)ネガティブ(損失)に注目したフレーミング: 「失敗する確率は、20%です」 「やめておこう」
2)ポジティブ(利益)に注目したフレーミング: 「成功する確率は、80%です」 「やってみよう」

あと知恵バイアス ~不確実性と予見~

2015年01月02日 | ヒューリスティックス・バイアス


<過去の出来事を、振り返るときのバイアス>
過去の時点では、ある出来事が起こることを予見できなかった。
しかし、その出来事が起きた後では、あたかもそうなることが分かっていたかのように思うこと。

現在の時点での知識(出来事の結果)に基づいて、その出来事の原因を考えること。
このバイアスにより、「あの時に別の行動を選択をすれば良かった」と後悔する。

過去の時点では進行形(録画中)、現在の時点では回顧(録画の巻き戻し・再生)。記憶は、録画。


平均への回帰 ~叱ると良くなるのか?~

2014年12月26日 | ヒューリスティックス・バイアス


(1)最小努力の法則
人間の判断や意思決定には、2つの系統(システム)がある。直観と熟慮。
熟慮には、心的努力(エフォート effort)が必要。コストがかかる。
人間は、できるだけ努力せずに済む方法を選ぶ。

(2)ヒューリスティックスとバイアス
物事の正しい判断には、熟慮が必要。しかし、熟慮には、努力(エフォート effort)も必要。
そこで、努力が不要な直観的な判断を行う。それが、ヒューリスティックス。
だだし、ヒューリスティックスによる判断には、誤謬や偏り(バイアス)が含まれる。

(3)平均への回帰
人間のパフォーマンスは一定ではなく、変動している。パフォーマンスが大きく変動した直後の試行では、パフォーマンスが平均値に回帰する確率が高い。そのことが、褒める・叱ると連動しているようにみえることもある。
(例)
選手が失敗したときコーチが叱ると、次は成功する。そこで、コーチが選手を褒めると、次は失敗する。
選手はコーチに褒められると、次は調子に乗って失敗する。
選手はコーチに叱られると、次は気を引き締めて成功する。
だから、コーチは選手を褒めずに、叱った方が良い …?

この選手のパフォーマンス(ゴールにシュート)は、偶然の変動によるもので、コーチの褒める・叱るとは関係ない。この選手のパフォーマンスの平均値に、回帰しているだけ。
コーチが失敗して叱る・成功して褒めるのは、パフォーマンスがこの選手の平均値に比べて、大きく低下した・遥かに優れていたとき。
これらのパフォーマンスは偶然の変動で、その直後は平均的なパフォーマンスに戻る確率が高い。

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