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中国に対する国際世論が急速に悪化、韓国を襲う「思わぬ余波」とは

2021-02-14 15:46:14 | 日記

中国に対する国際世論が急速に悪化、韓国を襲う「思わぬ余波」とは

真壁昭夫:法政大学大学院教授

国際・中国 今週のキーワード 真壁昭夫

2020.12.29 4:15

 

韓国は国際社会の中で
自国の主張を伝えることが難しくなる

 その状況下、厳しい状況を迎える恐れがあるのが韓国だ

なぜなら、文大統領は一貫して、安全保障面では米国、経済面では最大の輸出先である中国、外交面では北朝鮮を重視してきた。

 英独仏のように、安全保障面で対米関係を重視する国は増えている。

それに対して文大統領は、TPP参加を重視する姿勢を示した中国の意向をフォローするようにして、TPP参加を検討する姿勢を初めて示した。

 

 しかし中国のTPP参加のハードルは高い。

まず、中国の参加には、TPPに参加している11カ国の了解が必要だ。

また、RCEPに比べてTPPでは、補助金や知的財産の保護に関して厳格なルールを各国が共有する。

中国がTPPに参加することは、口で言うほど容易なことではない。

中国の対外姿勢は変わりつつあるが、それが成果をもたらすか否かは不透明だ。

 そうなると、主要国とは対照的に、経済面で対中関係を優先しているとみられる韓国は、国際社会の中で自国の主張を各国に伝えることが難しくなるだろう。

それは輸出依存度の高い韓国にとってマイナスとなり、文政権の経済運営は一段と難しくなる。

サムスン電子が強化してきた
ベトナム事業をめぐる不確定要素が増加

 それに加えて、韓国企業を取り巻く世界経済の環境も変化している。

韓国最大の企業であるサムスン電子は、台湾のTSMC超えを目指して設備投資を積み増す。

ただしTSMCに比べてサムスン電子は、顧客へのサービス、柔軟な生産対応力、国際シェアといった点で劣後している。

 TSMCがいち早く米国重視の立場を表明したことも、顧客の安心感を高めた。

これまで積極的に設備投資を積み増し、業績拡大につなげてきたサムスン電子が、今後も同じように成長を実現できるかはわからない。

同社の中興の祖である故イ・ゴンヒ氏の相続税負担が、同社の事業運営体制に与える影響も小さくはないだろう。

 さらに、サムスン電子が強化してきたベトナム事業をめぐる不確定要素も増えている。

先述の通り、米国はベトナムを「為替操作国」に認定した。

協議によって問題が解消しない場合、米国は制裁措置の一環としてベトナムに関税を課す可能性がある。

 サムスン電子はスマートフォンの約5割をベトナムで生産する。

同社はベトナムの輸出の25%を占める。

仮に、米国がベトナムに制裁関税を課せば、サムスン電子の業績には無視できない影響があるだろう。

それは、同社の業績の恩恵にあずかるようにして雇用と所得環境の改善を実現してきた韓国経済を下押しする。

 バイデン政権下の米国が、WTO(世界貿易機関)などの国際機関において各国の利害調整役を果たすことも期待しづらい。

外需依存度の高い韓国経済の不安定感は高まりやすい。

 韓国の国際社会における立場と景気先行きへの懸念が高まる中、文政権は急速にわが国に接近して秋波を送り始めたように見える。

それが示唆することは、韓国の社会と経済を取り巻く世界情勢が想定される以上に厳しさを増しているということだろう。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)

 


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