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国家の流儀 世界に売り込め日本の石炭火力技術 CO2の90%以上を分離・回収「CCUS」を主導

2022-07-31 11:34:15 | 日記

国家の流儀 世界に売り込め日本の石炭火力技術 CO2の90%以上を分離・回収「CCUS」を主導


昨日 15:00

日本のエネルギー技術が改めて脚光を浴びている。

© zakzak 提供革新的低炭素石炭火力の実現を目指す「大崎クールジェン株式会社」=広島県大崎上島町

安倍晋三元首相の遺産ともいうべき、日本と米国、オーストラリア、インドによる戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」。そのエネルギー相会合が13日、オーストラリア・シドニーで開催され、ロシアによるウクライナ侵略を受けて顕在化したエネルギー安全保障について、4カ国が一致して対応することが確認された。

その際、火力発電所から出るCO2を回収・再利用する技術「CCUS」などで協力を深めることが重要との認識で一致した。実は、このCCUSは、日本が主導している技術なのだ。

日本のエネルギー自給率はわずか10%。石油や天然ガスと比べ、埋蔵量が豊富で安定供給が見込め、価格も原油や天然ガスに比べ半分から3分の1である石炭は、発電コストの低いエネルギー源として重要だ。

パリ協定を前提に策定された日本政府のエネルギー需給見通しにおいても2030年には、石炭火力エネルギーが26%を占める予測になっている。

世界の発電電力量も、約4割が石炭火力で、アジアなどの新興国を中心に石炭火力の需要が拡大していくことが予想されている。問題は、石炭火力はCO2排出量が多いことだ。

このため、先進国は排出量削減のため、太陽光・風力などの再生可能エネルギーや原子力へと切り替えているのだが、太陽光などは天候などにより発電量が大きく変動する。この不安定な発電を補う調整弁の役割を果たしているのが石炭と天然ガスだ。

CO2排出量は減らしたいが、再生エネだけでは不十分だし、CO2排出量が少ない天然ガスは高価なうえ、安定供給が不安だ。かくして、安価で豊富な石炭に頼らざるを得ないのだが、石炭だと排出量が多く、気候変動対策とぶつかることになる。

この難問を解決すべく、日本は技術開発を進めてきた。それが、酸素吹石炭ガス化複合発電技術(IGCC)と、クアッドの会合でも話題になったCCUS、つまり石炭火力から排出するCO2の90%以上を分離・回収する技術だ。

その実証試験をしているのが広島県にある「大崎クールジェン株式会社」だ。中国電力とJパワーの出資で09年に設立、12年度から経産省から補助を受け試験を開始、16年度からは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)から助成を受け実証試験を実施している。

国際社会では近年、石炭火力は目の敵にされてきた。だが、CO2を分離・回収することが可能な技術および日本が誇る酸素吹石炭ガス化発電技術を組み合わせて利用することで、石炭火力と気候変動対策を両立させることができる。

まずは、石炭輸出国であるオーストラリアをはじめとするクアッドにおいてその技術の存在をアピールしつつ、いずれはヨーロッパや新興国にも輸出できるようにしたいものだ。

■江崎道朗(えざき・みちお) 評論家。1962年、東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集や国会議員政策スタッフなどを務め、安全保障やインテリジェンス、近現代史研究などに従事。「江崎塾」を主宰。著書『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ)で2018年、アパ日本再興大賞を受賞、19年はフジサンケイグループの正論新風賞を受賞した。著書に『日本人が知らない近現代史の虚妄』(SB新書)、『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』(扶桑社)など多数。






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