キネオラマの月が昇る~偏屈王日記~

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「レイン・フォール 雨の牙」

2009年05月06日 | 映画
「レイン・フォール 雨の牙」 公式サイト

実は今期、一番楽しみにしていた映画かも。
元CIA工作員(!)で作家のバリー・アイズラーが、日本を舞台に描いたハードボイルドの映画化。

正直ストーリーに新味はない。
シビれる台詞もなければ、鳥肌立つ展開もない。
けれど、非常に映像の雰囲気を楽しめた映画だった。

列車内で心臓発作に見せかけてジョン・レインが官僚のカワムラを殺すシーン。
CIA局員ケンには、ジョン・レインの顔が乗客に紛れて半分しか見えない。
だがこちらを見るレインの、その蛇のような殺気溢れる目に、自分が彼に気付かれたと一瞬で悟る場面とか。

暗い物陰に潜んで立つジョン・レインが、追っ手を殺した後、また影の中にすうっと溶け込むように見えなくなる感じとか。
(まるで「第三の男」のようだった。)

とにかくこの映画は、影の使い方が印象的だった。
ゲイリー・オールドマンと清水美砂が喋っているのを、ずっとシルエットで見せているシーンもあったな。
原作は未読だが、影という言葉が頻繁に登場するのか。
それともこの映画の監督もしくはキャメラの解釈か。

「ブラック・レイン」や「ロスト・イン・トランスレーション」同様、トーキョー(あえてこう呼ぶ)の街をとてもシックに撮っている。
時にはギリギリまで色味を抑えて、時にはモノクロで。

長谷川京子も最高に美しい。
濡れたように大きな黒い眼と凛々しい太い眉、そして黒髪。
頻繁に台詞に出てくる「父」という言葉のイントネーションが違うのが、若干気になったが。

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