難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

障害関係の著作権改正の方向 前進だが不完全

2009年02月16日 08時40分22秒 | 権利
5shiryo_3_1.jpgDVD等に、字幕、手話を挿入するのに、著作権者の許可が不要になるのは大きな前進だ。社会的に強い要請とあるが、障害者の権利条約の批准がそれに当たろう。

これは、過去の小委員会で障害者の著作物利用について審議した17年1月および18年1月は、障害者の権利条約の採決の前である。19年1月はその直後であるが、審議内容に障害者権利条約で障害者のアクセスを保障するために著作権の制限を歌われていることは反映されていない。

○障害者の権利に関する条約(平成19 年9 月28 日署名)(仮訳文)
第30 条 文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加
1 締約国は、障害者が他の者と平等に文化的な生活に参加する権利を認めるものとし、障害者が次
のことを行うことを確保するためのすべての適当な措置をとる。
(a) 利用可能な様式を通じて、文化的な作品を享受すること。
(b) 利用可能な様式を通じて、テレビジョン番組、映画、演劇その他の文化的な活動を享受すること。
(c) 文化的な公演又はサービスが行われる場所(例えば、劇場、博物館、映画館、図書館、観光サー
ビス)へのアクセスを享受し、並びにできる限り自国の文化的に重要な記念物及び遺跡へのアク
セスを享受すること。
2 (略)
3 締約国は、国際法に従い、知的財産権を保護する法律が、障害者が文化的な作品を享受する機会を妨げる不当な又は差別的な障壁とならないことを確保するためのすべての適当な措置をとる。


また、字幕データは公衆送信できる見通しだが、手話の入った映像を公衆送信できることは明示されていない。
複製主体は、聴覚障害者情報提供施設の他、聴覚障害者の情報支援に関わるNPO法人や団体も対象にすることや媒体の貸出しの他、字幕、手話の入った映像物の公衆送信送信も可能になるように求めたい。

また、聴覚障害とは身体障害者福祉法の聴覚障害ではなく、アクセスが困難なものということも確認が必要だ。そうでないと利用者が大幅に制限される。


ラビット 記
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平成21年1月29日(木曜日) 第8期文化審議会第2回総会(第47回)配付資料
http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/47/gijishidai.html
「報告書」第3章第2節障害者の著作物利用に関わる著作権制限について(P37-P53)
http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/soukai/47/pdf/shiryo_3_2.pdf


障害者関係
〈1〉問題の所在
障害者団体から、著作権者の許諾なく以下の行為を可能とするよう要望あり。
(1)視覚障害者のため、現行の点字図書館等に加えて公共図書館でも録音図書を作成すること。
(2)聴覚障害者のため、映像作品に字幕や手話を挿入すること。
(3)知的障害者や発達障害者のため、障害者用デジタル録音と書(デイジー)等を作成すること。

〈2〉検討結果
障害者の情報アクセス保障の観点から、障害等により著作物の利用が困難なものを可能な限り権利制限の対象に含めるとともに、複製主体、方式も拡大する方向で速やかに措置を講じることが適当。





自民党、障害者自立支援法の抜本見直しの基本方針を了承

2009年02月16日 07時59分26秒 | 福祉サービス
自民党の障害者福祉委員会が、障害者自立支援法の抜本的見直しを決めたということだ。
もちろん、障害者が毎年1万人前後集まって、応益負担廃止の集会、デモを行い、さらに訴訟も行われていることが大きな圧力になったのだ。昨年12月15日の社会保障審議会障害者部会の報告書の内容も影響しているのだろう。

早急に、障害者団体の意見を聞いて、改正案を出すべきだ。「抜本見直し」を言うなら、自立支援給付に必要な障害程度区分にも、コミュニケーションの障害も社会生活上大きな支障をもたらしていることを盛り込むべきだ。


ラビット 記
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■ 障害者自立支援法の抜本見直しの基本方針を了承 障害者福祉委員会
障害者福祉委員会は13日、障害者自立支援法の抜本見直しの基本方針を了承した。同方針は12日、与党障害者自立支援に関するプロジェクトチームが取りまとめたもので、同PT座長を務める木村義雄委員長が説明した。基本方針では、障害者が福祉サービスを利用する際の負担のあり方に関し、利用量に応じて、原則1割を自己負担するこれまでの方式を改め、所得に応じて自己負担する方式(応能負担)を導入することとした。「今の制度では、多くのサービスが必要な重度障害者ほど負担が増えることになるので、応能負担にしてほしい」との障害者などからの要望に応えた。また、これまでの2度にわたる利用者負担の改善策により、軽減された現在の負担水準を継続し、将来的にはさらに負担水準を引き下げる。このほか、障害程度区分に身体、精神などそれぞれの障害特性を反映させることや、税制抜本見直しの際に障害基礎年金の引き上げることなどを盛り込んだ。木村委員長は「社会保障の原点である障害者福祉に政治がやさしい手を差し伸べたと言われるよう、抜本見直しを行っていく」と、障害者自立支援法の改正に向けた決意を述べた。わが党は今後、この基本方針に沿って改正案の策定を急ぎ、今国会での成立を目指す。
http://www.jimin.jp/jimin/daily/09_0/13/210213b.shtml





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