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Gメモリーズブログ

有限会社クリエイティブデザイン羽沢組

そフビ制作裏話 その265

2011年11月26日 | 制作裏話


Part.3 制作のために注意した事



■「ビオゴジ」は「ビオゴジ」
 商品の配色についての詳細は、以前の「こだわり」に書きましたので省きますが、決定に至るまで特に注意した事は2つ。
 劇中の赤い色にできるだけ近づける事と、「ビオゴジ」を「デスゴジ」風にしたと思われないようにする事です。

 映像で見るとわかりますが、赤い発光と言っても内部に発光ギミックが仕掛けてあるわけではありません。着ぐるみスーツが光る訳ではないのです。川北監督が元々多くの東宝特撮で光学合成のプロとして活躍されていた事からもわかるように、映像処理による光学合成で赤く見せているのです。
 ならば商品もできるだけシンプルに、立体をあえて強調しない処理の方が映像でのゴジラに近い訳です。そこで弊社ではお馴染みのラメ入り成型+モール内蔵がバッチリ合うのです。
 ラメの配分と色、モールの色のチョイスの組み合わせを間違えなければ、イメージに近いものができると判断しました。

 平成VSシリーズ6作のゴジラの形状・造形を全く同じ、もしくはほとんど同じと勘違いされている人にとっては「ビオゴジ」を赤くすれば「デスゴジ」と今でも勘違いされている方もいらっしゃると思います。
 そういう人たちに対しても、いくら赤くても「ビオゴジ」は「ビオゴジ」と思っていただかなくてはなりません。
 結果的にクリアレッドのラメ入り成型+シルバーモール内蔵と細部だけの塗装で、「デスゴジ」には見えないと自負していますが、皆さんはいかがだったでしょうか。

そフビ制作裏話 その264

2011年11月25日 | 制作裏話


Part.2 赤いゴジラ



■実は悩んだバージョン名
 多くのゴジラファンにとって「赤いゴジラ」というと、「デスゴジ」だけを思い浮かべる事でしょう。
 しかし、この時の「サイキックバージョン」のように、他のゴジラでもこうして赤で表現されているゴジラはある訳です。
 仮に「ゴジラの赤いのを作ってみたい(ほしい)」となっても、テーマやシチュエーションから外れて「なんとなく」だけで塗装や成型色で「赤」を表現したくはないので、こうして正当な(?)理由で「赤いゴジラ」を作る事ができるのは正直嬉しかったりします。特別「赤」が好きという事でもないのですが、いつもとは違う色合いですので新鮮ですし、気分も若干明るくなります。

 もう一つ嬉しいのは、2010年12月23日にも書きましたように、個人的に小高恵美さんのファンでもあるので、三枝未希につながるゴジラを作れる事でした。
 結果的に「サイキックバージョン」とはなりましたが、企画から東宝への申請直前まで、バージョン名はずっと悩んでいました。「テレパシーバージョン」や「精神感応バージョン」「関空建設予定地バージョン」等etc。でも私個人は心の中では真剣に「ビオゴジ 三枝未希ちゃんと心が通じちゃったバージョン」なんですもの。

 そしてこれを「福袋」に持ってきたのは、単純に正月らしく明るくおめでたい感じに合うだろうという事でした。

そフビ制作裏話 その263

2011年11月24日 | 制作裏話


 今日から今年1月に発売した「新春ゴジラ福袋2011」(完売)の各商品の制作裏話を書きます。こちらのセットの中には「ビオゴジ サイキックバージョン」と「ファイナルゴジラ ブラックバージョン2」、未塗装のソフビゴジラが在中していました。



Part.1 きっかけ

 まずは「ビオゴジ サイキックバージョン」から。テーマとなったシチュエーションや商品の配色やこだわりは、2010年12月7日の記事、12月25~28日の「こだわり」をご覧下さい。

■ゴジラの全身発光シーン
 Gメモリーズセレクションでは、毎回配色のテーマを決めています。その中でも一番多いのが劇中シチュエーションをテーマにした場合です。
 ゴジラの色は、どのシリーズにおいてもほぼ黒に近い色ですので、それを元に作るシチュエーションテーマとなればどうしても暗めの色が多くなってしまいます。
 続けてコレクションして下さっている方々にとっては、もしかしたら並べてご覧いただいていると「たまには明るい色も…」と思われた事はあるのではないでしょうか。
 作っている私共も時には思う事があります。少なからずともいつもそういう意識はあるので、DVD等でゴジラ作品を見ていると一瞬でも明るい色のシーンがあればつい目に留まる事が多々あります。「この色のゴジラも面白いかも…」と。

 そんな中で見つけたのが、この『ゴジラVSビオランテ』の時のゴジラと三枝未希との精神感応のシーンです。
 ゴジラが赤く発光しているシーンですが、もちろん色がいつもと違うというだけで発売を決めた訳ではありません。
 もちろん作品自体のストーリーとしても重要なシーンでありますが、後々の平成VSシリーズの未希の役割を位置づける意味でも大きな意味を持つシーンでもあるのです。
 ゴジラが赤く発光する。後の「デスゴジ」を除けば、全ゴジラシリーズの中でもそういったゴジラの表現というのは珍しいのです。時間にして瞬間的にほんの数秒のシーンではありますが、テーマ的にも色的にも商品化をする事の面白さを強く感じて、この時のゴジラを実現したいと考えました。

そフビ制作裏話 その262

2011年11月09日 | 制作裏話


Part.5 塗装作業



■懐かしさと楽しさ
 スケジュールは厳しいものがありましたが、配色を考えている時は楽しいものでした。
 弊社のソフビゴジラの第一号の「キンゴジ グリーンバージョン」とほぼ同じでいこうという企画でしたから、5年前に行った作業を思い出しました。ボディに塗装したグリーンの調合比は記録を残してはいないので、近い色を再現するのに多少塗料を犠牲にしてしまいましたが、自分が担当したスプレーの際は「ああ、あの時こんな感じだったような気がするなぁ」と感慨深いものでした。
 5年前はとにかく「商品としてお求めいただけるのだろうか」とい一番の不安を抱えながら無我夢中でしたから、塗装色そのものよりもあの当時の気持ちの方を思い出したものでした。
 形状が違うので完全な比較はできませんが、塗装にかかる作業時間をトータルすると、5年前の当時よりは効率も上がったし作業時間も短くできるようにはなっています。慣れもあってか、少しはうまくはなっていると思うのです。
 そういった事も再確認できた商品でした。

 ベースの色は「こだわり」にも書きましたが、あのジラースの襟巻きがヒントです。
 最初はどんな色にしようか、なかなか決め手がなかったのですが、たまたま昔いつか改造してゴジラにしちゃおうと買っておいたジラースの食玩を見て「おお、これだ!」とひらめいたものでした。
 こういう「遊び」ができたのも楽しい作業でした。

 余談ですが、以前お求めいただいたお客様で「正しいシェー!がわからなくて…」と、イベントで展示してある見本のポーズを一生懸命覚えようとされていた方がいました。でも、無理に「正しい」を追求されなくてもいいと思っています。自分が一番納得できるポーズで楽しんでいただければ、それがベストだと思います。
 どうしてもこだわるのでしたらDVD等であのシーンを静止画にして、それを見ながら決められたらいかがでしょう?

「大戦争ゴジラ グリーンバージョン」は発売中です。ご希望の方は弊社までお電話でお申し込み下さい。

そフビ制作裏話 その261

2011年11月08日 | 制作裏話


Part.4 スケジュール



■年末発売の難しさ
 この「大戦争ゴジラ グリーンバージョン」は年末の慌ただしい時期という事で、細かないレギュラーが多々重なり、発売が少しだけ遅れてしまいました。
 年末はいつも忙しいのはどこも一緒だと思いますし、弊社も例年のようにデザイン業務でもソフビの制作販売業務でもスケジュールのやりくりを先々から逆算して立ててはいます(なかなかその通りにうまくいったためしがないのですが…泣)。
 弊社の年末というのは、基本的にデザイン業務では前倒しが多くなる事があげられます。ソフビに関しては、年末年始の休みもある事から通常より早めに1月発売商品の準備をしなくてはなりません。が、ほとんど毎回1月は福袋ですので、生産個数はいつもより多いし、包装だけでもいつもより時間も手間もかかるのでよりハードスケジュールになります。さらには新規造形商品の原型制作の追い込みの時期が重なるので、しっちゃかめっちゃか(死語?)になるわけです。
 この時の一番の発売の遅れの原因は、翌年発売することになる「メカゴジラ」でした。いずれまた別の機会に詳しく書きますが、弊社で一番原型に時間をかけた商品でしたので、予想を大幅に上回る遅れで、それが他の業務にも影響した訳です。そのためこの「大戦争ゴジラ グリーンバージョン」も若干発売が遅れてしまったのです。
 人数としてはごくわずかですが、一部のお客様には予定より1週間程お待ちいただきご迷惑をおかけ致しました。反省するばかりです。
 弊社のソフビはこれまでほとんど予定日通りに発売してきましたので、この「グリーンバージョン」の印象となると発売日を過ぎてしまった事を思い出してしまうのでした。

ソフビ制作裏話 その260

2011年11月07日 | 制作裏話


Part.3 「ゴジラのシェー!」を知らない人



■ここから興味を持っていただければ…
 昨日ゴジラがシェー!をしていた事を知らない若い方もいらっしゃるという事を書きましたが、日頃イベント等では聞かれない限りはこちらからは説明等はしないようにしています。
 元々「シェー!」は赤塚先生のギャグですから、そこから説明し始めてもナンセンス。イベントでは一見さんやゴジラに詳しくない方には見たままで商品を判断して、そこからご自身で「ゴジラのシェー!」に興味を持ってもらいたいと思っているからです。
 とは言うものの、さんざんこのGメモリーズブログでは過去「シェー!」についていろいろと書きました(2008年10月8~10日掲載&2010年11月19~22日掲載)。おそらくはここを見ている方というのが、弊社商品のお馴染みさんかゴジラが大好きでしょうがない方ばかりだからだと思うからです。
 一見さんやゴジラに詳しくない方が興味を持っていただいてから、ここをご覧いただいて「ゴジラのシェー!」のいきさつやら当時の事等を知っていただけた方がゴジラの世界を楽しめると思うからです。
 ましてやこの「グリーンバージョン」やその前の「ブルーバージョン」等は、配色での昭和の玩具をイメージしたノスタルジックな雰囲気を出すべくして企画したものなので、ほんのちょっぴりのタイムスリップをしていただければ嬉しい訳です。
 結果的にトータルで弊社商品に興味を示していただければもちろん嬉しいし、弊社とは関係なく『怪獣大戦争』に目が行き他のゴジラ作品にも……となればゴジラファンが増える訳ですから、それはそれでまた別の嬉しさがあります。

ソフビ制作裏話 その259

2011年11月05日 | 制作裏話


Part.2 イベント販売時



■「つかみ」としての役割も!
 ゴジラが「シェー!」をする事は今でもインパクトがあるようです。

 この「大戦争ゴジラ」の発売を開始して以来、常に販売できるバージョンがなくなる時期がなく、何かしらのバージョンを続けて発売させていただいています。と言うのも意図的にそうしているのです。(エンドレスに続けるつもりはありませんのでこの「グリーンバージョン」後はしばらく予定してません。)
 理由はイベントでの販売の際です。

 イベント報告でいつも展示風景の写真を掲載しているように、イベントでは発売中商品を並べてお客様の皆様に見ていただいております。その中ですぐに目につくものは限られています。特に弊社のゴジラたちは、劇中シチュエーションをモチーフにしたカラーリングのものが多いし、ポーズも比較的オーソドックスなものに統一しているので、正直全体的に色が地味になりがちです。
 この「大戦争ゴジラ」のシリーズは、他の弊社のゴジラたちに比べて比較的色が明るいし、ポーズもポーズなのでその中でもかなり目立つ方です。
 特にあまり弊社商品の事をご存知ない方や頻繁にお求めにならない方にとっては、「あ、ゴジラがシェーをしている!」となるのです。動きに「遊び」があるので目がそちらに行きやすいという事がわかります。
 特にゴジラに詳しくない方にとっては、今でもゴジラの「シェー!」は新鮮のようですし、女性の方々に「かわいい!」と声をかけていただく事は今でも珍しくはありません。
 さらに最近は、おじさんファンにはちょっと驚きですが、若い方でゴジラが「シェー!」をしていた事をご存知ない方もいらっしゃいます。ウソみたいな話ですが、ゴジラの「シェー!」は単なる弊社のおふざけと思っていた方もいらっしゃったぐらいです。
 いずれにしてもイベントでの展示の際の「つかみ」としては、かなり存在感として役立っているゴジラなのです。
 そして、そこから弊社商品に興味を持っていただくきっかけにもなっているのです。

ソフビ制作裏話 その258

2011年11月04日 | 制作裏話


Part.1 「遊べる」素材

 今日から昨年12月から発売を開始した「大戦争ゴジラ グリーンバージョン」の制作裏話を書きます。
 こちらの商品は現在発売中です。ご希望の方は弊社までお電話にてお申し込み下さい。




■企画して楽しむ遊び心
 この商品は『怪獣大戦争』劇中での「シェーポーズ」をしているシチュエーションをディフォルメの中で商品化したものです。
 カラーバリエーションとしては4つめとなるのですが、公開当時劇場に見に行った子供の頃の気持ちや雰囲気を思い出せるようなものとして作りたいという思いで企画しました。
 ご覧いただいてお分かりのように、弊社商品としては珍しい劇中のワンシーンのゴジラです。それでいて手足を動かしてポーズを自分の好きなように変えられる遊べるゴジラなのです。そしてコミカルなゴジラです。
 そういう意味でもこの「シェーポーズ」の「大戦争ゴジラ」は、カラーリングのバリエーションとしても「遊べる」素材であると考えています。
 この「遊べる」という部分が、企画していつもとは違う楽しい要素でもあるのです。

 発売のきっかけやカラーの詳細等は、以前書きました「こだわり」(2010年11月26日~12月3日掲載)をご覧下さい。
 ちょうどGメモリーズセレクション5周年直前という事で、原点回帰という部分も含めて、弊社のソフビ商品第一号である「キンゴジ グリーンバージョン」(完売)にかなり近い配色にしています。これはある意味Gメモリーズだからできる「遊び」と言えます。
 ノスタルジックを感じていただけるような全体的配色も、ベースの塗装もある意味「遊び」心での発想です。
 そういう意味で楽しい企画でした。

ソフビ制作裏話 その257

2011年09月01日 | 制作裏話


Part.4 発売後

 今日は「モスゴジ 倉田浜出現バージョン」発売後について。



■出現シーンを思い浮かべていただけました?
 配色や彩色部分ついての詳細は以前ここで「こだわり」に書きましたのでそちらをご覧下さい。
 名場面、有名なシーンのシチュエーションカラーというのは、人によっても受け取る印象は違うものだと思います。最初にインスパイアされた印象、雰囲気、色合いが強く残っているものだと思うのです。
 お求めいただいた皆さんの持つあのシーンのイメージにどの程度近づけたのかはわかりませんが、弊社なりにあの出現シーンのゴジラの色合い、雰囲気はベストを尽くしたつもりです。

 お求めいただいた皆様にイベント等でご意見を伺ってみると「わかる!わかる!」と。
 あの出現シーンを思い浮かべていただけたのが嬉しかったです。
 モスゴジに対して他の色をイメージされていた方も「出現する時はこの色でアリですね!」と言っていただけてほっとしました。
 こだわればこだわる程、喜んでいただけたお声を聞くのは感激ですし、感謝しております。

 余談を少し。
 彩色サンプルができた時点で、色合いが嬉しくてこの時は早く出現シーンのお遊び画像を作りたかった当時でした(2010年9月8日、15~19日掲載)。
 また、個人的には実際に土や砂に埋めて上半身だけを見せて写真を撮りたい気持ちもあるのですが、未だに汚す勇気がなくてできません(笑)。どなたか私の代わりにやってみて下さい。

「モスゴジ 倉田浜出現バージョン」現在発売中です。ご希望の方は弊社までお電話でお申し込み下さい。

ソフビ制作裏話 その256

2011年08月31日 | 制作裏話


Part.3 イメージカラーとしても

 茶色を基本として配色を決めた「モスゴジ 倉田浜出現バージョン」。モスゴジは茶色系とイメージされた方もいらっしゃいました。



■茶色く見えるシーンはたくさんあります
 この「モスゴジ」のカラーバリエーションを発売する(した)際に、これまで何度も「こだわり」や「裏話」で書いてきましたが、以前多くの方々に「モスゴジと聞いてイメージする色は?」と聞かせていただき、ご意見をいただきました。
 その中で「茶色系」と答えていただいた方もいらっしゃいます。モスゴジは劇中ではとにかくいろいろな展開のあるゴジラです。成虫モスラ戦や防衛隊との各激戦シーン、モスラ幼虫戦等、地面に倒れ込んだり穴に落ちたり、転んだりと動きの多いゴジラです。
 当然土まみれ、埃まみれのシーンが多々あるのですから、モスゴジのイメージが茶色であるというのは不自然ではありませんし、実際映像で確認しても茶色系のゴジラであると言われても不思議ではありません。ですから茶色系とおっしゃるご意見にも納得です。
 そして最も茶色系を印象づけるのが出現シーンでもあると思うのです。

 今の所「ブラウンバージョン」というものは考えておりません。でも出現シーンにこだわった配色のものではありますが、茶色系とイメージされている方にも納得していただければ嬉しいなぁという気持ちでも作った商品でした。

 この「倉田浜出現バージョン」を作ってみて、他のカラーバリエーションの「モスゴジ」にも足下や尻尾等にツヤ消しのライトブラウンを軽く吹いてより劇中の雰囲気にしてみたい気持ちが生まれました。商品にはしませんが(笑)、個人的にいつか試してみたいと思います。
 その方がモスゴジのやんちゃぶりがよりアップする気がするのは私だけでしょうか!?

ソフビ制作裏話 その255

2011年08月30日 | 制作裏話


Part.2 参考にしたもの

 今日は「モスゴジ 倉田浜出現バージョン」の配色を決める際の参考になったものについて。



■中島春雄氏の自伝が参考になりました
 劇中シチュエーションをテーマとして配色を決定する場合、毎回最も参考にするのは実際の映像作品である事は言う間でもありませんが、この「倉田浜出現バージョン」の場合、とても参考になったのはこの商品の2ヶ月前に発売になっていた中島春雄氏の自伝「怪獣人生」でした。
 ここでは劇中でのこのシーンの時の氏の演技についてや撮影秘話が語られています。ゴジラが身体についた泥(土)を振り払う演技は氏のアドリブだったようで、実際に土が自然な形で振り払われているのがわかります。
 また、予定よりも「カット!」をかけるのを遅らせて余計に演技を続けさせるという円谷監督のパターンもあってあの「ぷるぷる」の名演技が生まれた事もわかりました。
 詳細は「怪獣人生」をご覧下さい。
 とにかくこれでイメージがぐっと湧いてきたのは言う間でもありません。

 劇中の設定では舞台は干拓地で、台風直撃の直後だけに地面は泥という設定です。しかし撮影対象はゴジラという大きな怪獣。泥であるにも関わらず、人間の目から見れば振り払われるものは土のように見えても不自然に印象はありません。実際のあのシーンは、劇中のあの場にいた登場人物達側から見た印象としてのアングルで作られていたと思われます。
 ですから配色を決める際には、できる限りまるでゴジラの身体に土がついたかのように思わせる色合いや雰囲気を出したい、あの時のゴジラの動きのように「ぷるぷる」させて土を払いたくなるような感じにしたいという思いで検討を始めたのです。
 おそらく「怪獣人生」を読まなかったら違った色合いの商品になったかもしれません。配色の最終案を決める前に発売されて本当に良かったと思います。ナイスタイミングでした。

ソフビ制作裏話 その254

2011年08月29日 | 制作裏話


Part.1 企画意図

 今日から昨年9月に発売した「モスゴジ 倉田浜出現バージョン」(現在発売中)の制作裏話を書きます。今日はモスゴジの出現シーンについて。



■モスゴジの出現シーンをテーマにする事
 この「倉田浜出現バージョン」は、その名の通り『モスラ対ゴジラ』におけるゴジラの出現シーンをイメージして企画したカラーバリエーションです。
 以前書きました「こだわり」(2010年9月21~24日掲載)でもありますように、ゴジラファンなら誰でも知っている有名なシーンです。
 特にモスゴジの表現としても、この時の頬を揺らす所はコアなファンの間でも知名度があり、「ぷるぷるゴジラ」と呼ばれており、かつてはこの「ぷるぷる」を感じさせるかどうかでガレージキットの人気が分かれていた程です。
 またモスゴジの出現シーンに関する撮影時のエピソードは、近年中島春雄氏の自伝を始めいくつかの書籍等で裏話や制作秘話が語られるようになりました。
 これらの事から見ても、モスゴジの出現シーンはゴジラ映画の中でも名場面の一つであり、ゴジラの歴史の中でも欠かせない部分と言えるでしょう。

 さらに、数多いゴジラ映画の中のゴジラ出現シーンは名場面の一つに数えられる事が多々あり、弊社でもこれまでいくつかバリエーションとして展開してきました。
 マイナーなシーンのシチュエーションをテーマにするのとは違い、有名なシーンのカラーイメージにするというのは違ったプレッシャーがあります。それでいて楽しみもある訳です。
 配色を考える時は、あのシーンを思い浮かべられるためにはどういう色をどういう塗装の仕方にするのか……考える楽しみも大きくありました。

ソフビ制作裏話 その253

2011年08月11日 | 制作裏話




お客様の反応


 いろいろあった2つの「GMKゴジラ」。今日は発売後の反応です。





■お寄せいただいた感想
 同時発売した2つの「GMKゴジラ」ですが、お馴染みのお客様以外の方々の購入は、ほとんどはどちららか1つというパターンが多かったようです。イベント等では見比べてチョイスされていたようです。
「クライマックスバージョン」をお求めいただいた方々からは、ガンメタブラックの塗装がカッコいいとおっしゃっていただき、「熱線ダメージバージョン」をお求めいただいた方々からは、モールが入っていて色がきれいとおっしゃっていただきました。
 さらに独特の成型色の色合いに「画像で見るよりいいですね!」と。イベントではこちらも説明を加えるのですが、やはりこの時のように光の加減で色合いが変化する商品のここでの説明は、画像だけでは難しいものがあります。
 そして販売できた時は、なんとか商品になったのも嬉しかったし、喜んでいただけたのも重なってとにかくほっとした2つの「GMKゴジラ」でした。
 でも、もしかしたらこの金型で作る最後の「GMKゴジラ」になるかもしれないと思うと、何とも言えない気持ちにもなります。

 また、2つの「GMKゴジラ」を同時購入された方への「GMKゴジラ」ポスターが思っていた以上に好評をいただき嬉しかったです。毎回ポスターデザインするのは楽しいですし、こういった1テーマ設けたパターンは特に夢中になってしまいます。

 余談ですが「熱線ダメージバージョン」のネーミング、実は作ろうと思ってから東宝への申請までの間、ずっと悩んでおりました。私の中では「肩から熱線がドーンとはみでちゃったバージョン」でしたから(笑)。

「GMKゴジラ クライマックスバージョン」「GMKゴジラ 熱戦ダメージバージョン」どちらも発売中です。ご希望の方は弊社までお電話下さい。どちらもあとわずかとなっておりますのでご注意を!!

ソフビ制作裏話 その252

2011年08月10日 | 制作裏話




トラブル(2)

 昨日の続きです。これらの「GMKゴジラ」は不良成型分が出るのを覚悟で生産を進めたのでした。



■納品されるまでハラハラドキドキ!
 気泡や穴が出やすくなっていた「GMKゴジラ」の金型。
 サンプル成型の段階では、通常原料より柔らかいクリア成型ということもあって気泡はかなり目立ってしまっていました。ましてやラメ入りなので金型への負担も少なからずともあります。
 中断する訳にも行かず、何回か抜いて続けていくとまた微妙に変わってくる事もまれにあるそうなので、イチかバチか多少の不良品が出てしまうのを覚悟で生産する事にしました。
 あとは成型屋さんの経験と技術にお任せするしかありませんでした。納品されるまでいくつ生産できるかわからないので、いつもここをご覧いただいている皆様にはギリギリまでいつもぐらいの販売個数を確保できるかお約束できなかったのです。
 そして納品。商品に使用できるのはいつもよりちょっとだけ少なめになりましたが、ほぼ予定数に近い分が確保できました。半分は廃棄かと覚悟していたので、本当に成型屋さんに感謝、様様です。
 ですからこの2つの商品に喜んでいただいた皆様、ちょっとだけでもいいので心の中で成型屋さんに拍手していただけたら幸いです。

 無事商品化できた2つの「GMKゴジラ」ですが、今後の事を考えると同じ金型を使用しての新規カラーは難しいと言わざるを得ません。ギリギリのパーツ形状でソフビを作るという事は、そういうリスクも伴うという事を考えなければならない事を身をもって知ったのでした。
 そして「GMKゴジラ」より前に作ったゴジラたち(「キンゴジ」「デスゴジ」「ミレゴジ」)は今どれもしばらく成型してません。ですからこれらの金型も心配はあります。なかなか時間がないので試せませんが、今でも各パーツをちゃんと抜けるのかどうか確認が必要と考えてます。最悪の状態にならなきゃいいんですけど……(焦)。

ソフビ制作裏話 その251

2011年08月09日 | 制作裏話




トラブル(1)

 今日は「GMKゴジラ クライマックスバージョン」と「GMKゴジラ 熱線ダメージバージョン」の成型時に起こった気泡のトラブルについて。



■気泡と穴が……!!
 こうして企画した2つの「GMKゴジラ」の新規カラー、商品化するのは久しぶりでした。が、予想外のことが起こりました。
 成型サンプルを出していただく時に、気泡や細かな穴が以前発売した時のものより出やすいのです。

 ソフビは各パーツごとに高温に熱した金型に原料を流し込み、冷やして固まった時(まだ柔らかい状態)にすぐにそこから抜き(それでもまだ熱い状態)、完全に冷えて形になります。そのため抜くための形状には限りがあります。当然、可能な状態の金型にすべく、角度、太さ、長さや大きさ等形状を計算して原型(ワックス原型)で各パーツをいつも作っています。
 細かな突起が多かったり、鋭角的な角度のパーツを抜くのにはかなり難しいのです。ですから怪獣等はリアルであればある程、細かくパーツ分けしないと商品化は難しいと言わざるを得ません。レトロタイプのように細かな突起が少なく、全体が滑らかで丸っこいものであればある程、成型は楽ということになります。さらに大きければ大きい程、抜く時も金型に負担がかからないので、ソフビのサイズでも影響する加減は変わってくるのです。
 弊社商品は、一般に言うスタンダードサイズよりかなり小さいし、毎回かわいいながらも各ゴジラの形状に似せるべく特徴をできる限り重視して盛り込んで造形していますので、他社さんのレトロタイプゴジラよりも金型に大きな負担がかかっているのです。
 希望する形状をできる限り実現するために、抜くための角度やサイズをギリギリ可能な所まで弊社なりに計算して作る場合が多いので、時には部分的に気泡が出やすいものもあるのです。金型屋さんや成型屋さんに相談にのっていただく事は多々あり、ワックス原型を作り直した事も何度かあります。
 そして使用した金型は、錆や汚れを防止すべく保管しなければなりませんが、多少なりとも空気に触れますから完全には無理で、しばらく使っていないと何らかの微妙な変化はあるようです。
 この時の「GMKゴジラ」の金型は、おそらくその微妙な部分で起こってしまったと思われるのです。