難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

要約筆記事業の法定化

2006年04月25日 13時06分10秒 | 福祉サービス
障害者自立支援法で、コミュニケーション支援事業は大きく変わる。
ひとつは、法律で定められた事業となったことだ。
これまでの要約筆記奉仕員事業は、都道府県障害者社会参加総合推進事業、市町村障害者社会参加促進事業に基づいて実施されてきたが厚生労働省の「通知」だった。

二つ目は、市町村が実施しなければならない事業になったことだ。
政令指定都市を含む全ての市町村の必須事業とされたので、予算化しなければならない。しかも要約筆記者派遣事業を含めた障害福祉計画の策定を義務付けられている。
上記のように法律ではないので任意事業だったのだ。

三つ目は、要約筆記事業は奉仕員事業ではなく、要約筆記「者」事業として実施されることだ。
要約筆記が意思の仲介をする「通訳」という専門性を持つことをあらわしていることに他ならない。

ラビット 記







どんさんのコメントに対して 要約筆記者事業と要約筆記奉仕員事業

2006年04月25日 02時33分35秒 | 福祉サービス
どんさんのコメントの県の行政の説明に対して

県の担当者の説明では、要約筆記は要約筆記奉仕員事業として実施されるようになっていますが、それは正確ではありません。
要約筆記事業は、地域生活支援事業のコミュニケーション支援事業として実施されます。
自立支援法第77条第1項2号で、市町村が手話通訳等の「等」の中に入っている「要約筆記」を行う要約筆記者派遣事業を実施します。
都道府県は、第78条第2項の要約筆記者養成事業を実施します。つまり、専門性のある通訳である要約筆記事業は、奉仕員事業ではなく手話通訳事業同様の位置づけになるということです。
このことはすでに、昨年から厚生労働省の会議資料でも明らかになっています。
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb15GS60.nsf/0/028568e2710cbeff492571250004bf69/$FILE/6-1.pdf
要約筆記者は要約筆記者養成・研修事業で実施されるべきものですが、これまで明らかになったコミュニケーション支援事業の実施要項では手話通訳者養成・研修事業はありますが、「要約筆記者養成・研修事業」はまだ記載されていません。
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb15GS60.nsf/0/028568e2710cbeff492571250004bf69/$FILE/6-2_2.pdf
それは、要約筆記者養成、派遣事業の実施要項がまだできていないからです。
全難聴は、全要研等の委員とともに、要約筆記通訳者養成カリキュラム通訳課程を作成し、4月10日に報告し、21日に説明しました。
今後、これをもとに要約筆記者事業の実施要項が通知されます。

一方、奉仕員事業は、障害者の社会参加の啓発などを目的にした事業として、継続されます。そのことを明確にするために、名称の変更が予定されています。
ただ、厚生労働省が3/21に全難聴と全要研の合同学習会でも、4/21日の厚生労働省担当官が、名称を変えるがまだ決めていないので現行の名称を掲げていると説明しています。
要約筆記を行う人は、これからは要約筆記者になります。奉仕員ではありません。

要約筆記者が難聴者の社会参加の支援のために、要約筆記以外の活動をしてきましたが、それは要約筆記という通訳の活動とは別のものです。その活動を担う人は今後も養成されるということです。ただし、市町村、都道府県ともメニュー事業という選択事業です。
難聴者の社会参加を促進し理解を深める幅広い活動をされるので、その名もずばり「難聴者等支援員」が全難聴から提案されています。

社会参加促進事業(市町村は第77条第三項、都道府県は第78条第2項のその他の事業)ですが、県の担当者の説明のとおり、任意事業です。必須事業でないこと、事業別になっていない総合予算であることを考えると予算的にはかなり厳しいものがあります。

ラビット 記