難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

東大先端研の人工内耳シンポジウムのメモ(3)

2011年02月11日 19時22分54秒 | 人工内耳
(続き)
・人工内耳装用者、難聴者に必要な多面的な支援とは、信頼しているという精神的なサポートもあれば、難聴であることから日々の生活の中で起こる葛藤、喪失感、焦燥感、怒りや妬みの感情に対する理解と受容の心理的サポートもある。
難聴者の精神・心理的問題に専門的に対応できるカウンセラー、ピアサポーターの養成が必要だ。

・人工内耳装用者、難聴者に社会生活力(SFA)の獲得を支援する制度が必要だ。
※自らの最適なコミュニケーションのあり方、コミュニケーション利用技術(リテラシー、スキル)、障害の客観的な見方、周囲の理解を得るアサーションの力、権利の主体者としての意識の獲得を支援する体制が制度として必要。
ろう者の場合はろう者の教師を採用するようなろう学校で身に付けるが難聴者の場合はそういう場がない。

・この社会生活力の獲得の支援こそが「聴能」の各発達段階での対応を可能にする。
神田医師のベル・ヒアリングセンターや幾つかの施設等は人工内耳装用児の社会生活力を獲得するような支援をしているのではないだろうか。

・問題は成人人工内耳装用者に対しての支援の場がないことだ。
※人工内耳装用者に医療の場と連携した福祉サービスとしての社会生活力獲得を目的にした訓練事業(障害者自立支援法の「訓練等給付」事業)を実施することが出来るはずと考えている。

・人工内耳装用者、装用児の全人格的な発達、成長を保障するように社会福祉制度、教育制度、医療制度に改革しなければならない。
※現在障害者制度改革推進会議で障害者基本法の改正、障害者差別禁止法、総合福祉法(仮称)(「障害者の社会における生活を総合的に支援する法律」(案)が提起されている)などが精力的に検討されている。
政権与党の制度改革に対する姿勢が弱いが、「障害」を社会の態度と障壁との相互作用とする社会モデルの認識は人類の到達点だ。
リハビリテーションを受ける権利も含めて、きちんと要求するのは今だ。

・「聴能」はこうした制度改革を含む多面的支援と社会生活力の獲得の中で総合的に発揮されるというのが筆者の考えだ。


ラビット 記

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