曲がり角の向こうに・・・

毎日の暮らしの中でフと心に留まった人やもの、そして風景を描きとめています。 

遠くの親戚より・・・ご近所さん

2020-12-16 | 絵  ③アレコレ

『もしよろしかったら、お茶でも飲みにいらっしゃいませんか』と、ご近所の奥さんからお誘いがありました。 お互いに夫婦で夕方散歩していたので、ご主人とも顔なじみです。 

9月に突然夫が病院へ救急搬送された時、救急車に乗り込もうとしている私に、そこのご主人がわざわざ家から出てきて、声を掛けて下さったそうですが、私はその声に全く気付かない程気が動転していたようです。

夫はそのまま入院となり、一人で帰宅しぼんやりしていた時、ご夫婦で訪ねてきてくれた時のご主人のはっきりとして力強い呼びかけに驚いたことを思い出します。 『どんな様子ですか。 私達に何か手伝えることがあったら、何でも言って下さい。』との言葉に、思わず涙がこぼれてしまいそうでした~~ いつも挨拶する時の静かな口調とはまるで違う、きっぱりした頼もしい口調はまるで別人のような趣でした。 内心、あ~この方は社会で働いていた時にはこんな感じだったのだな・・・と思ってしまったほど。 いつもご主人の前に出ている奥さまは、その時は後ろで静かに立っておられました。

お言葉に甘えて、自分の力に余る力仕事など、遠慮なくお願いしたりしているうちに、我が家でコーヒーブレイクしたり、あちらに伺って、奥様の手作りケーキを頂いたりする交流がはじまりました。 そんな中で、ある時ろうけつ染めの素晴らしい作品を見せて頂きました。 奥さまの叔母様の作品で、日展に入賞された屏風作品だそうです。 叔母様のお名前は「野津手 和」さん。 既に故人となられていますが、宮崎県出身の作家さんです。

見出し画像はそのなかの一点で、タイトルは「牡丹」です。 絹地(?)に染め上げられた、華やかでしかも品のある大らかな作品はとても魅力的です。 日本画かと思えるような作品ですが、ろうけつ染めと聞いて更に根気のいる作業をされたのだろうと頭が下がる思いがいたします。

 

「潮 騒」

浜辺に打ち寄せる波の音が聞こえてくるようです・・・

 

 

「陽 春」

踊りだしたくなるような、麗らかな春の息吹が感じられます・・・

玄関を開けるとパッと目に付くところに飾られています。

 

立ち話が苦手で(年代が違うこともあり・・)、奥さん達の立ち話の輪に入らないまま朝夕のご挨拶程度のサラッとしたお付き合いで30年きて、ご近所の情報に疎かったのですが、夫の入院をきっかけに、こうして親切なご近所さんと親しくなれ、安心が一つ増えたような気がしています。 素晴らしいろうけつ染めからも、大きな刺激を頂きました(^-^)

 

               

 

(追記) ブログに載せた、と言ったら、先ほど奥様が参考になれば・・・と色々資料を届けて下さいました。   

ろうけつ染めは蠟で模様を描き、乾燥させひびを作って染めていく、飛鳥、奈良時代からの古い技法だそうです。 大作になると50回以上の手間が掛かるそうです。 『不思議な変化の面白さが魅力です。 でもにくたらしいほど手間が掛かって、こちらの意思どおりに出せないのが、しゃくの種』と生前、野津手さんは仰っていたそうです。 

 

コメント (20)

目出度さも中ぐらいなり・・・

2020-12-14 | あれこれ

昨日は50回目の結婚記念日でした。 金婚を迎えたとはいえ、お目出度いのか、そうでないのか分からない・・・なんてぼやき続けていましたが、夫婦そろってこの日を迎えられたことは、やはりお目出度いことなのでしょう。 お互いに良く辛抱したと思っています(^_-)

「神経質で我儘な人だ」と私が言えば、 夫は私のことを「難しい人だ」と言い合いつつ、50年が経ちました。 残念ながら家族でお祝いは出来ませんでしたが、昨日施設に行って、アレンジフラワーと娘からの特製チーズケーキを渡しました。 丁度居合わせた施設のスタッフの方々から拍手とお祝いの言葉を掛けて頂き、お花を見て「きれいだね」の言葉が夫から聞けただけ、良かった・・・と思っています。

自宅で世話が出来なくなったことは本当に悲しいことですが、夫には心身ともに快適で心穏やかな日々を過ごしてもらいたいと願うばかりです。

コメント (34)

何故かホッ・・・振り返り記事

2020-12-12 | 絵  ➃水彩画
 
笠間へ
NHKの朝ドラの「スカーレット」の話がいよいよ面白くなってきました。 八郎さん、いいですね!! カッコイイデス  今後の展開が楽しみです。ドラマの舞台は信楽ですが、こちらには信......
 

 

思い出の旅スケッチ・・・イタリア、を4回に分けてご覧いただきながら、ペンスケッチにハマっていた当時の元気な自分を思い出しておりました~~ 拙い絵ですが、皆さんに作品をご覧頂き、思い思いの感想なども聞かせて頂いて、これからも自分の絵を描いていこう・・・などと思ったのでした。

それはそれで良かったのですが、goo事務局から1年前の記事が届き、そこに描かれていた2枚の絵を目にした時、自分の絵なのに、何故か心の奥深くにホッとした思いが湧いてきて、我ながら驚きました。 日本の風景のしっとりとした風情・情緒に触れて呼び起こされた感情だったのでしょうか・・・

イタリアの石造りの建物と石畳を、異なる風土と歴史が作り出したものとして受け止め、興味深く描いていたサンジミニャ―ノやシエナのスケッチでしたが、やはり自分の生まれ育った日本の風景が自分の心に深く刻まれているのだ・・・と意識させられた思いです。

振り返り記事の中には当時の朝ドラ「スカーレット」を楽しんでいた様子もあり、又そのドラマの主人公だった戸田恵梨香さんが松坂桃李さんと結婚した報道も一昨日あったり、笠間焼のことや筑波山麓のそば畑のスケッチがN教室での最後のスケッチだったことにも触れていたり・・・色々ありますので、絵と共に振り返り記事をご覧頂けると大変嬉しいです(^-^)

コメント (10)

思い出の旅スケッチ・・・イタリア・シエナ(4)

2020-12-11 | 絵  ➃水彩画

サンジミニャ―ノでは、7枚描いたので(飽きた・・などとは言えませんが・・・チョッと町の外へ出かけてみたい気分になってきました。 それで、友人と二人でツアコンさんに相談したところ、バスで1時間前後でシエナに行ける、との情報をゲット。 

で、早速N先生の許可を頂いて、二人で勇んで出かけて来ました~~ トスカーナの人気スポットの一つであるシエナへ。 シエナにはイタリアで最も美しい広場と言われている「カンポ広場」があります。 美しい扇形をしていて「貝殻を広げたよう・・・」とも言われ、扇の付け根部分に向かって、緩やかに下るスロープを描いているのだそうです。 傾斜に合わせて足を下にして坐ると、視線の先に「マンジャの塔」が堂々と聳えている、と言うのも魅力です。 下の画像で雰囲気は掴めるでしょうか。

 

                          画像拝借

 

見出し画像はカンポ広場から、「マンジャの塔」を描いたものです。 なにせ、高さが102m もあるので、塔を画面に入れるだけで精一杯、「カンポ広場」は残念ながら、その美しさを描くに至りませんでした~~  塔は1325年から建築が始まり、1348年に完成したそうです。 マンジャの塔の右側の建物は、「プッブリコ宮」で、現在は市庁舎として使われています。

2時間余り、ひたすら塔を見上げて描いていたため、首が痛み、肩が凝り・・・ この時のスケッチの中で一番疲れた作品です。

 

このカンポ広場では年2回(7月2日と8月16日)パーリオと呼ばれる、市民総出の競馬が開かれることもよく知られているそうです。

                 画像拝借

 

スケッチを終え、痛む首をさすりながら、もう一つ予定していた「シエナ大聖堂」に向かったのですが、あいにく修復工事中で見ることが出来ませんでした。 12世紀から200年もかけて建築された、イタリアゴシック様式の教会で、天井、壁、柱、床に至るまで彫刻やモザイクなどで飾られていて、圧倒されるほど豪華絢爛な大聖堂ということで、大いに期待していたのですが・・・ これも一応拝借画像で大聖堂の外観だけでもご覧ください。

 

帰りのバスも順調で、夕食までに無事にサンジミニャ―ノに帰ることが出来ました。 疲れましたが、良い気分転換となった1日でした~~

 

4回にわたって、思い出スケッチの旅(イタリア・トスカーナ編)にお付き合い頂いて有難うございました。 お陰さまで、年の瀬のどこか浮かない気分が晴れてきたような気がします・・

コメント (14)

思い出の旅スケッチ・・・イタリア・サンジミニャ―ノ(3)

2020-12-09 | 絵  ➃水彩画

ユネスコの世界遺産に登録されているサンジミニャ―ノは標高324mの丘の上にある塔の町として知られています。 この街の中世封建時代の支配階級の家は、自らの富と力の象徴として塔を建て住居としたそうです。 高さ50mを超す塔も含めて、当時は72もあったそうですが、現在残っている塔は14のみとなっています。 城砦に囲まれたサンジミニャ―ノは、町の端から端までわずか500m位のこじんまりとした町ですので、観光だけなら半日か1日で充分見どころを見て回れるそうです。

町への入り口のサン・ジョバンニ門をくぐり、メインストリートのサン・ジョバンニ通り(前回のオープンカフェがあった通り)を真っすぐ進むと井戸が中央にあるチステルナ広場に出ます。

ここには、世界一のジェラート屋さんがあり、いつもお店はお客で賑わっていました。 私達が宿泊したホテルは広場に面していたので、ホテルへの出入りの際、気が付くと、いつもスケッチ仲間の一人が、ジェラートを片手に幸せいっぱいの顔をしている姿が目に入りました。 まるで滞在中にお店にあるすべてのジェラートを制覇する決心をしたかのようでした。  N先生からムッシュウと呼ばれていた男性でしたが・・・(^_-) 

彼はこちらの心配をよそにスケッチの方もしっかりやっていたことが、講評会の時に分かり、 さすが~~~と脱帽。

 

階段の上にあるのが井戸で、この階段がジェラートを食べる特等席です。 私の旅のメモには、サフランと松の実のクリームジェラート、ピンクグレープフルーツとシャンパンのシャーベット、香草の入ったバニラジェラートなどが美味しかった・・・などと書いてありますが、どんなジェラートだったのかまるで覚えていません・・・  お店には色とりどりの美味しそうなジェラートがところ狭しと並んでいて、目移りして中々決められなかったことは覚えています。

 

このチステルナ広場の横に、周囲を塔に囲まれているドゥオーモ広場があります。

サンジミニャ―ノの市庁舎であると同時に市立美術館ともなっているポポロ宮があり、そこから高さ54mの「グロッサの塔」に上ることが出来、塔からサンジミニャ―ノの素晴らしい町並みが一望できるそうです。 何百段もの階段を上ることを考えただけで、迷わず私はパス。 メンバーで登った人は何人もいなかったと思います。

 

この二つの広場を中心としてあちこちに石畳の小径が伸びていて、私達は各自お気に入りのスケッチポイントを求めて路地から路地を歩き回りました。

ネコの姿をアチコチで目にしました

 

城砦に沿った道からグロッサの塔方面を描きました。 大きな松の木が沢山生えていて、ビックリするほど大きな松ぼっくりが道のあちこちに落ちていました。

 

見出し画像は、向かい合った建物と建物がアーチ門で繋がり、その先にまた小径が続く独特な雰囲気の場所でした。 一方の建物の下に小径が通っているのにも驚きました。 正面の建物の壁に作られた四角いスペースに、彫刻が飾られているのも珍しく、丁度扉を開けて出てきた家のご主人に聞くと、彼が自分で彫った彫刻なのだそうです。 プロではなく趣味なのだとか・・・さすがイタリア、みんな芸術家・・・!!??

 

この絵はサンジミニャ―ノに着いた翌日、朝食前にホテルの近くで腕慣らしに描いたもの。 日本でもお馴染みのフクシャと紫陽花が咲いていて、心和みました~~

コメント (16)