難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

難聴者の要望を条約案に

2006年08月18日 16時24分23秒 | みたびニューヨークで
全難聴は代表団を派遣するのはこれで3回目だ。
今回は、条約案に「文字の表記」が入っているが、ライブ・アシスタンスとしての支援者に、手話通訳は例示されているが、文字通訳者は含まれていない。これを明示するように、各国政府やマッケイ議長、IDCなどに働きかけることと、サイドイベントを開催することを目的としている。

マッケイ議長は各障害者の個別協議には応じず、IDCの会議などに出てくるくらいだが、何とか会って要望を伝えなくてはと考えていた。18日のサイドイベントの打合せをしていて会場を出るのが最後になってしまったが、なんとロビーにマッケイ議長がいた。
18日のサイドイベントのチラシを見せて、文字通訳とALDの必要性を説明した。マッケイ議長はこの後会議がいくつも控えているらしかったが、手を前に重ねて丁寧に答えてくれた。この要望については知っているが、私に持ってくるよりは他の障害者団体や政府に良く根回しをしてください、障害コーカスなどの理解が必要だとアドバイスをしてくれた。

17日の朝、IDC国際障害コーカスの会議が朝8:30から開かれると聞いて、入場手続きに時間がかかることを想定して、8時にゲートに着いた。そこには、世界ろう連のヨキネン理事長が手話通訳者を伴って立っていた。
昨日会場に入った時、お互いに顔を見て握手をしたが、再び挨拶する。WFDにも文字通訳のことを理解し、支援してもらわなくてはならないので、手話通訳と同じように文字通訳が必要とASLの単語を並べて依頼した。彼は2年前、フィンランド大会で会ったことを覚えていて、理解してくれた。

会場に入ると、IFHOH国際難聴者連盟の前理事長のデュガンさんが来られた。昨日に続いて、話を聞くと、IDCは文字通訳を条約案の修正案として入れることを決めていると。本当ですかと聞くと文章を見せてくれたが7月からIDCの100人を超えるメンバーにメールをして、文字通訳と補聴援助システムのことを何度も要望してきて、最終段階で文字通訳と補聴器援助システムのどちらしか入れられない、どっちを選ぶかということになって、文字通訳を選んで入れたということを説明していただいた。
われわれは、こうした交渉の経過はほとんど知らなかったが、IDCのメンバーであるデュガンさんは私たちの要望を最後まで通してくれたことになる。

会議中も、通りかかったオーストラリアろう者協会や韓国政府代表にも積極的に声をかけて、サイドイベントの参加を呼びかけている。

だんだん、我々の活動も焦点が絞られてきた。明日はIDCの会議の後に、JDF日本障害フォーラムと外務省との意見交換会が開かれる。これに我々も参加することにしている。

ラビット 記



国連障害者の権利条約の第8回特別委員会は異様な雰囲気だ

2006年08月18日 16時00分25秒 | みたびニューヨークで
14日から開催された国連障害者の権利条約の審議は4日間を経過し、今日の金曜日で最初の1週間が終わる。
17日朝のIDC国際障害コーカスの会議には、マッケイ議長が今回の条約案の審議の考え方を繰り返し説明していた。
「これまで、条約案の草案を2週間、二回にわたって審議してきた。これまでにいろいろな提案、新しい用語の提案がされてきた。しかし、今回は最終草案を提起している。これまでのように議論を戻すことはできない、人間と同じように成長している。後退はありえない。」
「(IDCの各団体に対して)皆さんは、特別委員会以外にインフォーマルな会合を持ち、意見の集約をして欲しい、地域や各障害者団体の要望を私に持ってこないようにして欲しい、各団体でお互いに理解し、支持できるものをまとめて持ってきて欲しい。」
「ここ一、二年初めて参加した国々が過去の議論の経過を踏まえないで意見を出している。最初から参加してきた国々は理解しているが、そうでない国もいる。」いろいろな国が反対意見を出したらその国をロビーでもサイドイベントでもどこでも直接話し合って説明して欲しい。」

マッケイ議長は、条約の最終案の審議に当たって、各国の意見の違いは障害者団体が中心になって説得に当たって欲しいという明確なメッセージを出した。
各障害者団体もそのことを感じ取って、特別委員会の会議中もロビーで各部屋で、様々なミーティング、立ち話が行われている。これが、会議を異様な雰囲気にしている。

ラビット 記